私が一個500円のカリフラワーを買わないワケ/高岡早紀『魔性ですか?』⑤ 

小説・エッセイ

公開日:2021/5/26

私に毒なんてあるかしら。いや、毒しか出なかったらどうしよう!?「なんで私、いつも魔性の女って呼ばれるんだろう。そんなことないのに……」恋愛観、娘や犬との穏やかな暮らし、仕事のスタンス。ユーモアと毒をちょっぴり含んだ、人気女優、初めての本音エッセイ。

 カリフラワーが大好きです。でも、私が住んでいるエリアでは買えません。だって、一個が500円以上もするんです!! しかも、すごくちっちゃいの。

 ワンコインの出費もためらうくらいお金に困っているわけではないです。それくらいのお金は出せますよ〜。もし一人暮らしをしていて、その小さなカリフラワーを自分だけで食べるなら、迷わず買うでしょう。いえ、もっと言うと、カリフラワーの入ったおいしいサラダを食べるために外食をするかもしれません。

 でも、今、私には家族がいます。家族と一緒に家でごはんを食べたいのに、500円以上も出して、小さなカリフラワーを一個買ったところで、一人、ひとかけしか食べられない。それって、おかしくないですか。 

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 自分一人なら、いろいろなところで贅沢をすると思います。

 食事だけでなく、たとえば、マッサージなんかにも、多分、しょっちゅう行って自分のためにお金を使うでしょう。だけど、今は家族がいるわけで、決して遠慮ということではないのですが、「私だけがいい思いをするのもなぁ」と思ってしまう。だから、マッサージにしても、本当に疲れを癒さなければならないときだけ行くようにしています。

 要するに、私にとっていちばん大切なのは家族で、できるだけのことを家族と共有したいと思っているんです。食事はその典型例。家族みんなで同じものを食べて、「おいしいね」と言い合いたいの。それが私の願いですが、一個500円のカリフラワーは、その願いをかなえるに値しない。却下!

 というわけで、カリフラワーは、娘をバレエ教室に送り迎えする道の途中にあるスーパーで買うことが多いです。まぁまぁお手頃価格で買えますが、先日、友達の家に行ったついでにその近くのスーパーを覗いたら、立派なカリフラワーが、なんと一個198円で売られているではありませんか! 即買い。しかも二個。

<続きは書籍でお楽しみください>