あなたも「インフルエンサー」になれる⁉ “影響力”はテクニックで身につく!/超影響力①

ビジネス

公開日:2021/5/6

超影響力』から厳選して全6回連載でお届けします。今回は第1回です。圧倒的影響力と人の心を見透かす力を持つ、メンタリストDaiGoが放つ “影響力の決定版”! 本書では、大衆扇動や群集心理をもとに、効果が科学的に実証されている、集団や個人の動かし方、流行や熱狂の起こし方を伝授。相手を動かしたいすべての人、必見の1冊です!

超影響力
『超影響力~歴史を変えたインフルエンサーに学ぶ人の動かし方』(メンタリストDaiGo/祥伝社)

世界の情勢、世の中の流行、社会の動き、仕事の出来不出来から人間関係まで――。

それらすべてを決めているのは、「影響力」です。

 

「超影響力」という名のこの本を手に取ったみなさんは、おそらくそのことに気づいていることでしょう。

これまでにも、「この人の話は聞きたい」「この人はすごい」「この人のオススメはほしい」「この人についていきたい」「この人には逆らえない」と思わされる人物のことを、「カリスマ」「天才」「インフルエンサー」あるいは「人たらし」「黒幕」などのように呼んでは、人を動かすそのパワーについて実感してきたはずです。

では、そういった一部の能力者たちと、それ以外の人とでは、それほどに違いがあるのでしょうか?

 

答えはノーです。

 

すべては、この本にあるテクニックを意識的にせよ、無意識的にせよ、使っているかどうかだけ、です。

そしてそのテクニックは、意識をすることで誰でも簡単に学び取れるものなのです。

 

それでは、何をすることによって、あなたも人を動かすことができるようになるのか、歴史的偉人たちの例や研究機関のデータをもとに、特に有効なものを「超影響力」としてお伝えしましょう。

プロローグ――「超影響力」で何が変わるのか?

 最初に1つ、白状します。

 今、こうして〝人を動かす影響力〞の本を書いている私ですが、子どもの頃からずっと人付き合いが苦手でした。

 

「でも、大人になって改善し……」と、苦い過去を振り返りながら語っていきたいところですが、実は現在でも得意ではありません。

「Dラボ – メンタリストDaiGoの心理学徹底解説」や、YouTubeライブでの印象が強い人は、物静かな私をイメージしづらいかもしれません。

 動画では、多くの人に新しい知識を伝えるため、超早口で、身振り手振りも大きく、ときには一人二役の小芝居も入れながら話しています。

 テンションは高く、社交的に見えるかもしれません。

 しかし、普段の私は人見知りで無口です。

 

 最近は出演を減らしていますが、テレビに出るとき、人付き合いが苦手な自分に改めて気づきます。

 番組収録が行なわれるスタジオと控え室の間には、撮影の準備が整うまでの時間、出演者が待機するためのスペースがあります。飲み物やお菓子も用意されていて、芸人さんやタレントさんたちは、それぞれに談笑し、にぎやかな雰囲気です。

 でも、私はというと、本番の声がかかるまで壁際で気配を消して本を読んでいます。これは企業や地方での講演でも変わりません。できるだけ控え室で静かに過ごし、人が集まる場は避けつつ、どうしてもそこにいなければならないときは、壁の花状態に。

 なぜ、そうなるのか……理由ははっきりしています。

 私はどちらかと言えば、「コミュ障」に近い内向的な性格だからです。

 

 以前、「ビッグファイブ」と呼ばれる、科学的に最も信憑性が高いとされる性格分析テストを試したところ、私は協調性と共感能力が極端に低いことがわかりました。

 この性格特性の人は、1人で行動することを好み、他人に対して批判的になりがち。その結果を知って、私は自分が小中学生時代になぜイジメの対象となったのか、理由がよく理解できました。

 本好きで、他人に批判的。

 普段は黙っているのに「こうだ」と思ったことは言わなければ気が済まず、クラス内のパワーバランスや人間関係など気にしない。空気を読めないヤツが辛辣な批判と譲れない自己主張を続ければ、攻撃の対象になります。

 その結果、上履きに画びょうを入れられたり、トイレで水責めにされたり、ドラマでしか見られないような出来事が日常的に降りかかってきました。イジメは小1から中2まで8年間続き、友達はいませんでした。

 当時は、「クラスが変われば誰かが助けてくれるはず」「担任が変われば気づいてくれるはず」と期待しては、裏切られることの繰り返し。人との関係が思うようにならないのは、周囲のせいだと思っていました。

 

 そうした最中の中2のある日、詳しい経緯は過去の著書に書きましたが、私は怒りを爆発させ、周囲が恐れを抱くような事件を起こします。その結果、孤立していることは変わらないものの、イジメは終わりました。

 そのとき、私は「他人は助けてくれない。ならば自分で自分を助けよう」という大きな発見をします。

 それがメンタリストDaiGoに至る出発点にもなったのです。

イジメを受けていた私の状況は、「影響力」で変わった

 この経験は、私にとって大きな財産になりました。

 なぜなら、「自分から行動を起こせば、世界が変わる」という強烈な学びになったからです。「先生がいつかとめてくれる」「転校生がやってきて親友になり、自分を救ってくれる」といった願望や空想は、一時の慰めにしかなりません。

 しかし、自分から動き出せば、状況はいくらでも変わっていきます。

 そのことを理解した当時の私は、「天然パーマの髪にストレートパーマをかける」「メガネをコンタクトレンズにする」「下から3番目だった成績を学年3位以内にする」と決め、次々に実行に移していきました。

 すると、第一印象を左右する外見に手を加え、目に見えて能力がわかるテストの点数を伸ばしていったことで、周囲の人の自分を見る目が変わっていきました。

 自分の本質的な性格、考え方は変えなくても、見せ方や伝え方、表現方法に気を配るだけで、周囲からの評価が変化していくことを実感したのです。

 

 こうして自分の変化に手応えを得た私は、その後、本格的に心理学、統計学、行動経済学、脳神経科学などを学び始めました。

 また、さまざまな分野の知識を得る過程で、私が外見の変化やテストの点数アップによって得た効果は、「説得力」と「影響力」によるものだったことに気づきます。

 そしてこの2つの力を最大化したものとして、かつて偉人たちも活用してきた「大衆扇動」のテクニックにたどり着いたのでした。

「説得力」と「影響力」を組み合わせた「超影響力」とは?

 ところでみなさんは、「メンタリスト」とは本来何者であったか、ご存じでしょうか? 歴史的に紐解くと、元々は欧米において政治家のブレーンとして、演説の原稿を用意し、語り方や身振り手振りの効果的な使い方をアドバイスし、大衆の心を動かす手助けをしてきた存在でした。

 つまり、そもそもメンタリストの専門とは大衆扇動であり、そのスキルは政治家などをサポートする過程で「説得力と影響力を組み合わせ、人々の行動を促す技術」として研ぎ澄まされていったものなのです。

 

 とはいえ、人を煽り、動かす「大衆扇動」という言葉は、あなたにダークなイメージを与えるかもしれません。私もこの力をプロパガンダなどに悪用してほしいわけではありません。

 そこで本書では、「説得力と影響力を組み合わせ、人々の行動を促す技術」のことを「超影響力」と呼ぶことにしました。

 目の前の相手を、グループを、組織を、たくさんの人々を、説得し、影響を与えて、動かす超影響力――実際、私自身もこの力を活用することで、大きな権力や他人、特定の場所や時間に依存しないような仕事の進め方を実現できるようになりました。

 

 メンタリストとしてバラエティ番組に出演していた20代の頃、私は寝る間もないほどの忙しさの中で強いストレスを受けて苦しみ、メンタリストであるにもかかわらず、メンタルのバランスを崩し、逃げることを選びました。

 とはいえ、間違っていることや効率の悪いことに気づくと、場の空気など読まずに指摘してしまう私には、「上司が」「先輩が」と物事の白黒よりも立場に配慮する、いわゆる日本企業的な環境に行っても、うまくやれそうにはありません。

 そこで私は、パフォーマーとして奇跡の技を望む世間やテレビの世界の期待に応えることをやめ、原点に立ち返って「超影響力」を駆使することにしました。

 これまで学んできたさまざまな学術的な研究データを、多くの人の日常に役に立つ形にまとめ、超影響力のテクニックを使いながら、発信を始めていったのです。

 その結果、今、約8万人の有料会員がいる「Dラボ – メンタリストDaiGoの心理学徹底解説」を中心に、あなたのように学ぶことが好きな人、学んだことを試す意欲のある人、かつての私と同じように人生を変えたいと願っている仲間、そんな人たちが集まるコミュニティを作ることができました。

 そして私の周囲には、このやっかいな性格を理解してくれる少数の優秀なスタッフがいて、結果的にストレスなく、いくつものビジネスを形にすることができています。

 

 最初に白状した通り、私は大人になった今も協調性は低く、共感能力も高まってはいません。自分の内面の基本的性格も考え方もそのままです。

 それでも、超影響力はその効力を発揮します。

 もしあなたが私に劣らず人付き合いが苦手だったとしても、気にすることはありません。超影響力は、内向的か外向的かに関係なく、仕事や人間関係にポジティブな変化をもたらすことができるテクニックなのです。

<第2回に続く>

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