「お母さん、あなたが嫌いです」心の自信を回復させる「毒親の棄て方」

暮らし

2018/4/29

『毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル』(スーザン・フォワード:著、羽田詩津子:訳/新潮社)

「毒親」という言葉を世の中に広めたスーザン・フォワード氏は、ベストセラーとなった『毒になる親 一生苦しむ子供』(玉置 悟:訳/講談社)の筆者としても有名だ。そんなスーザン氏が母親と娘の関係にスポットを当てたのが『毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル』(スーザン・フォワード:著、羽田詩津子:訳/新潮社)である。本書は娘を苦しめる“愛情のない母親”の具体例を記しており、娘が心からの幸せを掴む手助けをしてくれる。

■母親神話が娘を苦しめる

 母親神話とは、母親と定義される人は愛、保護、優しさを与えられるというもので、スーザン氏によれば、毒になる母親たちは母親神話を絶好の隠れみのにしているのだそう。社会はいつの時代も、母親という存在を美化しがちである。

 例えば、出産と同時に母性が芽生えてくるといった誤解をしている人は今でも多いが、母親の中には出産を経験しても親に成りきれなかったり、母性を抱けなかったりする人もいる。

 こうした認識のすれ違いが生まれると、周囲に自分の母が毒であることを分かってもらいにくくなる。母親からの拒絶にひとりで耐え続けた心は徐々に凍っていってしまうだろう。

 だからこそ、まずは娘である自分自身が母親に対して“愛情がない毒親”というレッテルを貼ることが大切なのだ。母親に見放されることや母親を見放してしまうことは、どちらも勇気がいる。しかし、客観的視点から自分へ向けられた母親の愛情を疑問視することができるようになれば、心の平穏が得られるだけでなく、悲しい虐待の連鎖も食い止められるはずだ。

 本書の第1部ではさまざまなタイプの“愛情のない母親”の例が記されているので、ぜひ自分たちの関係と照らし合わせながら読んでみてほしい。

■間違った自己像に気づこう

 自分の母親を客観視できるようになったら次は、無意識のうちに心の中に刷り込まれてしまった母親からのプログラミングに気づくことが大切になる。そのためには母親との過去を振り返りながら、どんな間違ったメッセージを送られ続けてきたのかを知る必要がある。

 本書には具体的な例として「あなたをこきおろすメッセージ」や「あなたに不当な重荷を負わせているまちがったメッセージ」、「あなたの役目と義務についての母親からのまちがったメッセージ」が記されている。

 間違ったメッセージによって縛られている心を解放するには、辛い感情を吐き出して自分をフォローしてあげることが大切になる。そのワークのひとつとしてスーザン氏は“嘘と真実の課題”を勧めている。

 やり方は簡単で1枚の紙に母親から言われた言葉を「あなたは…だ」という形式で書き、これを嘘とする。そうしたら、次はそれぞれの嘘と並べて、相反する真実を記していくのだそう。真実の言葉で自分自身を弁護してあげられれば、心や頭に刷り込まれた自己像を変えていくことができる。心の傷の痛みは自分自身しか分からず、傷つけられたという体験は消し去ることができないからこそ、本当に毒親から言われた言葉は正しかったのかを考え、未来へ繋げていけるようにしてみてほしい。

■大人の娘として歩み出そう

 心の奥に押し込んでいた感情と向き合った後はいくつかのポイントを意識しながら、大人の娘として自身の行動を変化させていくことが重要だとスーザン氏は語る。

・自分の価値を主張すること
・望んでいる人生を送ること
・危険だったり、毒になりそうだったりするときに、自分の行動を認識したり変えたりすること
・大人としての力を見つけること
・母親の愛情のないプログラミングレプリカである行動を変えること

 こうした5つのポイントは最初のうち、どう実行したらよいか悩んでしまうかもしれない。しかし、これはあくまでも目標であるため、悩みながら不器用に一歩を踏み出すのもよいのだそう。大人の娘であるあなたには、怒ったり敬意を持って扱われたりする権利がある。無力で何もできなかった幼少期とは違い、自分自身の存在や価値を母親の前で出していってもよいのだ。私たち人間には、自分の意志で行動を行っていく権利が平等に存在している。

 母親は父親よりも身近に感じられることが多い。無抵抗な子どもにとって母親は、自分を守ってくれる唯一の存在のように感じられるからこそ、好かれたいと強く願ってしまう。しかし、成長した今の自分を守れるのは母親ではなく、自分自身だ。母との確執に悩んでいる方はぜひ本書を手に取り、レプリカではない人生を切り開いていってみてほしい。

文=古川諭香