記憶がなかなか定着しないのは、時代も一因? 記憶の定着や理解力の強化には、“あえて”の方法が有効/絶対忘れない勉強法④

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公開日:2021/4/16

絶対忘れない勉強法』から冒頭部分を全5回連載でお届けします。今回は第4回です。科学的研究から導き出された、知らないと損する門外不出の44の勉強法の中から厳選してご紹介!勉強しても「頭に入らない」「忘れてしまう」「集中できない」「やる気がでない」「すぐ飽きてしまう」…それは、勉強のやり方が間違っているからかもしれません。

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絶対忘れない勉強法
『絶対忘れない勉強法』(堀田秀吾/アスコム)

03 スマホで読むより紙で読むほうが脳への定着率が圧倒的に上がる

やるべきこと☞ テキストはなるべく紙の本にする

 

紙で読んだほうが理解度も高く、覚えやすい

「電子書籍は便利だけれど、どうも頭に内容が入ってこない」「電子書籍で読むより、紙の本で読んだほうが記憶に残りやすい気がする」「確実にインプットしたい内容の本は必ず紙の本で読むようにしている」という方。その感覚と選択、大正解です。

 紙で読むほうが、スマホやパソコンの画面でテキストを読むより、インプットされやすい、ということは実証されています。

 紙と画面というデバイスの違いに着目した研究を行ったのが、ノルウェーのスタヴァンゲル大学のマンガンらです。

 72人の10年生(日本でいう高校1年生)を対象に実験を行っています。

【実験内容】

 物語文と説明文の読解問題、単語理解問題(「housecareseafree」のように、つながった文字列を単語に分ける)、および語彙力の問題が出題された。物語文と説明文の読解問題は4週間後に事後調査も行った。テストは、紙とモニター上で見るPDF(1400~1600語のテキスト)とで実施された。

 この結果、紙で読んだほうが内容に入り込みやすく、理解度も高く、覚えやすいという結果が出ました。

 この論文によると、スクロールによって自分が読んでいる箇所の空間的な把握が難しくなることが、理解の障害になるとしています。もしかしたら、スクロールを必要としない短い文章なら、起こらない問題なのかもしれません。

 とはいえ、文章を読むだけならPDFにネガティブな要素は少ないけれども、理解については紙のほうがよいとマンガンらは結論付けています。

 近年、文字は読めるけれど、内容が理解できない人が増えていると感じます。その理由に、スマホやパソコンの画面の進化と、映像文化の隆盛が関係している気がします。現代は、YouTube やTikTok のような情報が生活に根付き、映像を見る時間が圧倒的に多くなっています。

 文字を読むのが苦手、という学生に出会うのも日常茶飯事。といいながら、私自身もSNSでの連絡はひっきりなしですけどね。

 受験や資格試験などの問題文の意図の理解は、問題を解く基本の「キ」。内容を理解できなければ、正解にたどり着くのは至難の業ですよね。読解力や集中力などに不安がある方は、紙ベースの勉強を増やしてみてもいいのではないでしょうか。赤ペンやマーカーを引きながら読めば、さらに頭に入ってきます。

まとめ

どうしても頭にたたき込みたいときや理解力を強化したいときは、あえて紙に出力して読む。

<第5回に続く>

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