数秒の差で結果が変わる! 必要なデータを即座に引き出せる3つの方法/書くことについて④

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公開日:2020/12/13

「文章を書く」とは、「自分の考えを伝える。意見を言う。主張を述べる」ことに尽きる。長年にわたりベストセラーを多数書き上げた作家・野口悠紀雄氏が、自らの「書くことについて」を解き明かした新時代の文章読本。「日々の継続」を「驚くべき成果」に変える文章法がここに…!

書くことについて
『書くことについて』(野口悠紀雄/KADOKAWA)

5.多層ファイリングによる「数秒の差」が決定的

必要なデータをリンクによって即座に引き出す

 多層ファイリングシステムにおいては、上位の層から下位の層にリンクを張ることによって、目的のファイルを即座に引き出せるようになっています。

 グーグルドキュメントで目的のファイルを引き出すためのもう1つの方法は、先に述べたキーワード検索です。もちろん、この方法でも目的のファイルは引き出せます。他のファイルには現れない特殊なキーワードを用いることができる場合(とくに、かなり長い文章を用いて全文一致検索ができる場合)には、即時に見いだせます。

 キーワード検索は、リンクを張るよりは、簡単にできます。

 ただし、一般には、この方法では、確実に1つのファイルだけを引き出すことはできません。メモなどであれば、これでもよいのですが、仕事の関係のファイルでは、どんな場合にも、「即座に、1つのファイルだけ」を引き出せることが必要です。

 ここで「即座に」というのは、「数秒のうちに」という意味です。

 実際には、数秒の違いが大きな差となるのです。

数秒の差で結果が変わる

 仕事相手と話しながら、必要な資料などが入ったファイルを開く必要がしばしば生じます。その場合、数秒で開けるのと、1分かかるのとでは、大きな差があります。数秒の違いで結果が変わるのです。仕事の効率が圧倒的に変わります。

 自分だけで用いる場合もそうです。私は、noteに「使える日本経済データ」というページを作って、自分自身が頻繁に使っていたのですが、noteのホームページからこのページを開くのは、若干面倒だと考えていました(noteとは、誰でも手軽に情報発信ができるサービスです。無料で記事を公開できるほか、有料販売もできます。2020年5月時点でアクティブユーザーが6300万人を突破し、注目が高まっています)。

 ところが、これを、3層構造のシステムに入れたところ、「数秒」だけ早く開けるようになりました。それができるようになってから、使用頻度が上がりました。また、見つからない資料がほぼなくなりました。

 仕事も生活も、「数秒」で大きく変わるのです。

 この「数秒」を稼ぐためには、若干の手間が必要です。つまり、キーワードだけでは十分でなく、リンク方式によらざるをえません。

 なお、原稿の場合、ファイルの中身は何度も書き換えることになるのですが、いったん作ったリンクは、そのままで利用できるので、全体として大した手間になるわけではありません。

「メタインデックス」というルートファイル

「メタインデックス」とは、全システムの出発点となるページです。「基本インデックス」といってもよいし、「全体の総目次」といってもよいものです。

 ここから、さまざまなページにリンクが張られていきます。

 私は、ファイルを見いだすために、「書籍ファイル」、「連載ファイル」などというルートファイルを作っています。そして、これを「メタインデックス」というルートファイルからリンクしています。

 つまり、メタインデックスを引き出すことができれば、あとは数珠つなぎでリンクをたどることによって、目的のファイルを即座に開くことができるわけです。

 これを開ければ、目的のファイルに必ずたどり着くことができます。この安心感は大変大きなものです。

メタインデックスを素早く引き出すには

「メタインデックス」は、簡単な手続きですぐに開ける必要があります。

 メタインデックスは、頻繁に参照するにもかかわらず、編集することはそれほど頻繁ではないため、何もしないと、一覧ページの下のほうに行ってしまって、見いだしにくくなる場合があります。

 これを防ぐためには、いくつかの方法があります。

(1)第1の方法は、メタインデックスのページに、「うううう」などというキーワードを書き入れておくことです。グーグルドキュメントのファイル一覧の画面で、検索ウィンドウに「うううう」と入力すれば、「メタインデックス」を開くことができます。この「うううう」を、私は「メタキーワード」と呼んでいます。「うううう」としたのは、ファイルの本文ではまず使われていない言葉であるし、簡単に入力できるからです(これが簡単に入力できるのは、私は、PCでもスマートフォンでもアルファベット入力を用いているからです。スマートフォンでフリック入力を用いている場合には、入力しやすい別の文字列を選ぶのがよいでしょう)。

(2)第2の方法は、「スター」をつけることです。この方法を用いる場合、スターを付したページはごく少数(できれば、2、3個)にとどめておく必要があります。そうでないと、他のページに紛れてしまって、メタインデックスをすぐに見いだすことができません。

(3)第3の方法は、「メタインデックス」のどこかに「あ」という文字を入力しておき、それをときどき削除したり、再入力したりすることです(もちろん、「あ」でなく、別の文字であっても一向に構いません)。こうすると、編集されたことになるので、「メタインデックス」は、いつもページの上方に位置することとなり、使いやすくなります。

<第5回に続く>