男子禁制☆峰なゆかのヒミツの更衣室『失われた性欲』 

更新日:2013/7/8

そんなあなたへの処方本はこらら…

利他的な愛情ってはたから見るとイライラするもんですね!
読書を捨て、夫に捨てられた文学少女が手にしたものは。

 日々、「猜疑心の強いドストエフスキーの不気味な奈落の底に沈んだかと思うと、木立が影を投げかけているツルゲーネフの並木道に浮かびあがったり」していた文学少女ソーネチカは、才能ある芸術家ロベルトにみそめられ、結婚します。いつしか読書を忘れ、夫のために「ただ淡々と、皿や鍋をみがいたり」「黄ばみをふせぐために下着類を蛍光染料でうす青く染めて糊付けしたり」に熱意を傾ける主婦になるものの、ロベルトはいまだ夜の夫婦生活に熱心な様子ですし、ソーネチカはつぶやきます。「なんてこと、なんてこと、こんなに幸せでいいのかしら……」

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 案の定セックスレスどころか、夫は実の娘の友人と超歳の差不倫という鬼畜展開。それでもソーネチカには夫に泣いてすがりつくとか、別の男を探すとか、セクシーな下着で大胆に迫るとかいう選択肢はありません。夫の前でしばらく黙って座って、家に帰って少し泣いて、こう考えます。「あの人のそばに、若くて、きれいで、やさしくて、上品なあの子がいてくれたら、こんなにいいことはない」

 その後も彼女の身には淡々とひどい出来事が訪れますが、最後にひとり老いた彼女はつぶやくのです。「わたしだけ、もう何もかもおしまいだなんて、ほんとに残念、でもいろんなことがあって、なんて幸せだったろう」