「心を読む薬」を手に入れた僕。恋を成就させた方法は？【読心薬】／5秒後に意外な結末 オイディプスの黒い真実④
文芸・カルチャー 更新日：2022/7/20
編著：桃戸ハル、絵：usiの小説『5秒後に意外な結末 オイディプスの黒い真実』から厳選して全10回連載でお届けします。今回は第4回です。累計400万部突破の大人気「5分後に意外な結末」シリーズ『5秒後に意外な結末 オイディプスの黒い真実』。今回は、恐怖、笑い、感動、風刺、ブラックユーモアなどなど、さらに驚きの結末が楽しめる、「ページをめくれば驚きの結末」を100話収録！人気イラストレーター・usi氏のイラストを使ったビジュアルショートノベル。“5秒後“に起こる様々な世界にきっとあなたもハマるはず！ 好きな女性に告白できず、科学者の伯父に「心を読む薬」を開発してもらった僕。恋は見事成就したが、20年後に意外な事実が発覚する。
読心薬
僕は、ずっと１人の女性に恋をしている。
けれど、奥手で臆病な僕は、いまだに告白できずにいる。
相手の女性も、好意を抱いてくれている気はするのだが、確信はもてない。うかつに告白して失敗し、今の関係まで壊れてしまうのが、いちばん怖い。
僕は、伯父に、「心を読む薬」を開発してもらった。
伯父は、変な薬ばかりを開発している科学者なのだ。
伯父は、僕をさげすむような目で見て言った。
「かわいい甥っ子の頼みだから、今回だけは聞いてやる。だけど、伯父として忠告する。科学の力に頼りすぎるな。人間の心の問題に、科学とか薬とかを利用すれば、いつか、手痛いしっぺ返しを食うことになるぞ」
それでも、僕は「読心薬」を使い、恋は成就した。
そのことを後悔したことは、いちどもない。
