心霊スポットでドキドキ…でも実は和み系。夏の夕陽が町と物語を素敵に染める『ゆうやけトリップ』/マンガPOP横丁(53)

マンガ

更新日:2021/4/2

『ゆうやけトリップ』(Perico/KADOKAWA)
『ゆうやけトリップ』(ともひ/芳文社)

 突然ですが、ここで2つ大事なお知らせがあります。まず1つめ。この連載で4月に予定しているタイトルのラインナップが、動物キャラのかわいい系や優しい景色、尊い人物の登場する作品が続きます。暖かくなり、桜など花が咲き始める穏やかな4月にピッタリな作品たちにどうぞご期待ください!

 そんな4月の1回目にお送りする作品は、ふたりの少女が地元の町で体験する、怪談と青春と友情の物語、ともひ先生の『ゆうやけトリップ』(芳文社)をピックアップ! 怪談というと、苦手な方は避けてしまうかもしれない。しかしこの連載は誰もが楽しめる作品をご紹介する場である「マンガPOP横丁』。ただの怪談マンガではございません。むしろ読んでいて和む内容になっています。まずはその内容を簡単にご案内。

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 季節は夏。近頃、とある生徒が持ち込んだ雑誌がキッカケで、この町にまつわる“怖い噂”を学校でよく耳にするようになっていた。その噂というのは、ある現象が起こるという心霊スポットのこと。実際にその場所に突撃したら謎の声が聞こえて、怖くなって逃げて帰っちゃった子もいるとか。

 そんな心霊スポットブームには無縁の学校生活を過ごす、新聞部に所属するほぼ幽霊部員の蜷森茜(になもりあかね)は、今日も幸せそうにお弁当を食べていた。そんな茜に不運が訪れる。新聞部が壁新聞の夏の新連載として「心霊スポット町内レポート』をスタートさせるというのだ。そしてその取材担当者はくじ引きの結果、茜に当たってしまう。早速取材の要請が下り、帰り道に心霊スポットへ行く羽目に。

 緊張したまま部室を出て、少し駆け足で自分の教室に戻ると、そこにはまだ1人の女子が残っていた。彼女の名は雨村藤乃(あめむらふじの)。茜の隣の席に座る転校生だ。不安でいっぱいのまま学校を出る準備をしていると、「ねぇ、どうしたの?」と藤乃に声をかけられ、茜は思わず、「帰り道ふたりで心霊スポットに寄り道しませんか?」と藤乃を誘ってしまう。こうして取材は2人で行うことに。

 向かった心霊スポットは、“幽霊とすれ違うトンネル”。行く前はどうなることかと思っていたが、藤乃と楽しくおしゃべりしながらの道のりはとても楽しく、藤乃の落ち着いた雰囲気に次第に安心していく茜。そうしているうちに現場であるトンネルに到着。しばらく進んでいくと、「コツコツ…」と、誰もいないのに足音が茜たちの耳に入ってくる。果たしてこれは幽霊なのか。この取材をキッカケに、茜と藤乃だけの特別な下校の日々が始まる――。

 ふたりがこれから巡る心霊スポットはガチで結構怖そう。そんな場所にふたりが足を踏み入れ、真実を調査していく。あくまで生徒の噂レベルではあるのだが、噂になる理由が実に納得できるものになっている。同時に茜と藤乃が仲良く下校する様子と、作品の舞台である町の風景がとてつもなく綺麗。特に1巻中盤で鮮やかに広がる12ページは感動モノだ。私がこの作品を紹介したくなった一番の理由がこれだ。そして、物静かで転校生ということ以外は謎が多い藤乃と、笑顔がかわいい天真爛漫な茜との凸凹コンビが見てて最高だし、さらに幕間の「おやすみ茜ちゃん」が、これまた微笑ましくてイイ。そう、怖いよりも綺麗&かわいいが勝る作品になっているのだ。

 そんな町を探検する少女たちの、ちょっぴり怖くて楽しい帰り道、みなさんも同行してみては?

 あ、大事なお知らせの2つ目。それは……前回で連載開始1周年!でした!ということで、2年目もたくさんの方にご覧いただけるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします!

文・手書きPOP=はりまりょう

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文・手書きPOP=はりまりょう

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