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長靴をはいた犬

長靴をはいた犬

「みたくね」。のっぺりと整地されたままほったらかしされている地面。自分もそんな干乾し状態になっているようで、詩帆はいたたまれずに故郷の町を出た。天神通りの美容室で働き始めた彼女の友達は小学5年生のタケフミくん。疎外感を身にまとったタケフミ君をみたとき、あえて自転車でころんで彼に声をかけさせたのだ。ゲームに興じるなかでおもわず口を衝いて出た言葉が二人の距離をさらに近づけた――あの日から4年半の震災小説。

長靴をはいた犬の記事一覧(3件)

  • 連載

    『長靴をはいた犬』 久美沙織 <3>

    「だまされた。してやられたんだ」 詩帆は言った。 タケフミくんは黙っている。テレビでは、音を消されたゲーム画面がカラフルにくるくるさかんに動いている。 「わたしを…

    東日本大震災

    2015/8/10

  • 連載

    『長靴をはいた犬』 久美沙織 <2>

    キエコさんでさえ腹がたつんだそうだ。 いつか酔った勢いで、言ったことがある。 三月で、テレビに特番がかかっていた。津波で親をなくした子が悲しみから立ち直ろうとし…

    東北

    2015/8/5

  • 連載

    『長靴をはいた犬』 久美沙織 <1>

    「いいなぁ。被災者って」 ひとりごとのように言ったのは真ん中の鏡前の客だった。 六十代ぐらいだろうか。痩せてとがった顔をしている。 美容室カノンは今日も満員だ。天…

    小説

    2015/7/27

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