アイデアは思いつきやひらめきではない! 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる方式を使おう/100案思考「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる④

ビジネス

公開日:2021/5/23

100案思考「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる』から厳選して全6回連載でお届けします。今回は第4回です。才能、センス、道具なんていらない。どんな場合でも、いいアイデアを考えてくる人には共通点があります。それは「とにかくたくさん数を出すこと」。1案しか持ってこない人のアイデアが優れていたことは、ただの一度もありません。ここでは“考え方”のヒントを教えます。

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100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる
『100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる』(橋口幸生/マガジンハウス)

100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる

「アイデアを出しているところを絵にしなさい」

 ……と言われたら、あなたはどんな場面を描きますか? 腕を組んでウンウンうなっている場面でしょうか? それとも頭の上に電球マークをつけて、ひらめいた! とガッツポーズを取っている場面でしょうか?

 残念ながら、それでは何時間たってもなにも出てきません。アイデアとは待っていれば降りてくるものではないからです。

 では、どうすれば出せるのか? 答えは簡単。「書く」のです。

 メモ用紙でもiPhoneでも、なんでもOK。とにかく文字にする。そうして初めて思考は、形になります。腕は組むためにあるのではありません。書くためにあるのです。

 保育園や幼児教室の先生は、子どもたちに「手を使った遊び」をすすめます。手を使うことは、考えることに直結しているからです。そう思ってみると、積み木やパズルなど、知育玩具は手を使うものが多いですよね。ピアノやそろばんなど、子どもに人気の習い事も同様です。

体を動かすことは、脳を動かすこと

 これは僕個人の意見ですが、「思考」とは脳だけではなく、体全体を使ってやる行為なのだと思います。これまで会った優れたクリエイターには、居合抜きやバドミントンなど、体を動かすことを趣味にする人が多くいました。

 彼らは「体を動かすと思考がクリアになる」と口をそろえます(この点、筆者はスポーツが嫌いなので、反省するばかりなのですが……)。

 運動によって記憶力と思考力を高められることを示す研究は、数多くあります。たとえば、カナダのブリティッシュコロンビア大学で行われた研究では、定期的な有酸素運動を行うことで、言語記憶や学習に関わる脳の領域が大きくなると報告されています。

 居合抜きまでいかなくても、「書くこと」だって立派な身体的行為です。腕を組んで悶々とするのは「悩む」ではあっても、「考える」ではありません。

 文字にする過程で思考に深さと広がり、ロジックが生まれるのです。書いてみて初めて気づいた、という経験は、あなたにもあるのではないでしょうか。

 大切なのは、「いいアイデアを思いついたら書く」のではなく、「頭に浮かんだことはなんでも書く」ことです。くり返しますが、アウトプットにクオリティは不要です。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」を思い出してください。的に命中させたければ、なにより「撃つ」ことが大切です。狙いを定めているだけでは、何時間たっても結果は出せません。

「だけど、〝下手な鉄砲〟ばかり撃っていると、どれがいい玉なのかわからなくなるのでは?」という疑問も出てきますよね。

 ご安心ください。

 4章では、撃ちまくった玉の中から「おっ、これいいね!」というものを選び出す方法も紹介します。まずは「命中させようとする」ことを忘れてしまいましょう。

<第5回に続く>