何げないツイートが大反響! センスもカッコよさもいらない、アラサーから行うべき“身だしなみ”/大人男子の「超」清潔感ハック②

暮らし

公開日:2021/1/20

「年齢を理由にあきらめる」のはもう古い。今や男性でもスキンケアをして、肌の手入れをする時代。現役美容師であり、YouTubeチャンネル登録数10万人を超す宮永えいと氏が、アラサーから意識するべき「大人男子の身だしなみ」の新常識をご紹介!

大人男子の「超」清潔感ハック
『大人男子の「超」清潔感ハック』(宮永えいと/KADOKAWA)

なぜ何げない身だしなみツイートが大反響したのか

 2年前、まだ何の影響力もなかった僕は1つのツイートをしました。そのとき、今まで経験したことのない数の通知音が鳴り、 その日から「身だしなみ」の発信者となったのです。そのときのツイートがこちらです。

大人男子の「超」清潔感ハック

 僕がここで紹介したのは、男性用のファンデーションを塗っている動画と、そのファンデーションについて書いた文章でした。今は女性は化粧をするのが当たり前になっていますが、男性に目を向けてみると身だしなみに気をつけている人は少ないと思います。身だしなみは女性だけが気をつけるものなのだろうか。男性も気をつけたほうがよいのではないか。そんな思いを込めてこのツイートをしました。

 メンズメイクと言うと、若い男の子がやっている「韓国アイドル風メイク」のような派手なものを想像するかと思いますが、僕が考えているものはまったく違います。

 昔から「不潔なオジさん上司は煙たがられる」と言われていますが、自分がそうならないためにも、年をとるにつれて現れるクマを隠したり、くすんできた肌を補正したりすることが大切です。そうした身だしなみの一環として「自分のマイナスポイントを修正する身だしなみのメイクをしませんか?」というのが僕の提案する身だしなみです。

 この発信をして多くの反応が得られたとき、「ビジネスパーソンはこうあるべきなんだ」と確信を持つことができました。というのも、女性からの共感リツイートがほとんどで、ほぼ100%肯定的な意見だったからです。「男のくせに……」というアンチコメントにどう対処していこうかと考えていたので、まさかの展開に驚いたのを覚えています。

 さらに発信を続けていくと、スキンケアやムダ毛処理などのコンテンツに、主婦の方から多くのコメントやメッセージをいただきました。

「今すぐ旦那に教えたいと思います」
「紹介していたものを一式、旦那にプレゼントしたら早速やり始めてくれました!」

 そんなメッセージに幸せな気分になったものの、実はこういった内容は「意外」だったというのが正直なところです。

 結婚して長い時間が経ち、「いや~、うちの旦那なんて」と外では言っていても、奥様はずっと「旦那にカッコよくいてほしい」と思い続けているんだ、と自分も背筋が伸びました。

 この2つの要素を見ると、仕事とプライベートのどちらにとっても身だしなみを整えることは大事であり、「清潔感があること」は大人男子の身だしなみのファーストステップと言えるのではないでしょうか。

 第1章では僕が考える身だしなみについて、そして目指すべき方向性を考えてみたいと思います。

大人になると「見ため」をあきらめる最大の理由

 皆さんは今、何歳くらいでしょうか。

 アラサー世代から、50代以降の方もいらっしゃるかと思います。

 そこで質問ですが、まだ20代前半で大学生前後だったとき、ファッションやヘアスタイルなど「見ため」を少しでも気にしていましたか?

 おそらく、ほとんどの人が首を縦に振るでしょう。特に、東京の大学に通っていた男性では限りなく多いのではないでしょうか。

 見ためを気にする原動力の多くは「モテたいから」「就職活動のため」だと感じます。恥ずかしながら、僕も学生時代に何か行動を起こすきっかけは、ほぼ「モテたいから」でした。インターネット掲示板をやっていたときでさえ、あわよくば「見ためを磨いてモテたい」と思っていたはずです。スポーツやバンド、読書やインテリア、もちろんファッションや髪型も、きっかけはみんなそうでした。そして、就活のときに初めて清潔感を意識するようになりました。

 学生はサークルや飲み会など新しいコミュニティに参加することが多く、「自分がどう見られているのか」を考えるよいきっかけになっていたと思います。

「印象をよくして女の子にモテたい」
「彼女がほしい 」
「マッチングアプリ用にカッコいい写真を撮らなきゃ」

 意図的にというよりは本能的にだったと思いますが、明確な目的(モテたい)のために服装や髪型をよくして「武器」をつくっていました。

 さらに、就活時は短く切り揃えたヘアは当たり前。真新しいリクルートスーツと、アイロンをかけたパリッとしたシャツに腕を通し、背筋を伸ばして面接に挑んでいたはずです。

 ところがどうでしょうか。皆さんの上司で、フレッシュで小ぎれい、「まるで歩く清潔感だ!」と形容されるような人はいますか?

 少なくとも、僕が普段乗っている山手線では毎朝「お疲れ顔で覇気のないオジさん」がほとんどです。

 ですが、考えてみてください。そんな上司にもみんな、20代前半の「モテたい時期」「就活期」があったのです。今では自分の見ためなんてぜーんぜん興味がなさそうなあの人も、きっと昔は気にしていたんです。

 ということは、あなたの未来はどうでしょうか。そう考えるとやっぱり気が抜けません。

 でも、あきらめなければ大丈夫です。なぜ年をとると男性は見ためを気にしなくなってしまうのか、紐解いていきましょう。

マンネリは現状維持ではなく後退である

 僕は26歳を過ぎたあたりから、「今日、疲れてますか?」と2週間連続で、毎日お客様に言われたことがあります。 そう言われるたびに「心配してくれているなんて嬉しい」ではなく、「気を使わせてしまって申し訳ない……」と感じていました。

「モテ・就活」を原動力にしてあれだけ見ために気を使っていた僕でさえ、仕事に没頭する毎日で様子が変わっていたのです。

「最近、全然キラキラしていないな」

 スキンケアなんて特に調べることもせず、いつから置いてあるかわからない化粧水を塗ったり塗らなかったり。ヘアスタイルは20代前半に定番化したお決まりヘアをこだわりもなく継続。服の購買欲は以前よりも落ち、全盛期の服を長年着用。 そうです、完全なる「見ためのマンネリ化」が訪れていました。職場には「気になるあの子」がいないので、見られる意識などいつの間にかどこへやら。しかし思考停止した身だしなみは、不潔感を増していくのです。その結果が「今日、疲れてますか?」です。

「この化粧品は自分に合っているか」
「紫外線対策ってしたほうがいいのか」
「この髪型は若づくりになってしまっていないか」
「この服はこれまで何回洗ってクタクタになっているのだろう」

 何も考えずアラサーを過ごしていると、そんなことなど考えなくなってきます。

「いいえ、季節や環境でスキンケアは変えるべきです」
「日焼け止めを塗らないと、将来シミが増えます」
「その束感ヘアはとっても若づくりで逆効果です」
「その服、正直なところお下がりレベルで、クタクタになっていて不潔です」

 そんなことを親切に教えてくれる人はいません。

 みんな大人なので気を使って心の中にしまっています。それを長年続けると、自分を俯瞰すれば感じるはずのことが次第にわからなくなってくるのです。

 気づいたときには「数年間のブランクがあるから、身だしなみって言われても何から手をつければいいかわからない……」という状況になり、それでいて相談することもできなくなっています。

 しかし後々僕が気づいたことは、20代前半の見ための捉え方と、アラサーからの捉え方はまったく別物ということでした。

「モテたい」が原動力のファッションをする必要はもうありません。まったく違う動機だから、そもそもブランクなんてないのです。

身だしなみにセンスもカッコよさもいらない

 それから試行錯誤した結果、アラサーからの身だしなみの方向性がわかりました。

「もうカッコよくなくていい」

 それが僕が出した答えです。

 思い返せば、若いときは「雰囲気」「オシャレ感のあるコーディネート」などを重視した自己満足ファッションでしたよね。言わば「イケメンになるための武器」としてアイテムを買い足していたのです。「雰囲気イケメン」なんていう言葉があったように、オシャレな佇まいを目指す人が多かったように思います。

 ですが、アラサーから行うべきことは言葉通りの「身だしなみ」であり、これはオシャレとはまったく別物だと考えます。ためしに『広辞苑』で「身だしなみ」の意味を調べると、こう書いてあります。

・容姿・服装・言葉遣い・態度などに対する、心がけ。「―のよい人」
・心がけとして教養・技芸などを身につけていること。「紳士としての―」

 この辞書の意味合いからもわかるように、身だしなみとは「人に対して自分を整える」という、とてもビジネス的な見ための捉え方です。

 これなら「ブランクがあってもできそうだ……!」と着手しましたが、思ったより簡単かつ結果が出るのも早いので、身だしなみをアップデートするのがどんどん楽しくなってしまったのです。

 センスなんていらない。実験台は自分。学生のときより自己投資できるお金もある。

 身だしなみはセンスや技術なんてなくても簡単、かつ、すぐに結果が出る、社会人にとって好都合なビジネスツールの磨き方だなと感じました。

<第3回に続く>

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