たった1分でできる心のエクササイズ! 「何もしない」ことからはじめてみよう/頭を「からっぽ」にするレッスン⑤

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更新日:2021/6/28

ビル・ゲイツも絶賛! 読みながら実践できる「瞑想」と「マインドフルネス」の入門書です。毎日10分間、頭を「からっぽ」にする時間を作ってストレスを解消しましょう。誰でも簡単に実践できる心のエクササイズ「10分間瞑想」をご紹介します。

頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる
『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(アンディ・プディコム:著、満園真木:訳/辰巳出版)

「何もしない」ことを体験してみる

 あなたが最後に、テレビにも音楽にも本にも雑誌にも、食べ物にも飲み物にも、電話にもパソコンにも、友だちにも家族にも一切邪魔されたり気をとられたりせず、考えなくてはならないことも答えを出さなくてはならないこともなく、ただじっと座っていたのはいつのことですか? これまで瞑想(やそれに似たもの)に目を向けたことがなければ、たぶん一度もないのではないでしょうか。なぜなら、私たちはたとえベッドに横になっている時でも、たいてい何かを考えているからです。だから多くの人にとって、一切何もしないというのは、よくて退屈、悪ければ実におそろしいことに思えるのです。私たちは始終何かをすることに忙しくて、ただじっと心を休めることの意味をかえりみることさえありません。私たちは「何かをする」ことにとり憑かれていて、そこには「考える」ことも含まれます。だから、最初は何もしないでじっと座っていることに少々居心地の悪さを感じたとしても不思議はありません。

 

エクササイズ1 何もしない

 今すぐやってみましょう。今座っている場所から動かず、本を閉じて膝の上におきます。座り方に特に指定はありません。軽く目を閉じ、1、2分そのままでいます。いろいろな考えが頭に浮かんできてもかまいません。今の段階では浮かんでは消えるにまかせ、たとえ1、2分でも、何もせずにじっと座っているのがどんな感じか体験してみましょう。

 

 何もしないでいるのはどうでしたか? とてもリラックスできたのではないでしょうか。あるいは「何もしないエクササイズなんておかしい、何かしたい」と感じたでしょうか。何かに集中したい、意識を向ける対象がほしいと感じたかもしれませんが、心配はいりません。これはテストではないし、次の章で瞑想を実践する時には、意識を向けなければならないことはたくさんあります。ただし、今の段階で、つねに何かしている癖やそうしたくなる気持ちについて気づいておくのはいいことです。何かをしたくならなかったという人は、もう一度、今度はあと1、2分長くエクササイズをしてみるといいでしょう。

 テレビを見たり、音楽を聴いたり、酒を飲んだり、買い物したり、友だちと出かけるのが悪いと言っているのではありません。むしろ大いに楽しむべきです。ただ、これらは一定量の一時的な幸福をもたらすものであって、持続的なからっぽの状態をもたらすものではないと知っておくのはいいことです。あなたは一日の仕事を終え、頭の中が忙しすぎて疲労困憊して帰ってきたことがないでしょうか。そこで、頭を切り替えるためにテレビでも見ることにしました。真剣にのめりこめるほどおもしろい番組だったら、頭を埋め尽くしていた考えからつかのま解放されたように感じられたかもしれません。でもたいしておもしろくなかったり、頻繁にコマーシャルが入ったりしたら、そのすきをとらえてそれらの考えがしばしば頭に浮かんでくるでしょう。いずれにしても、番組が終わったとたんに、さっきまでの思考や感情が一気によみがえってくることはよくあることです。同じ強さではないにせよ、それらは心の奥のほうにずっと存在していた可能性が高いからです。

 そしてほとんどの人はまさにこんなふうに、次から次にいろいろなことに気をとられながら日々を過ごしています。職場では忙しすぎたり、別のことに気をとられたりして、自分の気持ちを意識する暇がありません。そして家に帰った時、突如として多くの考えが押し寄せてくるのです。あるいは、帰宅後もなんやかやと気をそらせることができたとすれば、ベッドに入るまで、それらの考えにすら気づかないかもしれません。けれども頭を枕につけたとたん、心が突然、猛スピードで暴走しはじめるのです。もちろん、その考えはずっとそこにあって、ただ気をそらすものがなくなったから、その存在に気づいたというだけのことです。あるいは逆のパターンもあるかもしれません。人づきあいや家庭生活に忙しくて、職場に着いてはじめて、自分がどれだけ疲れていたか、頭の中をどんな考えが駆け巡っていたかに気づく人もいます。

 これらのことに気をとられていたら、注意力が散漫になり、とても最高の力を発揮することはできません。言うまでもないことですが、心が次から次に浮かぶ考えをあたふたと追いかけているような状態では、集中力が著しく削がれることになります。

 

エクササイズ2 五感を意識する

 今度も2分間の短いエクササイズをしてみましょう。前と同じように、今いる場所に座ったままでかまいません。本を膝においたら、五感のひとつに軽く意識を集中させます。今の段階では音か視覚がいいでしょう。目を閉じて背景の音に集中するのがおすすめですが、ときどき予測不能な音がすることもあるので、目をあけて部屋の中の特定のもの、あるいは壁の1点をじっと見つめてもいいでしょう。音と視覚のどちらを選んでも、それにできるだけ長いあいだ集中してみましょう。ただし、あくまで軽く、ゆったりとです。何かの考えが浮かんだり、別の五感に気をとられたら、もう一度集中する対象に意識を戻して続けてください。

 

 どうでしたか? 簡単に集中を保てたでしょうか。それとも何度も別の考えが浮かんで気がそれてしまったでしょうか。気がそれるまでにどれくらいの時間がかかりましたか。ひょっとすると、ぼんやりした意識を保ちつつ、同時に別のことを考えることができたという人もいるかもしれません。信じられないかもしれませんが、1分間、対象への集中を保てればたいしたものです。これを聞いてずいぶん心配になる人もいるかもしれません。仕事や子どもの世話では、あるいは友だちの話を聞いたり、車の運転をしている時には、もっとずっと長い時間集中しなければならないのですから。

<第6回に続く>

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