肯定や否定の気持ちは動作に現れる! 相手の気まずさは「手」でわかる!?/ わかる! 伝える!視線の心理術 ④

暮らし

公開日:2022/1/6

ビジネスシーンでもプライベートでも使える、「マスク・画面越し」のコミュニケーション術。コロナ禍によって、大きく変化したコミュニケーションの形。マスクで口元が見えなかったり、テレワークの普及などの影響で、人の気持ちを察するための手掛かりの不足によって生じる悩みや不安を、心理学の面などからアプローチし、新たな状況の中でのコミニュケーションに対応できる対処法をわかりやすく紹介!

心の状態は声や表情以外でも

 対面で話しているとき、わたしたちは会話の途中でさまざまなことに気づきます。

「あれっ? 今、顔がこわばった気がする。この話題はまずかったかな……」「今日は声も明るくて機嫌が良さそう、何かいいことでもあったのかな」などと、相手の表情や声のトーンから心理状態を予測して、それに応じた話題を選んだり、または変えたりしながらコミュニケーションをとっています。

 相手の心理状態を判断するのは、何も表情や声のトーンだけではありません。じつは、仕草も重要な情報のひとつなのです。

 相手への肯定や否定の気持ちはどんな仕草になって現れるのでしょうか。

手や手のひらを見せないのは気まずさの表れ

 口に出せないさまざまな感情や思考は、無意識に仕草や動作として体に現れます。

 体の中でも、とくに雄弁に心理を語る部位は「手」です。

 相手にどれだけ心を開いているか、話の内容にどれだけ興味をもっているかは、手の動きに出てしまうのです。そして相手のほうも、無意識のうちに手の動きから、その人の本心を察しています。

 数人でミーティングをする場合、それぞれの人の手がどこにあるかに注目してください。

 その位置によっても心のオープン度合いをはかることができます。たとえば、手を見えるように机に置いている場合は、相手のことを信頼している、隠し事がない、心を許していることを表しています。さらに、手のひらを見せて両腕を広げるのは、相手を歓迎しているという温かい感情から出てくる仕草です。

 その反対に、手をテーブルの下に置いて相手に見せないよう隠しているのは、隠しごとがあったり、気まずい思いをしたりしているときの仕草です。ほかにも、こぶしを強く握っている場合は、何らかの感情を抑え込んでいる状態です。ひどく緊張していたり、強い怒りを感じていたり、もしかしたらお手洗いに行きたいことを言い出せずにいるのかもしれません。

視線の心理術

 仕草の中で、正直な気持ちが表れやすいといわれている部位が「足」です。

 座って人と対面しているときは、表情や上半身は相手に見られているという意識がはたらくため、ある程度コントロールしようとします。ところが、相手からは見えない足はつい気がゆるんでしまい、本音が仕草として現われてしまうのです。話に飽きてしまった、話を早く打ち切りたいなどのネガティブな気持ちは、たいてい足の向きに現れます。

 人は無意識に好きな人の方を向く習性があるので、足先をこちらに向けているときは、あなたに興味がありますという心理が、足先がそっぽを向いていれば、少しでも早くここを離れたいというサインです。

相手を受け入れている仕草で好印象を与える

 心の中で思っていることが無意識の仕草に表れてしまいます。これを逆手にとって、仕草を使って自分の気持ちをアピールし、相手から好印象をもってもらうこともできます。

 先述した手は、「手の内を見せる」という慣用句どおりの意味があります。開いているか閉じているかで、自分のテリトリーに入ってもOKというサインを送っているのです。そこで、相手を受け入れていることを知ってもらうためにも、距離を近づけたい相手とのミーティング中は、手は隠さずにつねにテーブルに置くように心がけてください。

 反対に、テーブルの下に手を隠す、ポケットに手を入れてしまうといった仕草は、相手を拒否しているポーズです。ましてや、テーブルの下で携帯をいじるなんて言語道断。うっかりやってしまうこともあるかもしれませんが、すぐに改めるようにしましょう。

 手を隠すという意味では、腕を組むことも相手からの防衛を現しています。商談であれば、「本音は言いたくない」「隠し事がある」といったサインと受け取られる可能性もあります。

 何気ないクセであっても、その仕草を見た人からは、悪い印象をもたれてしまいます。

 逆に、相手から腕組みをされたり、足先の方向が自分に向いていないことに気づいたら、話題を変えたり、早めに切り上げることが関係性を悪化させないためにも有効です。

<第5回に続く>

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