女子校との合併は、まさに異世界転生!? 元男子校生徒によるモテへの大冒険コメディ!『女子高生はおはようって言う』/マンガPOP横丁(68)

マンガ

公開日:2021/7/16

女子高生はおはようと言う
『女子高生はおはようと言う』(ルシファー吉岡:原作、ゆめみつき:作画/スクウェア・エニックス)

 私はこれまでPOPを書く際に、マンガやライトノベルでの異世界転生する主人公の姿をたくさん見届けてきた。異世界といえば、魔法やモンスターなど、多くはRPGの舞台となるファンタジー世界を指すことが多い。実は今まで異世界作品を取り扱うことがなかった当コーナー。今回ついに『女子高生はおはようと言う』(ルシファー吉岡:原作、ゆめみつき:作画/スクウェア・エニックス)で異世界マンガのPOPデビューを飾ります!

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 男子高校生の村椿勇は、いま目の前で起きている現実に脳が追いついていなかった。なぜなら彼にとって想像以上の世界だったからだ。逃げ出したい。しかしあの時の“誓い”を思い出して自身を奮い立たせる。あの時の“誓い”とは……。

 新学期が始まる1カ月前。当時の勇の担任教師が問う。

「お前にとって、女子高生ってなんだ?」

 これに勇は「ペガサス」と答える。そのほか「ユニコーン」「ピクシー」「グリフォン」などと答える生徒たち。なぜ彼らがこんな答えをするかというと、彼らが通っている学校である山上高校は、中高一貫の全寮制の男子校だから。そう、彼らにとって女子高生は、もはや空想上の存在なのだ。そんな彼らに超重大な出来事が担任から発表される。それは……百合丘女子高校との合併! 生徒たちは余韻を味わうかのような沈黙の後、教室中が歓喜で沸いた。加えてタッチの差で共学の雰囲気を味わえなかった3年生へ黙祷をしながら……。担任は「あと1カ月もすれば、クラスの半分はペガサスになる!」と勇の女子高生のたとえを用いながらこれから始まる状況を説明。続けて「これは環境が大きく変わるというレベルではない!君たちにとってはほとんど異世界転生だ!」と断言。その後もまるでゲームマスターのように、「勇者パーティーになるか村人集団になるかは君たち次第!」なんて言っちゃったり。しかしその言葉は勇の心は響き、「勇者になってみせる!」と誓ったのであった。

 ずっと男子だけの、そして完全なる寮生活という環境で過ごしてきた、勇をはじめとする山上高校の生徒たち。女子高生が空想上の存在となってしまっている彼らには当然女子高生に対する免疫は皆無だ。ということで、新学期までに「女子高生」という授業を設けることに。そんなこんなで果たしてこの教えで彼らは勇者になることができたのか。そして迎える新学期。彼らの合併という異世界転生の幕が開ける……!

 数ある異世界転生の物語の中から、このコーナーで初めて扱うのは、その“そもそも”が全く違う概念での異世界転生モノでした! 男子校の視点で、女子校と合併し自分たちが学ぶ教室にたくさんの女子高生がいる状態を異世界転生と呼ぶセンス。さすがR-1ファイナリストピン芸人のルシファー吉岡氏だ。この表現には非常に新しく、感心した。実は「R-1ぐらんぷり2019」の決勝で実際に披露したネタをベースにした作品なのだそうだ。そこにゆめみつき先生の描くアイドルのようなキャラクターたちによる、超めちゃくちゃな脳内女子高生とダメ勇者に終始笑わされる。いや、むしろ引いちゃうかもしれん! だって、クラスの女子が自分を見てくれたことで、彼女の目の網膜に自分の姿を焼き付けたという「記念日」って言っちゃうんだもん。いやいや違うからとツッコミしちゃう場面も盛りだくさんだ。作品タイトルの意味が作中で描かれるが、これもまたおもしろい。ちなみに「勇者になる」というのは、イケてる男子になってモテるということ。この目標に挑むのは、女子高生の存在を「ペガサス」とたとえた村椿勇をはじめ、仲の良い男子4人。このパーティーによる大冒険の毎日は、何もかもがナナメ上すぎてヤバすぎの連続! でも特に男性読者は意外とバカにできないかもしれない。少なくともはりまはちょっとわかる部分が……。女性読者は、「男子って本当におかしいよね〜」なんて思いながらお楽しみください。ただ彼らの心はガチピュアだということを忘れないであげてネ!

 さて今回のPOP、ベースはやっぱり勇の中での女子高生のイメージであるペガサスの羽で満たしてみました。文字で隠れていますが、ちょっとシャレオツな4人の勇者を背景の中央に置いて、あたかもイケてる感じの演出を入れています。実際は全然違いますけどね!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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