【第21回】Kindleとうとう上陸! わたしたちにはどんな影響があるの? 「まつもとあつしのそれゆけ! 電子書籍」
更新日:2013/8/14
Kindleのここが気になる③「結局端末って必要なの?」
まつもと :まあ、価格が安いことがホントにベストか? というのは議論があるところですが、今回はそこには立ち入らないでおきましょう。
かべ :ところでまつもとさんはキンドルは予約したんですか?
まつもと :しました。でも年明けになっちゃいそうなんですよね。さっきの画面で「配信先」に表示されているのは古いキンドル(第三世代キンドル)です。
かべ :わたしはまだ迷ってるんですよね。やっぱり、実際に触ってみて決めたいというか。
まつもと :とりあえず、iOSやAndroid向けのアプリが無料で利用できますので、それでストアとか読み心地を試してからでもいいかもしれませんね。
かべ :あ、これは入れました。結構快適です。
まつもと :さすがに電子ナビ編集部員としてはチェック済みでしたか。新聞とかテレビの報道だと端末のことばかり取り上げられるので、見過ごされがちではあるんですけどね。試し読みも可能なので、とりあえず電子書籍を試してみたいという方にもオススメです。
他の電子書店はどうなる? そして次回は??
かべ :でも、まつもとさん、Kindleがここまで充実した形で始まってしまうと、他の電子書店ってどうなんだろうって思っちゃいます……。
まつもと :そうですね。「独自性を出す」と言葉で言うのは簡単ですけれど、Kindleに“死角”を見つけるのはなかなか大変です。1つあるとすれば、リアル書店との連携でしょうか。アマゾンに無いのはまさにそこですからね。
かべ :どう連携させるんでしょう? 読者としては、電子書籍を買ってしまえば、少なくともそのタイトルのためにリアルな本屋さんに足を運ぶことはあまりなくなりそうな?
まつもと :アメリカのバーンズ・アンド・ノーブルの取り組みがまさにそこを解決しようというものですね。電子書店で紹介できるタイトルって、画面の大きさという制約もありますから自ずと限界があります。タイトルキメ打ちではなく、「なにか面白そうな本を見つけたい」というときに、町の本屋さんって楽しかったりするじゃないですか。
かべ :たしかに時間調整でフラッと立ち寄って、予定はないのについ買っちゃうことも……。
まつもと :いわば、リアルな本屋さんって、本の「ショールーム」なんですよね。そこで本を見つけて、でもKindleで買って仕舞われては本屋さんとしてはうれしくありませんから、「ウチの電子ストアで買ってください、そうするとこういう良いことがありますよ」という提案を行っていく必要があります。
かべ :なるほど、そういうことかー。
まつもと :Kindleが日本に上陸したことで、いまお話ししたようなユーザーにとっての利益(ベネフィット)を打ち出す必要性が明確になったと思います。
かべ :分かりました! そのあたりもこの連載で調べたり、話を聞いたりしていきましょう。――あ、ところで大事なことをお伝えするのを忘れていました。ようやくアマゾンさんが取材OKしてくださったので、次回はKindleの中の人にお話がうかがえます。
まつもと :お! 聞きたいこと一杯あります。では、次回も引き続きKindleについて、今度はインタビューですね。
かべ :はい! 風邪引かないように準備しておいてくださいね。
■ダ・ヴィンチ電子ナビ編集部:d-davinci@mediafactory.co.jp
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