恋なんて卒業、人生も一段落…と思っていた女性のセカンド青春ラブストーリー!『いま「余生」って言いました?』/マンガPOP横丁(77)

マンガ

公開日:2021/9/17

いま「余生」って言いました?
『いま「余生」って言いました?』(アキヤマ香/講談社)

 あくまで想像だが、はりまは“生涯現役”で突っ走っていくんじゃないだろうか。もちろん「老後はどう過ごしたいか」を考えたことはあるが……。

 激動の現役時代を退き、残された人生を指す「余生」。それは定年を迎える年齢になってからやってくるものだと思っていた。人によって違いはあるが、今回の主人公のような考え方だと、余生を迎える年齢でもおかしくないのかもしれない。まぁ、はりまはようやく走り始めたばかり。しかも周りのみんなに追いつこうとめっちゃダッシュで。『いま「余生」って言いました?』(アキヤマ香/講談社)では、人生が一段落したシングルマザーの余生が華やかになっていく物語だ。これがまるでボーナスのように……!

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「母」「仕事」と自分の中でしっかりカテゴリ分けして、あるべきフォルダ内に収まるように生きてきた、文具メーカーで働く39歳の藤野玲奈が主人公。彼女は高校2年生の息子を持つシングルマザー。離婚して大変なこともあったが、家事、育児、仕事をこなし、息子があまり手が掛からなくなるまでに育った今、多少のハプニングはありながらも穏やかに過ごしていた。会社の後輩たちが合コンの話をしているのはとてもキラキラして見えたが、彼女にとってリアルな恋はもう卒業したものと思っていた。そんな時、まさかの出来事が新入社員の男の子の登場を機に始まり、加速する。

 新入社員の名は緑川遥。初めて対面した玲奈は衝撃を受けた。それは……世に言うメイク男子のようなピッカピカなお肌だったから! 息子と5歳しか違わないという度重なる衝撃を受けているところに、突然遥がジッと玲奈を見つめ、小さくお辞儀する。これには思わず玲奈もペコリ。さらに上司からの初回の飲み会をキッパリと断り、なんともつかみどころのない不思議な初対面となったが、このあと遥からサプライズが……。キャッ!

 玲奈は家族で祖父のお墓参りに行った時、祖母の妹であり、現在入院中のトミ婆に関する驚きの話を聞く。それは、病院内で彼氏ができたということ! その後トミ婆に会った時、快復理由を聞いた言葉が玲奈の意識を変える。

「恋は…生きる活力なんだねぇ…」

 キラキラと眩しく見えた、自分よりも長く生きているトミ婆の瞳。玲奈は思わず、当時2歳年上の白澤先輩に片想いしていた大学へ立ち寄ったのであった。後日、ある飲み会で玲奈にさらなる変化へのブーストがかかる。それが憧れの白澤先輩と再会した場面で発動するなんて……。

 まさかの急展開にキュンとする、恋を卒業したはずの女性にセカンド青春ライフが始まろうとしていた。

 これは離婚後、女手ひとつで息子を育て不自由なく生活するために頑張ってきた彼女へのボーナスステージだろう。すべてのがんばる女性へ向けた応援歌となる作品だ。彼女に迫るのは、“過去”と“新規”の同時多発の恋。そしてお年頃の可愛い一人息子と元夫の家族も絡み、今までなかった超モテ期の到来にニヤニヤが止まらない。

 恋で賑やかに楽しんでいる彼女の余生に、みなさんの人生にも希望が生まれることを私は願いたい。もちろん私はりまも希望を持ちたい。途中でつまずいて、記録ボードに「DNF(=途中棄権)」と記載されないようにがんばらないと……!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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