「私が我慢してすむことなら…」それって本当に赤ちゃんのためになっているのでしょうか?/子育てで眠れないあなたに⑥

出産・子育て

公開日:2021/4/25

子育てで眠れないあなたに』から厳選して全11回連載でお届けします。今回は第6回です。「ママは眠れなくて当たり前」…それって本当に「当たり前」ですか? 最も睡眠がおろそかにされている人、それは母親ではないでしょうか。「助けて!」と叫んでいいんです。ママと赤ちゃんを救う睡眠サバイバル術を大公開!

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子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策
『子育てで眠れないあなたに 夜泣きドクターと睡眠専門ドクターが教える細切れ睡眠対策』(森田麻里子、伊田瞳:著、さざなみ:イラスト/KADOKAWA)

ママの我慢で赤ちゃんが幸せになるわけじゃない もりたま先生

 新生児期を過ぎると、夜中まとまって眠れるようになる子も増えてきますが、なかには細切れの睡眠が続いたり、急に夜泣きが始まってしまう子も出てきます。

 赤ちゃんが欲しがるから、赤ちゃんが望んでいるから、夜中に何度も抱っこや授乳をする生活に耐えている。それがだんだんツラくなってきて、ある日ママのイライラが爆発したり、体調が崩れたりするとしたら……それって、赤ちゃんが望んでいることでしょうか。

 赤ちゃんを第一に考えるあまりママが我慢することは、赤ちゃんのためにもなりません。赤ちゃんの幸せは、ママがハッピーであることが大前提。

 確かに育児は大変なことも多いですが、楽しいことと大変なこと両方あるからやっていける。でも、毎日ツラいことばかりで、楽しいはずのこともあまり楽しくなくなってしまっているとしたら、それを我慢しているママに育てられるって、赤ちゃんにとってどうでしょうか?

 赤ちゃんのほうから、「ママがそんなにツラいのなら、抱っこじゃなくても我慢しようか?」と言ってくれることはありません。ママを幸せにするのは、赤ちゃんの責任ではないのです。赤ちゃんを守るためには、ママや周りのご家族が、自分たちの心と体の健康を守って幸せでいることが必要です。

 保健師さんや助産師さんとお話しさせていただくと、よく皆さんおっしゃるのが、「『とにかく赤ちゃんを泣きやませないと!』と思いつめているママがとても多い」ということです。これは、ママたちを見ていて私自身もとても気になっていることです。

 毎日一人で赤ちゃんに向き合っていると、どうしても赤ちゃんをすぐに泣きやませることだけが目標になってしまうこともありますよね。

 でも、赤ちゃんが泣くのは自然な感情表現で、悪いことではありません。普通に暮らしていて、まったく嫌なことがない生活なんて、あり得ないですよね。それは赤ちゃんだって同じこと。ちょっとイライラしたり、思い通りにならないことがあるのは当然です。

 不快感を感じることではじめて、うまく自分の感情をコントロールすることを学ぶこともできます。それも、赤ちゃんにとって大切なことかもしれません。

 そう考えると、「今、トイレ行ってるから、ちょっと待っててね」「ママ眠いからずっと抱っこはできないな」と言って、赤ちゃんを待たせる余裕も出てくるかもしれません。

 そして実は、特に夜中に赤ちゃんに少し待っていてもらうことは、夜泣きを改善することにもプラスに働くのです。

 私が我慢してすむことなら……と思ってしまうママも多いけれど、それが本当に赤ちゃんのためになっているのかと考えたら、ママももっと堂々と休めるはずです。

 周りのご家族も、ママがもっと我慢するべき、頑張るべきという考えは捨ててください。イライラ疲れているママと一緒にいるよりは、余裕があって満たされているママと一緒にいるほうが、赤ちゃんも安心してのびのび育っていけると思いませんか?

 赤ちゃんを幸せにするために大切なのは、まずはママが幸せになること。そのために何ができるかを、ママも、周りのご家族も、真剣に考えないといけません。

<第7回に続く>

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