なぜ同性を好きになるのか? ジャニオタ男子(東大生)のアイドルファン分析

A.B.C-Z

2015/3/28

   

 アイドルファンの性別。昨今の主役とされる女性アイドルには男性ファン、ジャニーズを初めとする男性アイドルには女性ファンという図式が、おそらく一般的な見方だと思われる。人それぞれではあるものの、ある種“恋をする”感覚に近いと想像すれば、その理由にはすぐにでもたどりつけそうである。

 しかし、アイドルのライブへ足を運んでみると、同性ファンの姿も多数見つけることができる。女性アイドルの現場には「女性専用エリア」が設けられることもあるほか、男性と女性それぞれに向けた限定イベントが開かれるなど、自身の憧れ、または少女漫画のヒロインに近い存在として、同性アイドルに惹かれる人たちを運営側が積極的に受け入れる傾向もある。

 対して、男性アイドルの現場はどうか。めだつのはやはりジャニーズ系の面々であるが、実は、男性限定イベントが開かれ、にわかに話題を集めたことがあるのだ。2013年10月20日、劇場版「BAD BOYS J-最後に守るもの-」の試写会と共に開かれた「BBJ大ヒット祈願! 男祭り」である。

 嵐に惹かれてジャニーズを猛烈に追いかけ始めた一人、福博充の著書『東大院生。僕、ジャニ男(ヲ)タです。』(アールズ出版)には、ジャニーズとしては初めての試みとなる男性限定イベントについての記録がつづられている。

 やや強い雨が降っていたという当日、渋谷某所の特設会場には著者の予想に反して男性ファンが長い行列ができていたという。入り口付近には何かを参加者に頼む女性たちもちらほら見かけられ、著者の見立てでは10代~40代とじつに幅広い年齢層が並んでいたそうだ。

 当日は試写会にはじまり、終了後には、Sexy Zoneの中島健人やA.B.C-Zの橋本良亮など、男性キャスト達が舞台へ登壇。橋本が「茶色い歓声」と表現したというふだんとは異なる声援に包まれ、MCやトークのあとに、質問コーナーが続いたという。

「男のファンはどう思いますか?」
「男として彼女を守るって、具体的にどういうことだと思いますか?」

 ふだんのコンサートではけっして発せられることのない質問。登壇したメンバーがていねいに答える中、「健人尊敬」と描かれたうちわを持ったファンに対して中島は「よく僕らのコンサートに来ていますよね?」と声をかけ、第三者的に見ていた著者は思わず「そんなことを言われたら(声をかけられた彼は)気絶してしまうよ、ラブホリ王子!」と心の中でつぶやいたそうだ。

 ジャニーズへの愛をこれみよがしに思わせるエピソードだが、同書にて著者は自身が傾倒する理由を語る。

「(ジャニーズは)ジュニアを含めてジャニーズの“伝統”を踏襲しようとするアイドル。歌も踊りも完璧で、すべてが完成されているわけでもない。ただ、ひたむきに『ジャニーズのアイドル』であろうとするその姿こそ大好きなのだ」と。

 完全なものではなく、未熟だからこそ惹かれる。何故か応援したくなる。少なくとも女性アイドルに惹かれる男性ファンからも、よく耳にする言葉だ。感覚的ではあるものの、ジャニーズを「きらきら」していると表現する著者。東大の大学院では、修士論文作成においても「ジャニーズ」をテーマにした一人でもあるが、ファンそれぞれへのインタビュー調査をする中で、ある一つの事実に気づいたという。

「ジャニーズファンというカテゴリーのなかでそれぞれが感情を共有できる仲間を作ったり、あるいはひとりで楽しむことで、コミュニティと呼ぶにふさわしい集団が形成されていく。そして個々のコミュニティで、愛とも呼ぶべき見方や感情が他のコミュニティと食い違う場合には、対立や葛藤も生じる」

 アイドルというカテゴリを超えて、何かへ一心に情熱を傾ける人たちにとっては共感できる光景ではないだろうか。同性であるがゆえに「なぜ好きになるのか」という疑問も浮かび上がるのだが、そもそもその理由を考えることが、愚問なのかもしれない。

 アイドルという部分で考えるならば、それぞれにとってのスターがいる。ジャニーズを追いかける人にとってはジャニーズの面々が、女性アイドルを追いかける人にとっては彼女たちが、それぞれが「見届けたい」と思ったスターであるというのが、何よりもの答えのようにも思える。

取材・文=カネコシュウヘイ

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