無人島にひとつだけ持っていくなら何?/巴奎依の社会不適号㉛

アニメ

公開日:2021/5/7

巴奎依
撮影=山口宏之

最近、無人島での生活を余儀なくされるアニメを観ていて、よくある定番の質問「無人島にひとつだけ持っていくなら何?」について考えていた。

何度か聞かれることがあった質問だが、イマイチ「これだ!」と思えるような答えを見つけられたことがなく、今まではとりあえずの回答として「鏡」と答えていた。

自分の存在こそが人生の楽しみである私にとって、無人島での「とにかく生きなくちゃいけない」という目標とは別に、自分の好きな自分でいることはひとつの娯楽に当たるんじゃないかと想像した。

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そこまでしっくりきている答えではないけど、1番ベストに近い回答だった。

だけどよくよく考えてみたら、無人島生活を送る中で段々と恐ろしくなってくるものはきっと「退屈」なのではないか、と考えはじめた。

食べ物や、水分にはどうにかありつける前提で
何もすることがなくなってしまったとき、この先に何もないと悟ってしまったときにこそ、生きる意味を見失ってしまうのではないか。

無人島に行く予定も何もないけど、そんな想像をして少し怖くなった。

ここまで考えたうえで、今の私の「無人島にひとつだけ持っていくなら何?」に対する回答は「音楽」だ。

もしかしたら「トランプ」でも良いかもしれないし、「ボードゲーム」でも良いのかもしれないけれど、絶対に音楽を持っていきたいと思う。

人工的に作られた音がない世界に片時も居たことがないから想像できないが、
とりわけ音楽が好きな私は、音楽を聴けないという状況ってきっとすごくつらいんじゃないかと思う。

ちょっとした移動時間とか、空き時間とか。
その時間に音楽がないだけでなんだか居心地が悪いし、頭の中のネガティブな思考を止めたいとき、私には音楽が欠かせない。

今思うと、広い芸能界の中で私がお芝居などの役者という道ではなく、アイドルの道に進んだのは、音楽が根っこにあったからなのかもしれない。

私はアイドルの業種は、音楽だと思っている。

自分を切り売りしなくてはならないし、いわゆるアイドル的な活動をメインとしていても、大元は音楽であるべきだし、音楽を一番に重視してほしいのだ。

だから音楽をしているアイドルがとても好きだし、CDジャケットがかっこいいとテンションが上がるし、既存曲のアレンジバージョンを新録していると、そうでなくちゃと思う。

今一度、アイドルは音楽を売っているし、
アイドルオタクの根っこには音楽好きという側面がある、という認識が広まればいいのにと思う。

ともえ・けい
2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。現在、インターFMにて毎週土曜28:30〜「DJサブカルクソ女の音楽解体新書」にてDJ番組を担当、DJCD「A応P BEST DJCD PRODUCED by DJサブカルクソ女」をリリースするなど、「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。
公式Twitter:@kei_tomoe
公式Instagram:kei_tomoe_official