「まつもとあつしのそれゆけ！ 電子書籍」 【第15回】楽天koboはなぜつまずいたのか？そして盛り返せるのか？

カテゴリ分けや検索がヘン？

かべ　：日経新聞では検索がうまく行かないという指摘がありましたね。UI（ユーザーインターフェイス）をもっと洗練させるべき、と。

まつもと　：たしかに、ハードウェアの方は、山口真弘さんのこちらの記事に詳細なレビューがありますが、「ここまで(サーバーサイドとみられる問題も込みで)完成度が低いまま端末を投入してくるというのは、個人的にはちょっと予想できなかった」と非常に厳しい評価をされています。またkoboストア側には小説のカテゴリに漫画が含まれていたり、巻数が表示されないといった問題がありますね。

かべ　：その点については楽天さんに質問を送ってお返事頂いています。「本事象については、すでに改修の対応を開始しております」とのことですね。実際、巻数は表示されるようになったかな？

まつもと　：具体的な原因は明かしてもらえませんでしたが、ストアのシステムが英語ベースになっていることが、日本語の扱いを難しくしている面はあるかも知れないですね。グーグルも英語のシステムをそのまま検索に使うのではなく、国内に開発部隊をおいて対応してますから。あと巻数や関連書籍が適切に表示されないという指摘は、出版社から提供される書誌情報が十分でないか、あるいは提供されているのに、うまくデータベースに反映されていないのかもしれません。

かべ　：なるほど。海外でうまく動いているからといって見た目を日本語にするだけではダメなんですね。

まつもと　：2バイト言語はローカライズ泣かせですから。ハードウェアとあとこの後お話しするEPUB3対応などの現状を見ると、きちんと動作するまではまだ時間が掛かるかもしれませんね。

かべ　：そうか、リーダーとストア、そして書籍コンテンツの3箇所に残念ながら課題を抱えているわけですもんね……うーん。「書名」だけが検索対象になっているように見える件についても、「対応を進めたい」との回答です。

まつもと　：最もクリティカルな課題は書籍コンテンツの数だと思います。いくら検索やカテゴリ分けが適切にされるようになっても、肝心のタイトル数が少ないままではユーザーが満足する結果は得られませんから。

日本語EPUB3への対応

かべ　：たしか、まつもとさんもkoboがスタートする前の回で、そこが心配だ、と話していましたね。

まつもと　：そうなんですよね、発表会でも中の人に質問したりしてました。はい。

かべ　：こちらも楽天さんからお返事頂いています。「日本語のコンテンツは約3万弱ご用意しております。今後、（8月の）月末までに6万、年内20万コンテンツをご用意すべく、準備を進めております」

まつもと　：7月31日時点で頂いたお返事ですよね？

かべ　：そうですね……。

まつもと　：うーん、そのタイミングだと2万点前後だったはずですね。7月中に3万タイトルと宣言されていたのに対して、「3万弱」と仰るのはちょっと厳しいかもです。そして、8月末、そして年内の目標数字がかなり大きいですね。