ストレスがつきまとう現代社会。こんな時代だからこそ大切なのは「ハートの強さ」/心を鍛える

ビジネス

公開日:2022/4/18

 仕事や私生活にかかわらず何かと窮屈になった現代社会、不安やストレスに悩みを抱えながら生活している方は多いのではないでしょうか。

 今回ご紹介する書籍は、IT業界の盟友でもある、堀江貴文さんと藤田晋さんが自身のキャリア、生い立ち~未来のことまでを語り合う一冊です。ストレスがつきまとう現代に、大切なのは「頭の良さ」よりも「ハートの強さ」。心を鍛えるとはどういうことなのか?

 『心を鍛える』で、IT業界を牽引する2人の経験から、強く生きるヒントを学んでみませんか。

※本作品は堀江貴文、藤田晋著の『心を鍛える』から一部抜粋・編集しました

心を鍛える
『心を鍛える』(堀江貴文藤田晋/KADOKAWA)

はじめに

藤田 晋

藤田 晋

 変化の激しいこの時代、あなたはストレスや生きづらさに悩まされていませんか。

 激動する社会に対応するだけではありません。アウトプットの質を高める必要があったり、結果を出すことを期待されたり、複雑な人間関係の中を泳ぎ切らなければならなかったり……。

 こんな時代こそ、「頭の良さ」ではなく「ハートの強さ」が大切だと感じます。

 

 では、「ハートが強い」(心が強い)というのは、どういうことでしょうか。

 たとえば、まず思い浮かぶのは忍耐強さでしょう。また、自分の感情をコントロールできること、変化に対する耐性、動じないこと、ブレないこと、ストレスに対する強さなどが「ハートの強さ」に含まれるように思います。

 

 ありがたいことに、私は「メンタル(ハート)が強いね」と言われることが多く、自分でもそう自負しています。

 ですが振り返ってみると、子どもの頃の自分はそんなに心が強かったわけではありません。いろいろな経験を通じて身につけていったと思うのです。そのため、「自分は心が弱い」と思う人でも心配することはありません。

「ハートの強さ」は、努力や意識の持ち方次第で、後天的にどんどん伸ばしていくことができるはずです。

 

 私は1998年にサイバーエージェントを設立し、2000年に最年少上場社長(当時)として東証マザーズに上場(2014年に東証一部上場)。

「アメーバブログ」「ABEMA」(旧AbemaTV)など、インターネット業界に軸足を置き、多様な新しいサービスを世に送り出してきました。

 もちろん、その20年余りは順風満帆だったわけではありません。ネットバブルの崩壊や株価の暴落、事業の大転換など、さまざまな浮き沈みを経験。そのたびに幾多の決断を迫られてきました。

 とはいえ、私がなんとかここまでやってこられたのは「才能に恵まれていたから」でも「生まれつき頭が良かったから」でもありません。心を強く持って、周囲の意見に流されすぎず、「正しい」と自分が信じた道を突き進み、良い判断を積み重ねてきたからでしょう。

 つまり、「強いハートの賜物」であったと思います。

 

 また、それらは「華やかさ」「勢い」などの言葉とは無縁の、「地味」で「愚直」な仕事の結果にすぎません。私の好きな麻雀にたとえると、「耐えている時間がほとんどだった」と形容できるでしょう。

 そんな私の「頑張りすぎない経営術・仕事術」には、参考にしていただける部分もあるかと思い、この企画のオファーに応えさせていただくことにしました。

 

 また、「私1人の事例に限らず、よりコントラストを強めた形でメッセージをお伝えできれば」との思いから、同年代の〝盟友〟にも登場を願い、交互にお話をさせていただくことにしました。

 愛称〝ホリエモン〟こと、実業家の堀江貴文さんです。

 国民的な知名度を誇る堀江さんについての説明は、もう不要でしょう。

 私は1973年生まれ、彼は72年生まれ。1学年先輩の堀江さんと私は、実は20代からの古い仲なのです。

 

 堀江さんとのつきあいは、1998年までさかのぼります。

 サイバーエージェントを立ち上げ、わずか半年後の私は、初のメディア事業と呼べる「サイバークリック」を企画しました。そして、当時オン・ザ・エッヂという会社の社長だった彼に「クリック保証型広告」のシステム制作を依頼しました。

 当時の堀江さんは、天才的なプログラマーで、業界では〝レジェンド〟的な存在でした。そのため、1週間足らずという厳しすぎる納期にもかかわらず、素晴らしいシステムを開発してくれました。

 その後、堀江さんと意気投合したこともあり、単なるシステム受発注の関係ではなく、共同事業として「サイバークリック」を運営していくことにしました。

 サイバーエージェントとオン・ザ・エッヂの共同事業は、お互いの足りないところをうまく補い合いながら、うまくいったのです。

 その後、メルマガ配信システム「クリックインカム」(後に「メルマ!」)を立ち上げるなど、私は堀江さんと二人三脚で事業を拡大していきます。

 

 自分で言うのは口はばったいのですが……。

 私が営業担当、堀江さんが技術担当、という最高のコンビネーションだったと思います。あまりに昔の話になってしまうので、当時の私たちの間柄を知ってくださっている方は、なかなか貴重な存在です(笑)。

 その頃に私たちコンビが手がけた共同事業は、数多くあります。

「ネット証券会社をやろう」というアイデアもありましたし、スペインに支社を一緒に設立したりもしました。

 そして、私たちが最初に世に送り出した「サイバークリック」によって、サイバーエージェントは上場企業への道を歩むことになります。

 

 そんな仲だった私たちも、お互いに会社の上場を果たした後は、それぞれが自社で技術部門、営業部門を抱えるようになり、提携関係はだんだんと弱まっていきました。

 でも〝最高のパートナー&ライバル〟として、堀江さんのことが心のどこかに常にあったことは確かです。

 

 その後の堀江さんの活躍は、皆さんもご存じの通りです。

 Eコマースをメインとした事業に参画し、業績を上げ、さまざまな会社を設立して子会社化。さらに「株式会社オン・ザ・エッヂ」を「株式会社ライブドア」に進化させ、プロ野球新球団の設立に名乗りを上げるなど、社会的な知名度をぐんぐん急上昇させていきます。

〝業界の風雲児〟的な堀江さんに対して、私は一時期、嫉妬のような感情を抱いていたこともあります。そんな本音も、この本では少しずつお話しさせてください。

 

 私が特に堀江さんを尊敬しているのは、「世の中に叩かれること(マイナスの意味で捉えられること)」を〝コスト〟や〝ダメージ〟として捉えていない点です。

 たとえば2004年、近鉄とオリックスの球団合併騒動のとき。堀江さん率いるライブドアが、いち早く球団買収に名乗りを上げた際のこと。

「手を挙げるだけなら、タダでしょう?」と、私に明かしてくれたことがあります。

 

「こんな言動をしたら、世の中からどう思われるだろうか」

「前例のないことをしたら、エラい人たちから顰蹙を買うのではないか」

 

 そんな忖度とは無縁の堀江さんの〝鋼メンタル〟には学びたい点が多々あります。

 もちろん堀江さんとて、完全無欠のヒーローというわけでは、決してありません。

 一時期、六本木ヒルズの同じマンションに住み、大変な時期にはご飯を差し入れしたこともあるほど親しい私が言うのですから、間違いありません。

 

「1学年差の〝ほぼ同世代〟」「地方出身」「父親は堅実な勤め人」、そして「起業家」といった共通項を持ちながら、興味のベクトルは微妙に異なる。

「動と静」「熱狂と冷静」とも称される、正反対の性質を持つ凸凹コンビ。

 こんな私たち2人のコントラストも楽しみながら、読んでいただければ幸いです。

 

 なお、本書のスタイルは、人生を時系列で追体験していただけるよう、10代から40代まで10年単位の章立て構成にしました。

 あなたの心に寄り添える1冊となれば、著者として望外の喜びです。

<第2回に続く>


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