「リスクを恐れていては何もできない」新庄剛志が人生を楽しむため、いま考えることは/スリルライフ

スポーツ・科学

公開日:2022/3/25

 「変人・宇宙人と呼ばれても気にしない」「「神頼み」なんて絶対しない」他人の目を気にせず、キラキラした瞳でまっすぐ前を見る新庄剛志のカッコよさは、並々ならぬ努力と独自の人生哲学に支えられたものでした。

 『スリルライフ』は、2021年11月に北海道日本ハムファイターズの監督に就任した新庄剛志さんが、監督就任後に刊行した初の書籍です。

 阪神タイガースからMLBに渡ってワールドシリーズ出場やメジャー4番、満塁本塁打など数々の「日本人初」を達成し、帰国後に入団した北海道日本ハムファイターズでのプレーやパフォーマンスも今や伝説となっている新庄さん。監督になるまでのこと、なってからのこと、自分自身についてをすべて本音で語った新庄語録をお楽しみください!

※本作品は新庄剛志著の『スリルライフ』から一部抜粋・編集しました

スリルライフ
『スリルライフ』(新庄剛志/マガジンハウス)

はじめに
スリルがあるから、人生は楽しい

 1年前に「北海道日本ハムファイターズの次期監督は新庄剛志」と言っても、誰も信じなかっただろう。そのころ、というか現役を引退した2006年からずっと僕は無職だった。バリ島でのんびりと暮らし、たまに「あの人は今」のような感じでテレビに出ることはあったが、野球界とは無縁のまま。コーチどころか解説者の仕事もしたことがなかった。2020年に現役復帰を目指してトライアウトに挑戦したが、残念ながら不合格。そんな無職の僕がいきなり監督になるのだから、人生はおもしろい。

 そしてさらにおもしろいと感じたのは、そんな僕の監督就任を多くの人が楽しんでくれていることだ。まったく指導経験のない“あの”新庄を監督にするなんてと、批判の声が上がることも覚悟していた。でもそんな声は、ほとんど聞こえてこず、むしろ「新庄はどんなことをしてくれるんだろう」と期待する声のほうが圧倒的に多かった。

 きっとみんなは僕にスリルを感じているのだ。言いかえれば、恐怖感。僕のような何をしでかすかわからない人間に対して、今たくさんの人が「どうなるんだろう? どんなことをするんだろう?」というスリル、恐怖感を味わっている。怖いとわかっていてジェットコースターに乗るように、結末のわからないミステリー映画を観るように、新庄剛志という存在を、その予測不可能な言動を楽しんでくれているのではないだろうか。

 今の世の中には、たくさんの情報があふれていて、少し調べれば安全な方法、生き方みたいなものは見つけられる。インターネットで調べたら、コーチも解説者も経験していない人間がいきなりプロ野球の監督をやっても成功しないと書いてあるかもしれない。普通に考えれば、そうだろう。うまくいくはずがない。でも僕は、そんなことは気にしない。確率なんてただの数字だし、インターネットに書かれていることがすべて真実だというわけではない。リスクを恐れていては何もできない。ハイリスク・ハイリターンでいい。人生はスリルがあるから楽しいのだ。

 僕は、自分の人生を自分で望み、考えたように生きてきた。プロ野球選手になったことも、メジャーリーガーになったことも、そしてこうして監督になったことも、自分で考え、動いたからこそ、実現したと思っている。

 ただ、みんなが心から明るさを求めている今のコロナ禍のタイミングで自分が監督になったことには、運命のようなものを感じることがある。

 僕ならチームを変えられる。僕ならプロ野球を変え、日本を変えることができる。僕ならみんなを笑顔にできる。今はそう信じて、自分が何をやるべきかを文字どおり、寝る間を惜しんで考えている。

 この本には、いま僕が考えていることのすべてが詰まっている。監督になる前のこと、なってからのこと、これまで人生のこと、チームとして目指す場所、選手たちやプロ野球界への思い……。僕は、すべて本音で話した。

 今シーズンのファイターズの試合を見ながら、「あの本に書いてあったことをやっている」と思い出すこともあるだろう。新庄って変なやつだな、おもしろいやつだなと興味を持つ人もいるだろう。意外と真面目なやつだと思ってくれる人もいるかもしれない。なかには、僕と同じようにリスクのことなんて考えず、スリルのあることにチャレンジしてみようと思う人もいるかもしれない。もし僕の言葉が、誰かの何かのきっかけになるとしたら、とてもうれしく思う。

 今シーズンのファイターズの試合を楽しむために、新庄剛志を楽しむために、そしてあなた自身の人生を楽しむために、この本を読んで、決して損はしないはずだ。

新庄剛志

<第2回に続く>


『スリルライフ』を楽天Kobo(電子)で読む >

『スリルライフ』をAmazonで読む >

Amazon「現金チャージ」でさらにポイントGET! >

あわせて読みたい