「みたくね」。のっぺりと整地されたままほったらかしされている地面。自分もそんな干乾し状態になっているようで、詩帆はいたたまれずに故郷の町を出た。天神通りの美容室で働き始めた彼女の友達は小学5年生のタケフミくん。疎外感を身にまとったタケフミ君をみたとき、あえて自転車でころんで彼に声をかけさせたのだ。ゲームに興じるなかでおもわず口を衝いて出た言葉が二人の距離をさらに近づけた――あの日から4年半の震災小説。
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