快作で怪作!陰キャ少年が陽キャを目指す、キャラ変ギャグマンガ!『陽気なしめりけ』/マンガPOP横丁(59)

マンガ

公開日:2021/5/14

陽気なしめりけ
『陽気なしめりけ』(緒木鈴人/小学館)

 あはははははは! さぁ、読者のみなさん。この時だけ陽気なキャラ、いわゆる“陽キャ”気分で読んでみませんかぁ〜!? 私も「今週も人気記事ランキングトップ10に入ってない……ぶつぶつ……」などと無表情でつぶやきながらパソコンのキーボードをたたくというジメっとした気持ちを消去して、今回の作品を紹介したいと思いまぁ〜す! ウェ〜イ、イェイイェイ!

 たとえばあなたが普段は陰気な性格であっても、好きな人に“陽気な人がタイプ”なんて言われたとしたら、それに近づけられるように頑張っちゃいますよね? そんな好きな女子に振り向いてほしいがために大胆なキャラ変を試みては近づいて反応をうかがう少年の奮闘を描いた学園ギャグマンガ、緒木鈴人先生の『陽気なしめりけ』(小学館)をチェケ、ラー!

 明らかに陰気な見た目と雰囲気の男子高校生・根倉しめりけくんには、密かに憧れる女子がいた。その子は、クラスのマドンナ・広印美笑子さん。ある日クラスの女子が広印さんに「好きな男の子はどんな人?」と質問しているところに出くわす。広印さんの回答は「陽気な人かな」。この言葉を聞いたしめりけくんは、次の日、母親に陰気との決別を宣言する。

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 母親はその行動を止めようとするが、彼はもう止まらない! 完全に吹っ切れた表情でいざ学校へ。今まで見せたことのないテンションで教室へ向かい、広印さんに挨拶すると、なんと反応は好感触! しかしその直後にみっともない姿を見せてしまったので、次の授業での挽回を試みる。果たしてその作戦とは。そして再び広印さんに好印象を持ってもらえるのか。

 陽気の塊である男子・明杉くんの秘密を探ってみたり、しめりけくんの妹にも陽気の波が押し寄せてきたりとさまざまなことが巻き起こる、陰キャチェンジ学園ギャグマンガはまさしく快作で怪作。設定から何からいろいろとヤバいので「ジメジメっと面白い!」このひとことに尽きる。

 そのヤバさの一部を紹介すると、まず登場人物の名前。主人公の苗字が“ねくら”で、名前が“しめりけ”。キラキラネームならぬ、ジメジメネーム! 妹は“きばみ”と、これまたジメジメだ。クラスメイトも“陽気の塊”男子・明杉の読み方は“あかるすぎ”で、下の名前は……“へらへら”! That’sキラキラネーム!……か? とにかくこの名前をつけたご両親はヤバいですね。ちなみに、へらへらくんは『陽気マスター』として位置づけられているが、その陽キャっぷりは異常。この作品の中で一番ヤベェ奴かもしれない。

 ほか、しめりけくんの陽キャを目指す姿がかなり命懸けだったり、のちに黒歴史となるような迷言や行動をバンバン生み出したりするのもヤバポイント。普段やらないのに、ムダに張り切ってしまったこととか、若かりし頃に同じようなこととかをした人は多いのではないだろうか。これはもうわかりみでしかない!

 と、しめりけくんのように、はりまも普段とは違う陽キャを気取ってお送りいたしました。う~ん、陽キャへのキャラ変は無理してやるもんじゃないですね。あはははははは!(冒頭とは異なる質の笑いDEATH!)

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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