「契約が成立したら終わり」ではない! 契約後こそ、雑談力が試される/ヨイショする営業マンは全員アホ⑧

ビジネス

公開日:2020/12/17

きれい事一切なしの超実践型、現場営業論! 「最初の雑談はすっ飛ばしてもいい」「お客様の信頼を失う行為」など、著者が営業マンとして現場で気づいた“売れる”人間力を生み出す39の法則から、一部を抜粋してご紹介。

ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則
『ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則』(宋 世羅/飛鳥新社)

契約成立した後にこそ雑談せよ

クーリング・オフの対処法

 学校の家庭科の授業でも習いますが、日本には、契約後の一定期間において消費者からの一方的な契約解除が認められるクーリング・オフという法制度があります。

 営業マンであれば、いったん契約をしたお客様から、「やっぱりやめるわ」と、途中解約されたという経験が少なからずあると思いますので、そこをどう阻止していくかをお教えしたいと思います。

 そもそも「クーリング・オフしたい」と言われないために、契約後にやっておくべきことが二つあります。

 

 一つ目が、契約が決まり、契約書を書いてもらった時に、「今後とも何卒よろしくお願いいたします」と、頭を下げること。

 契約をしたということは、お客様は内容に満足している状態です。その上で、営業マンからバカ丁寧に「今後とも何卒よろしくお願いいたします」と頭を下げられたら、お客様はどんな行動をとると思いますか? 私の経験上では100%「いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします」と、軽く頭を下げます。

 これをすると、たとえるならば、電車でおばあちゃんに席を譲った時のような感じになります。あれって、席を譲られたおばあちゃんはもちろんハッピーですが、席を譲った側もなんとなくハッピーな気持ちになるんですよね。

 このあたたかい空間をつくっちゃうと、お客様は「やっぱり他のところで契約するわ」とか「やっぱり解約したい」と言いづらくなります。

 

契約した相手の決断力を褒める

 二つ目にしておくべきことは、契約後の雑談です。

 雑談というのは、最初にお会いした時にするというのが定石ですが、最初の雑談はやろうがやるまいがどちらでも構いません。ただし、契約成立した後には、必ず雑談をしてください。

 とはいっても、スノボの話のような趣味の話をしても何の生産性もない。契約をしたその商品に関連した業界の話だったり、関係性のある話題で雑談をするというのがポイントです。

 たとえば、お客様に保険に加入していただいて、契約書を書きましたという段階では、こんな雑談をします。

「先日、ある50代のお客様と生命保険の面談をしまして、その保険を気に入っていただけたので、契約の流れになったんですが、実はそのお客様がちょっと前に大きな病気をしていて、結局保険に入ることができなかったんです。

 よくよく話を聞いてみると、病気のご経験から保険の加入を考えて私と面談することを決めたとおっしゃったんですが、ただそのように必要性を感じた時にはすでに病気をしていたので保険に入れませんでした。

 今回、〇〇さんは健康なうちに正しい決断をされたと思います。そもそもこうやってスパッと決断をされる〇〇さんは、紹介の方から聞いていた通り優秀な方だなと思いました」

 こんな感じになります。お客様に伝えるポイントは二つ。

 一つは「この契約をしたあなたの選択は大正解です」と念押しをすることで「ああ、自分はいい決断をしたんだ。正しい契約をしたんだ」と、安心感を与えること。

 そして、もう一つは「その決断をしたあなたは素晴らしい。優秀だ」と、お客様を褒めるんです。

「私も保険の営業をやってきて、いつも保険自体の有用性はよく分かっていただけるんですが、スパッと決断できるお客様って案外少ないんですよ。それに比べて、〇〇さんは、決断力があってすごいですね」

 という感じでワーッと褒めると、お客様も満更でもないという感じになります。

 

 なぜこんなことをするかというと、契約後に営業マンからここまで褒められると、「やっぱり不安になってきたので解約します」と後から言い出しにくくなるんです。

 ちょっとセコいやり方ではありますけど、契約後に、その契約の決断を褒めることで、後々のお客様からのクーリング・オフ、または他社に奪われるといったことの可能性を減らすことができます。

 

「解約したい」の切り返し法

 しかし、それでもやっぱり解約したいと言われてしまうことはあります。

 ここからは営業マンが実際に解約を切り出された時にどう切り返したらよいか、具体的なフレーズをお教えしていきます。

 まずは、自分とお客様との関係性が濃いのか薄いのか、そして解約の意志が固いのか、変なネットの記事を見て一瞬魔が差しているくらいなのか、その違いで営業マンがどう切り返していくべきかが変わってきます。

 

 まずはお客様との関係性が濃いが、魔が差して解約したいと言ってくるパターン。友達に変なことを吹き込まれて気が迷ってしまって、「やっぱりやめる」と言ってきたような場合です。

 これにどう返すかというと、「まぁ〜た、そんな冷たいこと言う〜」がいい。

 これは、先ほども言ったようにお客様との関係性が濃いということが前提になります。関係性が濃いので、お互いの人間性もある程度分かっている。その、人間性が分かっている人から「そんな冷たいこと言わないで」ということをやんわりと伝えるのです。

 これが経験上、一番止まります。

「まぁ〜た、そんな冷たいこと言う〜」と言われると、お客様は「あ、俺冷たいこと言ってるのかな?」という気持ちになるわけです。そこから「何があったんですか?」と解きほぐしながら、解約をしない方向へと一緒に進めていきましょう。

 センスのない営業マンは、「いやいや、それは困ります」「解約しないでください」「勘弁してください、このまま続けたほうがいいです」と、かくかくしかじかとゴリゴリに止めにいってしまうんですけど、それは逆効果。

 

解約間際の「押しの営業」は逆効果

 次に、お客様との関係が濃くなく、解約の意志も固い場合ですが、実際はこのパターンが一番多いと思います。

「もう絶対に解約するんで」「解約したいです」と、お客様の意志も固そうだと。こうなった時に営業マンはどんな切り返しをすればいいかというと、まずは「解約ですね、分かりました」と受け止めましょう。そして、実際に会いに行って、解約を止めるために改めて引きの営業から入るのです。

 具体的には、実際に解約用紙を持っていき、お客様に見せてしまいます。

「解約用紙を持ってきたので、見てください。こうこうこうで、最後にお客様の名前を書けば、解約になります」と、解約までの道筋を先にお客様に理解させてしまうわけです。

 そして解約の手順を説明して安心させてから、「ただ、名前を書く前に、一点だけ申し上げてもいいですか?」と、ここで解約を思い止まらせるセールストークにもっていきます。

 先ほども言いましたが「絶対にやめないでください」とオフェンススタイルでゴリゴリに止めに行くのは逆効果です。フランクにいけないお客様で、かつ解約の意志が固い時は、絶対に引きの営業から入らないといけません。

 先に解約までの道筋を見せて、安心させてからでないと、まず解約を思い止まらせるのは難しいでしょう。

<第9回に続く>

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