日本最強の監督に学ぶ! 成功を収める組織に必要なこと

ビジネス

2018/2/16

『ハングリーな組織だけが成功を生む』(ぴあ)

「サントリーサンゴリアス」をご存じだろうか。2016年度には日本ラグビーの最高峰・ジャパンラグビートップリーグで15戦全勝という快挙を打ち立てた超強豪チームだ。実は、サンゴリアスははじめから日本最強だったわけではない。その前年度の2015年度にはトップリーグ9位という不甲斐ない結果に終わっていたのである。

 そんなサントリーサンゴリアスを日本最強のラグビー軍団へと変身させた立役者・沢木敬介氏が、組織の成功の秘訣を著書『ハングリーな組織だけが成功を生む』(ぴあ)で熱弁している。そのポイントは、「統一と個別化」「メカニズム」「ハングリー精神」の3つだという。

■「カルチャー」はチーム全体で統一し、「トレーニング」は個別化する

 ラグビーという競技は、ボールゲームの中で最もプレイヤーの数が多い競技とされている。性質の違う多くの人をまとめつつ、それぞれの能力を最大限に引き出すことは、ラグビーチームのみならず組織が大きくなればなるほど難しくなっていく。これが難しいのは、統一すべきところと個別化すべきところの区別をつける能力が、トップに立つ人間に乏しいからだ。トップがこの能力を身につけてはじめて、組織は成功へと向かうスタートラインに立ったと言えるのだ。

「カルチャー」、つまり目指すべき目標やゴールといった精神面で組織のメンバーの支えとなる部分は、チーム全体で統一することが望ましい。それに対して、各メンバーの個体値的な部分に依存する実践的な「トレーニング」は、統一せずに個別化することが期待される。こうすることで、チームや組織から無意味な動きをそぎ落とすことができるのである。

■経験論の限界を超える「メカニズム」の概念

 日本の組織の多くに共通するのが、経験則で物事の可否を判断することだ。このように物事を帰納法的に判断すると、新たな事態に臨機応変に対応することが難しくなるのは明らかだろう。沢木氏が組織の伸びしろを最大限に生かすのに有効と考えているのは、「メカニズム」、つまり仕組みの理解を踏まえたうえで、個々人の能力に依存する部分はその裁量に任せることだ。これは、前に述べた、統一と個別化のけじめをつけることにも通ずるものがある。また、裁量に任せるということは、その人に「考える隙」を与え、個人を自ら主体的に行動できる人間へと成長させる契機になる。

■トップの「満足」は全体の「成長」を止める

 トップに立つ者が満足するということは、その組織の成長を止めてしまうことと同じだ。それゆえ、組織の成長を止めないためには、トップに立つ者自身がハングリー精神旺盛にならなければならない。沢木氏はラグビーのひとつひとつの試合において新たな「課題」を発見することが、貪欲になるための必要条件だという。ほかの組織にしても、ひとつひとつの実践において同じことが言えるだろう。

 多くのスタッフを束ねるリーダーにとって、トップの能力を磨くために読む価値がある1冊と言えるだろう。加えて、メンバーも本書を通してトップがハングリー精神を持っているかどうかを批判的に見ることができるようになれば、その組織は成功に向かって歩み始めることとなるに違いない。

文=ムラカミ ハヤト