少年たちの反抗期/高岡早紀『魔性ですか?』②

小説・エッセイ

更新日:2021/5/24

私に毒なんてあるかしら。いや、毒しか出なかったらどうしよう!?「なんで私、いつも魔性の女って呼ばれるんだろう。そんなことないのに……」恋愛観、娘や犬との穏やかな暮らし、仕事のスタンス。ユーモアと毒をちょっぴり含んだ、人気女優、初めての本音エッセイ。

 私には二人の息子がいます(その下に娘がいますから、子どもは3人ですが)。

 長男、次男ともにアメリカの高校に行かせていたのですが、あるときから、真っ赤とか真っ青とかレインボーとかに染めた、ド派手な頭髪で帰国するようになりました。

 最初見たときには、もちろん驚いて「!?」となりましたよ。でも、日本とは事情が違うでしょうし、「学校で流行っているのかしら? きっとみんな同じような頭をしているのね」くらいに思っていたわけです。

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 ところが、息子たちが通う高校に行く機会があり、生徒たちの頭部に注目してみると、派手な頭をしているのは、うちの子だけではないですか!! ママはもうびっくり! 

「ねぇ、ねぇ、うちの子たち、おかしくない?」

 衝撃を受けた私が息子たちの友達に聞くと、「いいんだよ、高岡兄弟はあれで」というクールな答え。はぁ、そうなんですか……。ママは拍子抜けしてしまいました。

「男の子だから、反抗期は大変だったんじゃないですか?」

 こう問われることもあるけれど、振り返ると、ちょうど頭髪を染めていた頃が反抗期だったのかもしれません。私と口をきかなかったり、汚い言葉を浴びせたりするようなことはありませんでしたが、今思えば、その頃、二人ともブスブスしていたような……。

 同じ時期のあるとき、私は、長男と次男それぞれの部屋の壁に、拳で開けたと思しき穴がひとつずつ開いていることに気が付きました。「なんで?」「どうして?」などと問いただしたところで、思春期の少年が素直に母親に腹を割って話すとは思えませんでしたから、そっとしておきました。きっと、彼らは彼らなりにその時期特有の葛藤を抱えてもがき、やり場のない感情を壁にぶつけたのでしょうね……。

 反抗期は誰もが通る道。息子たちも、無事にそこを乗り越えて、ひとつ大人になったのではないかと思います。ちなみに、壁の穴は、今でも、そのまんまにしてあります(笑)。

<第3回に続く>