ヒトは太るようにデザインされている!? ダイエット「5つの新常識」を学ぼう/科学的に正しいダイエット 最高の教科書

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公開日:2021/11/13

コロナ禍によるリモートワークが加速したこともあり、令和の新時代は“肥満”の原因があふれています。食べるのをやめられない、ガマンできない…。そんななか、ネットで見つけた「一瞬でやせる!」「~だけでやせる!」なんて記事や広告が目に留まりがちに…。

理学療法士にしてトレーナーである庵野拓将氏が執筆したこの『科学的に正しいダイエット 最高の教科書』には、科学的な知識を元にしたダイエット情報が満載です。スタンフォード大、ハーバード大、ケンブリッジ大、イェール大など、名だたる知の集積所にあるデータをまとめた、最新のダイエット知見を紹介しています。

「やせるおやつなら食べても大丈夫!」「テレビをつけたまま寝ると太る!」「ダイエットの成功の鍵は『筋肉』」などなど、無理なく健康的にやせたい人におすすめの1冊です。

※本作品は庵野拓将著の『科学的に正しいダイエット 最高の教科書』から一部抜粋・編集しました

科学的に正しいダイエット 最高の教科書
『科学的に正しいダイエット 最高の教科書』(庵野拓将/KADOKAWA)

科学的に正しいダイエット 最高の教科書

【新常識①】私たちは太るようにデザインされている

 「ダイエットにチャレンジしてもつづかないのはなぜだろう?」
 「ダイエットをはじめた当初は減量できたのに、3ヶ月後にはリバウンドしてしまった」
 「お菓子を食べたらダイエットに失敗するとわかってはいても、つい手が伸びてしまうのはどうして?」

 健康のために、魅力的な身体をつくるために、ダイエットをはじめる人は多くいます。ところが、思いどおりにダイエットを進めることができる人は少数派です。自分でもできると思ってはじめたのに挫折すると、ほとんどの人は自分を責めてしまいます。ダイエットがうまくいかないうえに、自尊心まで傷ついて、踏んだり蹴ったりでしょう。

 では、なぜダイエットに失敗してしまうのか?

 断言しましょう。ダイエットがつづかないのはあなたの問題ではありません。そもそも、私たちの心や身体は太るようにデザインされているのです。

 数百万年前の旧石器時代、ヒトは狩猟民族として食うや食わずの半飢餓状態を生きていました。そのため、とりわけ脂肪として蓄えられる糖類や脂質をできるだけ多く食べようと進化してきました。私たちが砂糖や脂を美味しく感じるのは、こうした進化のプログラムがあるからなのです。

 現代の私たちは、このプログラムを生得的にインストールされたまま、飽食の時代を生きています。ダイエットがつづかないのは、あなたが悪いわけではなく、そこには「太らせるメカニズム」があるのです。

 第1章では、私たちが本来備えている「太るメカニズム」について詳しく解説します。まずは、ダイエットを妨げる敵の正体を知ることからはじめましょう。

【新常識②】ダイエットの土台は「睡眠」によってつくられる

 「毎日、忙しく働いているのに体重が増えていく」
 「運動をしても、思うように効果がでない」
 「おやつを食べるのが習慣化してしまっている」

 そんな悩みを抱えているのなら、睡眠に問題があるのかもしれません。睡眠不足はダイエットの大敵です。ちなみに寝不足の人は週末に「寝だめ」をしますが、これは睡眠不足の解消にはなりません。ダイエットを成功させるなら、平日からしっかりと睡眠をとることが重要なのです。

 睡眠不足になると食欲が高まってしまいます。とくに甘くて脂っぽい嗜好性の高い超加工食品が食べたくなり、ダイエットがつづかない原因や、リバウンドのきっかけになってしまいます。また、運動のパフォーマンスも低下させてダイエット効果を損ねてしまいます。ダイエットのためにやせる食事をしっかり食べて、運動を頑張っていても、睡眠不足では意味がないのです。

 第2章では睡眠不足がダイエットに与える悪影響についての最新の知見を紹介し、良い睡眠がダイエットの土台である理由を明らかにします。

【新常識③】たくさん食べてもダイエットできる炭水化物がある

 「ダイエットをするなら、ご飯やパスタは避けるべき?」
 「炭水化物を摂らないから空腹感が抑えられない」

 白米、パン、パスタなどの炭水化物は、「ダイエットの敵」といわれますが、その理由はあまり知られていません。

 炭水化物は糖質を多く含みます。つまり炭水化物の摂取は、砂糖を食べるのと同じだということです。では、炭水化物が含まれるものをすべて避ければ良いかというと、それもまた違います。近年では「太る炭水化物」だけを避けて「やせる炭水化物」を食べることにより、体重を減らすことができると考えられているのです。

 多くの人がダイエットに挫折するのは炭水化物の制限がつらいからですが、太る炭水化物からやせる炭水化物に「置き換える」ことができれば、ダイエットをつづける手助けになるでしょう。大切なのは、両者の違いを知り、やせる炭水化物を選ぶことです。

 これまでのダイエットでは、エネルギー(カロリー)の摂取量に主眼が置かれていましたが、現代の栄養学では「エネルギーの質」が注目されているのです。

 第3章では、炭水化物や脂質などの栄養素が体重や体型に影響をおよぼすメカニズムと、やせる食品の選び方を解説します。食べることを我慢するのがダイエットではなく、正しく食べるのがダイエットであり、長くつづけるコツなのです。

【新常識④】ダイエットを成功させるカギはタンパク質

 食事量を減らすことは、ダイエットでもっとも重要な手段です。しかし近年、ダイエットにおける新たなパラダイム・シフトが起きています。

 「食事を減らす」から「食欲を減らす」へ

 その要となる栄養素が「タンパク質」です。

 タンパク質の摂取は食欲のメカニズムに作用して、空腹感を減らし、満腹感を高めてくれます。習慣的な糖質や脂質の摂取によって高まった食欲を抑える力がタンパク質にはあるのです。また、タンパク質には、食べるだけでエネルギー消費量が増える「食事誘発性熱産生」を増やします。さらに、ダイエットによる筋肉量の減少を抑え、リバウンドを防ぐことにも寄与します。

 ただし、タンパク質を多く含む食品が無条件に役立つわけではありません。肉には「太りやすい肉」と「太りにくい肉」があり、また、乳製品の食べ方を間違えると太る要因にもなります。タンパク質がもつダイエットへの有効性と効果的なタンパク質の見分け方も、第4章で詳しく紹介します。

【新常識⑤】リバウンドを防ぐ処方箋は「ジョギングと筋トレ」

 「頑張って食事制限をしてもだんだん体重が減らなくなる」
 「ダイエットをしても1年もすると、どうしてもリバウンドしてしまう」
 「リバウンドを防ぐ方法はないの?」

 ダイエットをはじめたばかりの1〜2ヶ月間は食事制限だけでも体重が減ります。しかしその後、体重が減りにくくなります。これは脂肪が減ったことを感知した脳が「これ以上、脂肪を減らさない」という生理的反応を引き起こすからです。そもそもヒトは太るように(脂肪を増やすように)デザインされているため、脂肪の減少は脳にとっては生存を脅かすシグナルなのです。そのため食欲の増大やエネルギー消費量の減少という脂肪を蓄えるような生理学的反応が生じるのです。これがダイエット後期で体重を減りにくくさせ、リバウンドを生じさせる原因になります。

 また、最新の研究報告では脂肪の減少のほかに「筋肉の減少」もリバウンドの要因であることが示唆されています。ダイエットでエネルギー摂取量を減らすと脂肪だけでなく筋肉量も減ってしまいます。この筋肉量の減少もリバウンドを引き起こす原因になるのです。

 そこで、リバウンドを防ぐために推奨されているのがジョギングなどの有酸素運動や筋トレです。

 第5章では、リバウンドのメカニズムを知るとともに、ダイエット後期でもしっかりと体重を減らし、リバウンドを防ぐための効果的な有酸素運動や筋トレの「方法論」をご紹介します。

<第2回に続く>

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