新たに定期接種に加わったロタウイルス。家族が感染した時の対処法も紹介!/感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた④

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公開日:2021/1/19

ロタウイルスワクチン

 消化管の感染症の症状は下痢と嘔吐です。腸管感染症にはコレラ、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌感染症とノロウイルスやロタウイルスに代表されるウイルス性感染症があります。その多くは食品を介する食中毒として報告されています。焼肉の病原性大腸菌や生カキを介するノロウイルス感染などがニュースになります。一方、ロタウイルスは世界中の乳幼児が冬期白色便性下痢症として5~6歳までに何回か繰り返し感染します。重症化して脱水症で入院する例がたくさんあり、みんながかかる病気として捉えられています。

 麻疹、風疹、おたふく、みずぼうそうは血液の中にウイルスが侵入してウイルス血症をおこします。血液中にこのぐらいの抗体があると感染を抑える、このぐらいあると発症しないということがわかっており、その抗体レベルに達することをワクチンの有効性の指標にしていました。ところが、ロタウイルスは腸管に感染するためウイルスが血液の中に入ってくることはありません。そうすると血液の中にどのくらいの抗体があると感染を抑えられるかといったことがわかりません。ワクチンを打ってなければほぼ全員がかかる病気ですから、ワクチンを打った群と打ってない群で何人がかかったかをはかる方法でワクチンの効果を観察することしかできません。有効性が認められて認可され大勢に使われて初めて本当の意味での安全性が確認できます。最初に認可されたロタウイルスワクチンは腸重積が増えることがわかり中止になりました。しかし、世界中では脱水で亡くなる子どもたちが多いことからワクチンの必要性は変わらずワクチンメーカーは改良を重ね2種類のワクチンが6万例の臨床試験の結果認可されました。我が国でも慎重に腸重積の調査がおこなわれ2020年から定期接種のワクチンとなりました(10月1日以降)。

 ロタウイルスは腸管に感染することから経口投与のワクチンとしてロタウイルスワクチンは成功しました。腸管の粘膜感染はインフルエンザの呼吸器感染と同じ粘膜感染症です。血中の抗体が感染防御に確実に働いているものではなくウイルス血症を起こす麻疹などのワクチンと別に考えることが必要です。

<第5回に続く>

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