免疫を低下させる7つのきっかけ。免疫を強く保つには?/病気にならない体をつくる こども免疫教室②

健康・美容

公開日:2021/11/17

石原新菜著の書籍『病気にならない体をつくる こども免疫教室』から厳選して全7回連載でお届けします。今回は第2回です。食生活・運動・入浴法・眠り方…今日から誰でもすぐできる。もっと強く、元気に! 病気になりにくい体を作るためには免疫を高めることが重要です。免疫力は、食生活や運動などで、高めることができます。医師の父から指導を受けた“一生使える健康習慣”を、自らも医師となり、子を育てる母となった新菜先生が、子どもたちに向けて、わかりやすく解説します。

病気にならない体をつくる こども免疫教室
『病気にならない体をつくる こども免疫教室』(石原新菜/日本実業出版社)

免疫を低下させる7つのきっかけ

病気にならない体をつくる こども免疫教室

病気にならない体をつくる こども免疫教室

先生はどうやって体を強くしたの? なにかしてるの?

病気にならない体をつくる こども免疫教室

食事や運動、睡眠……、毎日の生活で気をつけていることはあるよ。たとえお医者さんでも、気をつけないと病院のお世話になっちゃうからね。

免疫を強く保つためにできれば避けたい7つのこと

 免疫を低下させる要因は、いろいろあります。

 たとえば、免疫細胞は、基本的に年をとるほど正常に働くものが減っていきます。老化による体の機能の低下は自然なことであり、避けることはできません。

 ただ、免疫を低下させる要因には、気をつければ避けられるものがあります。ここでは、健康づくりのため、いつまでも免疫を強く保つためにおさえておきたい大事なことを7つにしぼって紹介します。

①冷え

 免疫の低下に直結するのが「冷え」です。なぜなら、体温が低いと免疫細胞の働きが弱くなって、病原菌を攻撃する力が落ちてしまうからです。

 免疫細胞と体温との関係については、ちゃんとした研究・報告があります。ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞は、体温が36.5度以上になると活発に働きます。また、異物や病原菌を食べるマクロファージも体温が高いほど活発に働くことがわかっています。

②食生活の乱れ

 自分の体に合った、体が必要としている食べ物は免疫を高め、丈夫な体をつくる強力なサポートになります。

 その一方で、体に合っていないものを食べていると、ぶくぶく太ったり、冷えを招いたり、血液が汚れたりと、免疫を低下させる大きな要因となります。

③肥満・やせすぎ

 太りすぎていても、やせすぎていても、免疫の低下につながります。適度な体重の目安は、身長と体重から計算するBMIが18.5〜25の範囲。BMIをチェックして適度な体重を維持することが大切です。

 BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

④睡眠不足

 睡眠不足が続くと免疫が低下するといわれます。睡眠時間とカゼのひきやすさの関係を調べた米国医師会の論文によると、平均睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上の人と比べてカゼの発症率が約3倍とのこと。質のよい睡眠を7〜8時間以上とるよう心がけましょう。

⑤ストレス

 過度なストレスが続いて緊張状態が長引くと、免疫システムの異常を招きます。意識して心身がリラックスする時間をつくるようにしましょう。

⑥腸内環境の悪化

 免疫細胞の7〜8割が腸にあって、「腸内環境」がいいと免疫細胞の働きが活発になり、悪いと低下することがわかっています。腸内環境のよしあしを決めるのは、腸内にすみついている腸内細菌の種類です。腸内環境をよくするものを食べましょう。

⑦年齢を重ねる(加齢)

 体内の細胞は一定の期間を過ぎると自然に死ぬよう設定されています。古い細胞の遺伝子をコピーして新しい細胞がつくられるのですが、コピーを繰り返すうちに遺伝子の情報にエラーが生じ、異常な細胞がつくられることになります。年齢を重ねるほどエラーが生じやすくなり、老化が進んで免疫も低下します。老化や免疫が低下するスピードは、生活習慣で変わります。運動や入浴で体を温めるなど、免疫を高める生活を心がけましょう。

骨の中でつくられ、休みなしで働く免疫細胞

病気にならない体をつくる こども免疫教室

病気にならない体をつくる こども免疫教室

免疫細胞って、どうやってできるの?

病気にならない体をつくる こども免疫教室

骨の中にある「骨髄」というところでつくられるの。子どものころは全身の骨でつくられるけれど、成長とともにその場所は減っていきます。大人になると、胸の真ん中の骨(胸骨)と腰の骨(腸骨)で集中してつくられます。

骨髄でつくられ、全身に送られる免疫細胞

 骨髄とは骨の真ん中にあるスポンジのような部分で、血液はここでつくられています。そして、血液の中にある「白血球」と呼ばれる細胞が「免疫細胞」です。

 つまり、免疫細胞は骨髄でつくられ、血液といっしょに全身に運ばれていき、体のあらゆるところで病原菌や異物などの悪者と戦っています。

 異物や病原菌のほとんどは鼻や口から侵入します。そのため、鼻や口、のどには異物を排除する独自のシステムがあります。ここをかいくぐって体内に入ってきた強力な悪者を、血液や腸の中にいる免疫細胞が退治することになります。

 免疫が強い場合はなんの症状も出ませんが、悪者の勢いが強く体内に入り込むと、体はダメージを受け、熱や鼻水が出たり、下痢をしたりして病気になります。

ポイント
ウイルスや細菌などの悪者は常に侵入しようとするので、免疫細胞は24時間休みなしで働いています。

あわせて読みたい