僕と公園/永塚拓馬です。

アニメ

公開日:2021/12/16

デビュー以来、人気作・話題作に多数出演する声優・永塚拓馬さん。多趣味で好奇心旺盛、興味のあることは突き詰めていく。「1日が100時間あればいいのに……」そう語る永塚さんが日々の中で、何を感じ、思っているのか。学生時代からデビュー、声優の仕事、アーティストデビューなど、現在までを綴ってもらいます。

永塚拓馬
撮影:永塚拓馬

 趣味といえば、音楽鑑賞、映画鑑賞、読書、ギター、ピアノ、紅茶。最近はイラストとVtuberと基本的にはインドア派な僕なのですが、それでも家にずっといるとだんだんと息苦しく、まるで水槽の中の魚になったような感覚になる事があります。

 そんな時僕は決まって、新鮮な酸素と水流を求めて、近所の小さな公園へと散歩に出かけます。これは前回の“新横浜”でも書きましたが、何かあるごとに、いや、何も無くても公園へ向かうのは僕の一種の習性みたいなもので、最早クセといってもいいかもしれません。

 元々、草木が好きなので、部屋の中には2メートルを超えるアレカヤシの鉢植えや、定期的に入れ替える花瓶等があり、日ごろ囲まれているのですが、それでも外で力強く根を張った緑が恋しくなります。息継ぎをするように玄関のドアを開けると12月の肌を刺すような、だけど澄み切った空気。酸欠の頭にまで届くように思い切り吸い込みます。氷に匂いは無いのですが、きっとこんな匂いだろう。そんな冬の空気。

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 昨今の事情を鑑みて、不織布の使い捨てマスクを着けたら、凝り固まった瞳のピントをストレッチ。まずは今日の空を確かめるように見つめ、カーブミラー、側溝、自動販売機、一つ一つ確かめるように眺めながら歩きます。公園までは大体徒歩5分。歩みを進めるごとに鼓動が高まって、血が巡るのを感じました。

 着いたのは何の変哲もないごく普通の公園。子ども用の小さなアスレチック、ブランコ。その片隅に追いやられるように置かれたベンチに腰掛けます。春~秋は子どもが遊んでいたり、お爺さんお婆さんが談笑していたりして活動的な人の息吹を感じる。何だかんだ賑やかな場所ではあるのですが、冬になると子供も大人も家に籠るので、停滞した空気がひっそりと立ち込めています。普段ならその賑やかさをBGMにしばらく街路樹と空のコントラストをぼーっと眺めているのですが、今日はあまりにも物寂しいので音楽を聴くことにしました。

 ジャンルレスに並ぶプレイリストから選んだのは田島貴男さんの『接吻』。1993年にリリースされたこの曲は、当時2歳だった僕の世代の曲では無いのですが。最近ちょっと昔のCity Popが流行っているようで、田島さんはその流れでYouTubeのおすすめにあがってきて、見事にハマってしまったアーティストの一人です。避けてきたわけではないけどあまり聴くことの無かったポップスを聴くようになったのも、きっと最近の流行の影響なんでしょう。

 しばらくそうやって好きな音楽をザッピングしながら聴いていると流石に身体も冷えてきて、小さいけれど暖かい家が恋しくなってきました。中々わがままな僕の心です。そうなってくると自分の体温で少し暖かくなってきたベンチに別れを告げて、もぞもぞと家路につく。これが僕の大体の公園ルーティンです。

 飽き性な自分だけど、この決まった道のりは毎日繰り返し往復してる。

 普段は猫に似ているとよく言われますが、なんだか犬みたいですね。

永塚 拓馬(ながつか たくま)
神奈川県出身。10月4日生まれ。趣味は音楽・映画・舞台鑑賞、読書、紅茶、料理、ピアノ、ギター、ダンス、旅行、美術館巡り等々。主な出演作品は『KING OF PRISM byPrettyRhythm』西園寺レオ役、『アイドルマスターSideM』冬美旬役、『ヴィジュアルプリズン』ヴーヴ・エリザベス役、『SK∞エスケーエイト』MIYA役、『遊☆戯☆王SEVENS』安立ヨシオなど、ほか多数で、ラジオ・テレビなどにも出演する。2021年10月6日(水)にアーティストデビューとともに、1st mini album『dance with me』をリリース。

Twitter:@takumanagatsuka
音楽STAFF公式Twitter:@staff_nagatsuka
Youtube:永塚拓馬 Official Music Channel