益田ミリ、4年半ぶりの書き下ろしエッセイ!「サンタさんの家」/小さいわたし⑦

文芸・カルチャー

公開日:2022/6/19

子ども時代を、子ども目線でえがく。益田ミリ、4年半ぶりの書き下ろしエッセイ『小さいわたし』。幼い頃、胸に抱いた繊細な気持ちを、丁寧に、みずみずしくつづります。「入学式に行きたくない」「線香花火」「キンモクセイ」「サンタさんの家」など、四季を感じるエピソードも収録。かけがえのない一瞬を切り取った、宝物のような春夏秋冬。38点の描き下ろしカラーイラストも掲載!

小さいわたし
小さいわたし』(益田ミリ/ポプラ社)

サンタさんの家

 クリスマスにケーキが届いた。四角い箱に入っているけれど、中をのぞくとまるいケーキだった。

 ケーキの上にはチョコレートの家がのっている。となりには砂糖でできたサンタさんが立っていた。

 サンタさんはチョコレートの家よりも大きかった。

 どうしてもっと大きな家を作らなかったんだろう? これじゃあ、サンタさんは家に入れないじゃないか。わたしがケーキを作る人なら、サンタさんのためにうんと大きなチョコレートの家を作るだろう。そうしたら、もうサンタさんは寒くないから安心だった。

小さいわたし

<第8回に続く>

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益田ミリ(ますだ みり)/1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書にエッセイ『おとな小学生』(ポプラ社)、『しあわせしりとり』(ミシマ社)、『永遠のおでかけ』(毎日新聞出版)、『小さいコトが気になります』(筑摩書房)他、漫画『すーちゃん』(幻冬舎)、『沢村さん家のこんな毎日』(文藝春秋)、『マリコ、うまくいくよ』(新潮社)、『ミウラさんの友達』(マガジンハウス)、『泣き虫チエ子さん』(集英社)、『お茶の時間』(講談社)、『こはる日記』(KADOKAWA)他、絵本『はやくはやくっていわないで』(ミシマ社、絵・平澤一平)などがある。