知られざる大泉洋の全て!? 『水曜どうでしょう』で誕生したベスト・オブ・ホラ!

マンガ

公開日:2020/12/25

『水曜どうでしょう~大泉洋のホラ話~』(大泉洋:原案、星野倖一郎:漫画/秋田書店)
『水曜どうでしょう~大泉洋のホラ話~』(大泉洋:原案、星野倖一郎:漫画/秋田書店)

“東映ニューフェイスの同期生は松方弘樹。東映時代の代表作は、酒と女と喧嘩に明け暮れた荒々しい男の物語『喧嘩の道 男の道』、そして26歳で第2作『喧嘩太鼓』に出演”し、“オーストラリアで出会った酒屋のポールとテキーラの飲み比べをし、酒場で町のチンピラに絡まれていた女・ロザンナと出会い、一夜を共にした”などと数々の逸話を持つ、演劇ユニット“TEAM NACS”に所属する俳優、タレント、そして第71回NHK紅白歌合戦の白組司会を務めることが決まった北海道の大スターで港ごとに女がいる“海の男・大泉洋”は、過去について旅の道中で惜しげもなく語る。

 すべて…ホラだけど。

 いまや知らない人はいない、人気俳優の大泉洋さんが全国区となるキッカケとなる、1996年から約6年間北海道ローカルとして放送された深夜のバラエティ番組『水曜どうでしょう』。その番組内で絶大なる人気を誇る旅モノ企画の中で誕生した大泉さんのホラ話が、『週刊少年チャンピオン』でまさかのコミカライズとして甦ったのだ。そしてこの度、これらの話をまとめたコミックスが発売された。それが『水曜どうでしょう~大泉洋のホラ話~』(大泉洋:原案、星野倖一郎:漫画/秋田書店)だ。

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 コミックスの第1話は、サイコロの出た目で指定された場所へ移動し、最終的には『水曜どうでしょう』が放送されている“北海道テレビ(HTB)”のある札幌に到着するまでサイコロをふり続けるという、超過酷であり超人気企画「サイコロ3」3日目、鳥栖から鹿児島へ向かう特急つばめ11号の車内でのさりげない会話から始まる。「港港に女がいる海の男なんですよ」という大泉さんからトンデモナイ告白。さらに驚くべきことに「松方弘樹、ボクら(東映ニューフェイスで)同期生だから」とぶっちゃけ、「大泉さんの代表作は」という問いに、『喧嘩の道 男の道』、そして2作目の『喧嘩太鼓』を挙げる。特に『喧嘩太鼓』はそこそこ売れたとのことで、大泉は当時を振り返る。そして回想の中、『喧嘩太鼓』の本編シーンが始まる…!

 このほかに、未亡人のチャタレイ夫人との恋愛エピソード、立山連峰の恐怖に再び挑む登山家大泉エピソードなど、知られざる秘話が次々と明かされていく。荒々しく、時には「トン、クッ!」と酒を飲み…。全部ホラだけどネ!

 11月から2カ月連続刊行の全2巻。5つのエピソードが超劇画タッチで描かれる本作。加えて2巻に、北海道を舞台にした武勇伝『チャンピオンロード』という新作が収録。『水曜どうでしょう』のいろんな要素がブチ込まれた一作で、これは生粋のどうでしょう藩士(※番組のファンのことを“藩士”と呼ぶ)である星野倖一郎先生だからこそ。細かいネタの組み込み方が絶妙で、実際に語っていた設定やセリフなどが余すことなく使われており、どうでしょう愛が溢れまくっている。さらにここでしか読めない、メンバー座談会も収録されているので、ファンは超満足できる2冊だ。

 本作に収録された話に関する回はすべてDVD化されているので、特典映像を含め実際に鑑賞しながら読むとさらに深く楽しめる。コミックスの巻末には、収録DVDの案内が掲載されているという超親切仕様だ。特に“バレンチノ”に“雪面の飛び魚“、“紙下着ファッションショー”や“ヘリ事件”など名場面が誕生した「サイコロ3」は、『喧嘩太鼓』(1巻収録)と『チューハイム』(2巻収録)の2作品が採用されているので、お持ちでない方はぜひ。

 浅めではあるが、私も実は埼玉藩士(※ファンは住む地域+藩士で名乗ることがある)の1人だ。まさかこの作品を通じて『水曜どうでしょう』のことを書けるなんて夢にも思わなかった。なんとも嬉しいコーナー40回目だ。

 最後に、再びコミカライズされたら、子どものころ小鹿をワニの餌にして与える遊びをしていた伯爵家大泉の話が見たい、そしてこれらの話を“大泉洋の冒険物語”シリーズとして映像紙芝居化を!


※次週は正月休みします。翌々週の1月8日が2021年1発目です。よいお年を。

文・手書きPOP=はりまりょう