毎日の軽い体操で劇的に改善!「下肢静脈瘤」に効果的なセルフケア/下肢静脈瘤の治し方③

健康・美容

公開日:2021/8/12

 広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第3回です。足に謎のボコボコができる、青い血管がウネウネする…そんな症状で悩んでいませんか?下肢静脈瘤は、足の静脈の弁が壊れて起こる病気です。推定患者数は1000万人以上とされており、きちんとした医療機関で診察を受け、正しく治療をすれば改善されます。血管の名医でもある広川雅之先生が、「下肢静脈瘤のセルフケアと最新治療」をご紹介します。

血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方
『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(広川雅之/KADOKAWA)

血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方

軽症から中等症までならセルフケアで症状が改善する

 下肢静脈瘤の治療法には2種類あります。

 ひとつは弁が壊れた血管を直接処置する治療。これは医療機関で行います。もうひとつは体操やマッサージなど自分で行うセルフケアです。

 実は、下肢静脈瘤と診断されても軽症から中等症であれば、セルフケアで治したり症状を軽くしたりすることができるのです。私のクリニックにいらっしゃる患者さんも、多くの人は軽症で治療が必要なかったり、セルフケアで症状が軽くなってしまいます。

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 そのため、診察に来るのは初診の1回だけという方も多いのです。

 そこで、当院でも指導している下肢静脈瘤に効果が高いセルフケアについてご紹介しましょう。

 セルフケアは、次の3本柱が基本です。

1 体操
2 マッサージ
3 弾性ストッキング

 下肢静脈瘤は生活習慣や環境、加齢、体質などによって静脈内の逆流防止弁が壊れ、心臓に戻りにくくなった血液が足にたまってしまうことで起こります。

 これらのセルフケアは、どれも足の静脈の血流を促してスムーズにすること、足の静脈に血液がたまりにくくすることを目的としています。

 まず取り組んでいただきたいのは、体操です。

 体操を習慣的に行うことで、足の不快な症状を改善できます。さらに体操の種類によっては太ももやふくらはぎの筋肉を鍛えることができ、全身の血流を促すことにもつながります。その結果、下肢静脈瘤だけでなく、冷え性などの血流に関わる症状、足の筋肉の強化などによい影響が期待できます。

 足の血行を促すマッサージもおすすめです。マッサージは特にむくみに効果があります。

 弾性ストッキングとは、足に適度な圧力をかけ、足の血液を心臓に戻すふくらはぎの筋ポンプ作用をサポートしてくれるストッキングのこと。市販品では「着圧ストッキング」とも呼ばれています。足のむくみやだるさの改善、下肢静脈瘤の進行防止や治療後の再発予防などの効果があります。

 体操、マッサージ、弾性ストッキングのどれかひとつだけ行うのもいいですが、組み合わせるとさらに効果が期待できます。まずは畳や布団の上で体操をして、入浴中にリラックスしながらマッサージ、日中は弾性ストッキングをはくといった具合に、好きなときにやりやすいものから始めてみましょう。

 また、これらのセルフケアは下肢静脈瘤以外の原因で起こる足のむくみにも、とても有効です。下肢静脈瘤は見当たらないけれど、足がむくんで辛いという方もぜひ取り組んでみてください。

体操は短時間でも毎日続けることを目指そう

 体操を行う時間は、できれば午後から夕方にかけてがおすすめです。午前中に行ってはいけないということではありません。就寝中は横になっているので、心臓と足の高さが同じになり、足の血液がスムーズに心臓に流れています。そのため、起床してすぐは足の症状が出にくいのです。午後から夕方にかけて、足の不快な症状は増しますから、そのときに行うほうが効果的です。

 次に、短時間でいいので毎日続けることも大切です。はりきりすぎると辛くなったり面倒になったりして、結局長続きしません。それでは意味がありません。

 また、体操を行っても症状が改善しなかったり悪化する場合は、医療機関を受診してください。下肢静脈瘤以外の病気が原因で症状が起こっている可能性があるためです。下肢静脈瘤が進行している場合も、セルフケアでは効果が得られにくいので、医師に相談をしてください。

体操の3つのポイント

ポイント1:午後から夕方にかけて行う
足の症状が出やすいのは、午後から夕方にかけて。その時間に行うと効果を実感しやすくなり、続けるモチベーションが高まります。

ポイント2:こまめに毎日行う
一度やって効果が出ないからとあきらめないで。毎日続けることで症状は改善に向かいます。毎日続けられるよう、1日に行う時間は短くてOK。

ポイント3:効果がないときは受診する
1カ月以上続けても症状がまったく改善しない、むしろ悪化しているという場合は、別の病気が原因の可能性があるので医療機関を受診してください。

<第4回に続く>

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