持ち替えなくて便利!? 銃と刀をくっつけてみたら…/ざんねんな兵器図鑑・極②

社会

公開日:2021/5/19

ざんねんな兵器図鑑・極』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第2回です。開発者が大真面目に考えて作った結果、出来上がった“見た目も性能もざんねん”な兵器たちをご紹介。陸・海・空のユニークすぎるざんねん兵器の世界へようこそ!

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ざんねんな兵器図鑑・極
『ざんねんな兵器図鑑・極』(世界兵器史研究会/KADOKAWA)

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:日本 年代:1920年代

 戦闘の際、馬に乗っている騎兵は片手で手綱を握り、もう片手で銃を構えます。さらに部隊の指揮官は軍刀を掲げて突撃するため、馬上でいちいち(片手がふさがった状態で)銃と刀を持ち替えなければなりません。この不便さを解決するため、日本は銃と刀が一体化した「試製拳銃付軍刀」を作りました

 この兵器、製作期間は足かけ10年に渡ったのですが、銃と刀をくっつけるとかえって取り回しが悪くなり、どっちの用途で使っても中途半端な性能になってしまいました。さらに銃と刀の結合部が弱く、刀が外れやすいといった問題を解決できず、結局不採用となりました。

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:アメリカ 年代:1930年代

 敵に迫られて絶体絶命のピンチ! そんなとき、最後の手段で秘密兵器を使いたいという要望に応えてアメリカが開発したのが、グローブと銃が合体したヘンテコ銃、通称セッジリー・フィストガン*です。

 使い方はとても簡単。グローブを手にはめた後、相手をグーで殴るだけ。するとその衝撃で引き金が押され、殴ると同時に銃弾が発射されるのです。しかし、この仕組みは逆に、「相手を殴らないと発砲できない」という使い勝手の悪い仕様でもあり、こんなことをするより普通の銃で相手を倒す方が早かったので、ほとんど使われることはありませんでした。

*制式名称は「手動発射機構 Mk.2」(Hand Firing Mechanism, Mk.2)です。

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:中国(明) 年代:15~16世紀

 中国では古代から、世界に先駆けて火薬の研究が進んでいました。15世紀から16世紀にかけ、明の軍隊が使用した攻城兵器が「神火飛鴉」です。

 この兵器は4本のロケットをまとめて打ち出し、目標に当たると爆発するというもの。いわば大昔のロケット弾といっても良い、非常に先進的な兵器でした。名前はすごくカッコイイのですが、どうしても気になるのはそのカワイイ外見。わざわざ鳥の模型を使った理由は、飛んでる鳥に見せかけて敵の目をごまかすため、だそうです。

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:ソビエト連邦 年代:1980年代

 人類の夢である宇宙開発、その始まりはアメリカとソ連が互いの技術力を見せつけ合う、非公式の戦争でもありました。人工衛星から得られる情報は、現代の戦争でも大きな武器となります。これに危機感をもったソ連は、やがて宇宙でも戦争が始まると考え、レーザー砲を装備した衛星攻撃兵器「ポリウス」を開発しました。機首についた炭酸ガスレーザーで、敵の人工衛星を攻撃することができます。1987年に大型ロケット「エネルギア」で打ち上げられ、衛星軌道に乗せようとしましたが失敗し、大気圏に再突入して燃え尽きてしまいました。

<第3回に続く>

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