時間は貴重な資源。幸せな時間を手に入れるために意識すべきこと/「疑う」からはじめる。⑧

ビジネス

公開日:2021/7/19

澤円著『「疑う」からはじめる。』から厳選して全8回連載でお届けします。今回は第8回です。常識に縛られたら、思考は停止する――既存の価値観、古い常識、全部疑ってみよう。問題設定と解決策は、すべてここからはじまる! 元マイクロソフト伝説のマネジャーが新時代の働き方、生き方、ビジネススキルを提案する1冊!

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「疑う」からはじめる。 これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉
『「疑う」からはじめる。 これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(澤円/アスコム)

自分にとって苦痛な時間を取り除く

● 時間とは、よろこびとともに消費するもの

 本章では、「時間は貴重な資源である」と繰り返しお伝えしてきました。

 そして最近、僕は「時間とは、よろこびとともに消費するもの」と捉えるようになりました。あるいは、「よろこびとともに消費しなければならないもの」と言ったほうがいいかもしれません。

 自分にとって苦痛な時間をどれだけ取り除くことができるか――。

 それが、時間についての僕のテーマなのです。

 僕にとっての最高に楽しい時間は、ものすごくエキサイティングなときと、心からのんびりできるとき。このふたつです。

 具体的には、僕のエキサイティングな時間は、多様な人たちに対してなんらかのバリューがある情報を伝えている瞬間。たとえば、プレゼンでオーディエンスの心をつかんだと感じる瞬間もそうだし、ビジネスだけにとどまらず、子どもや学生がよろこんで僕の話を聞いてくれているときかもしれません。どんなシチュエーションでもいいので、自分のパフォーマンスによって、ほかの人に良いインパクトを与えている瞬間はとてもエキサイティングだと感じています。

 そしてもうひとつは、妻と一緒になにもしないで、ぼーっとしている時間。

 僕は妻と一緒にいるときがいちばんリラックスできるので、ふたりで本当になにもせずに旅行先などでぼんやりしているとき、とても幸せな気分になります。そんな時間をたくさんつくるために、仕事をがんばれるという側面もあるのかもしれません。

 ここ数年、ちょっと楽しんでいるのが「チェアリング」です。用意するのは、キャンプなどで使うアウトドア用の椅子と、程よい大きさのクーラーバッグと、好きな飲みものや軽くつまめるものだけ。それらを持って近所の公園などに出かけ、椅子に座ってビールを飲みつつ本を読んだり、ぼーっとしたりするのです。これは手軽でコスパのいい、とても楽しい休日の過ごし方なのでおすすめですよ。

 こんなことすべてが、僕にとっての時間に対する投資です。贅沢なんてしなくても、最高に楽しくて、心からくつろげる時間の過ごし方がある。自分たちのための、いまこの瞬間に対する投資なのです。

 そんな幸せな時間を手に入れるためには、やはり「自分にとって苦痛な時間を取り除く」ことにもっと僕たちは意識的になる必要があると思います。

 僕はいくら会社のルールがあっても、なるべく我慢はしないようにしていました。たとえば、通常業務以外に必要となるパソコンのソフトはすべて自腹でアップグレードします。なぜなら、自分でお金を払ってでも、快適な作業時間を得たいからです。

 また、暑い日など快適ではない日は迷わずタクシーで通勤しました。移動にかかる2000~3000円はもちろん自腹。ですが、隣席の影響を受けない快適な移動時間が確保でき、じっくりアイデアを考えたり、メールしたり、情報をインプットできたりと、まさに時間の投資になるわけです。

「そんなお金ないよ!」と思う人もいるかもしれませんが、なによりも貴重な資源が時間だと考えると、ときにはお金の投資だって必要です。タクシー通勤しかり、家事代行サービスしかり、お金で買える快適な時間はどんどん買ったほうがいいと思います。

 もしお金がないというなら、そのお金をどうやって稼ぐかを考える絶好のチャンス。ここまでお伝えしてきた時間とタスクについての考え方を取り入れて、自分の時間を快適にすることに徹底的にこだわれば、少しずつ仕事やお金の問題は解決に向かっていくはずです。僕たちは、もっと自分の時間に投資したほうがいいのです。

<続きは本書でお楽しみください>

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