「まつもとあつしのそれゆけ! 電子書籍」 【第18回】9月に続々発表! 新型電子書籍端末
更新日:2014/3/19
上陸間近? 新型Kindleも発表
かべ :最後にアマゾンのキンドルですね。6日発表、発売は11月20日とちょっと先で、日本での発売はやはり未定。
まつもと :これまでキンドルの発表はニューヨークで行われていたのですが、今回は西海岸、ITビジネスの中心地ロサンゼルスでした。「読書のための端末」からiPadを強く意識した汎用端末に事業の軸足を移すことを印象づける演出だったなと感じましたね。
かべ :ほおほお。
まつもと :目玉は、Kindle PaperWhiteと、Kindle Fire HD。前者はKobo Glo同様暗いところで読めるだけでなく、紙と同じような「白さ」を実現したとされています。Kindle Fireの新型HDは8.9インチの高解像度液晶を搭載。新しいiPadのRetinaディスプレイ同様の見栄えを実現していると考えられています。
かべ :そういえばiPhone5がお披露目されたAppleの12日の発表会で噂されていたiPad miniは出ませんでしたね。
まつもと :そうですね。クルマ社会のアメリカでも「iPadはちょっと大きい」という声もあり、初代Kindle Fireは歓迎された経緯があります。今回、初代の不満点でもあった、処理速度とディスプレイ解像度が解決されたことで、その支持は拡がりそうです。
かべ :アマゾンというとどうしても本を売っている場所という印象がありますが、カラーの汎用端末を出す必然性ってあるんですか?
まつもと :日本に居ると意識しづらいのですが、アマゾンはネットワーク経由での音楽や映像、ゲームの提供もはじめています。Kindle Fireは読書だけでなく、そういったアマゾンが提供する総合エンターテインメントの出口として位置づけられていると言えるでしょう。
かべ :なるほど。それにしても、「まもなく、まもなく」と言われていたキンドルですが、さっぱり日本に登場しませんね……。
まつもと :そうですね、ホームページに以下の表示が出てから、はや2ヶ月。
しかし、ぼくの周囲でもちらほらと「いよいよですよ(ぼそっ)」という声が聞こえてきました。Koboなどライバルたちの状況が見えてきたなか、懸案だったタイトル調達やマーケティングの方針が固まってきたのかもしれません。
かべ :おお、それは電子ナビ的にも気になります!
ポイントは端末からサービスへ
かべ :ということで、今回は駆け足で新端末を見てきました。詳しくは各社のホームページを見てくださいね(※koboは日本からは新機種のページを見ることはできません)、ということで。ところで、結局わたしへのおすすめはどれになるんでしょう?
まつもと :かべさんがもし今すぐ電子書籍端末を買いたい! ということであればやはり21日発売のSony Readerをお勧めします。Reader Storeに限らずタイトル数はまだ物足りないのですが、電子ペーパーはちょっと……という人にも「まあそう言わずに」と薦められるものがでてきたかなと。値段も手頃ですしね。
かべ :もうちょっと待つのだとすると、やっぱりキンドルですか?
まつもと :そうですね。どの端末が出て来るかによっても異なりますが、日本ではまだコンテンツが揃っていないKindle Fireは出てくる可能性は若干低いかなと思ってます。Kindle PaperWhiteの「紙のような暗い場所でも読める」特色に期待するか、Sony Readerの「書き換え速度が向上した」点を評価するか、実際に端末を触りながら試してからでも遅くはないかなとも思いますね。
かべ :わかりました! 編集部でも入手する予定ですので、手元に来たらまたレビューをやりましょう。今回は取りあえず現状の整理ということで。
まつもと :さすが、かべさんらしい堅実な選択(笑)。
■ダ・ヴィンチ電子ナビ編集部:d-davinci@mediafactory.co.jp
イラスト=みずたまりこ
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