羽生善治の言葉が僕のスタンスに。みんなから「杉ちゃん文庫」と呼ばれていた/杉田陽平の妄想力が世界を変える⑤

文芸・カルチャー

公開日:2020/12/11

『バチェロレッテ・ジャパン』の旅では、福田萌子さんだけではなく、男性陣との絆も見せていた杉田陽平さん。お互いライバルではあるものの、彼の柔らかい雰囲気が場を和ませることもありました。そんな杉田さんのスタイル、実は羽生善治さんの言葉にとても影響を受けているのだとか。

強い人ほど穏やか

「もともと将棋が好きで、棋譜を読んだり棋士のインタビュー動画を観たりすることはよくあったんです。ただ、今回は長旅だったので、せっかくなら大好きな羽生善治さんの本をたくさん読みたいなと思って、スキマ時間に、ご本人の戦い方について書かれた本からインタビュー集まで、とにかく片っ端から読んでいました。

 彼らって、頭脳の格闘家なんですよね。何万手先を数秒で読んで戦ったりしているわけです。そういう厳しい環境で戦っている一方で、彼らってすごく柔和で優しそうな雰囲気があるじゃないですか。それがずっと不思議で、答えを知りたくていろんな本を読んでいました。そしたら、とあるインタビュー集で、ニュートラルを保った方がパフォーマンスが上がる、ということを仰っていたんですよね。彼らは脳のパフォーマンスをいかに上げるかで勝敗が決まるので、そのためにも精神状態はフラットでいないといけない。勝てそうだと調子に乗ったり、劣勢だからといって慌てることは、そういう精神状態からもっともかけ離れてしまうことなわけです。

 だから強い人ほど穏やかなんです。それを読みながら、僕自身もそうありたいなと思って。旅の最中も、逆上したり調子に乗ったりしないよう、としていましたし、自分の考え方や行動にとても影響を受けたお話でしたね」

みんなから「杉ちゃん文庫」と呼ばれていた

 羽生善治さんの本以外にも、読書家の杉田さんはいろんな本を買っては読んでいたそう。周囲からは「杉ちゃん文庫」と呼ばれていたのだとか。

「一気に10冊とかまとめて買うんです。そのときに、自分が読みたいものはもちろん、友達に合いそうだなと思う本があったら買ってプレゼントしていました。あの旅はいつ誰と別れるかわからないものだったので、その前に遊び心で渡していたんですよね。そしたらいつのまにか『杉ちゃん文庫』と呼ばれるようになっていたんです(笑)」

<第6回につづく>