各国のハッテン場を巡って分かった、海外のゲイ事情……

マンガ

公開日:2018/7/16

『世界でヤろう!! おひとりホモ★』(熊田プウ助/ぶんか社)

 世界にはまだ、見たことのない光景があった……。未知への驚きと感動を与えてくれる『世界でヤろう!! おひとりホモ★』(熊田プウ助/ぶんか社)は、インパクト抜群のタイトルからは想像できない真面目な……ではなく、タイトル通りのコミックエッセイだ。

 50歳手前の足フェチホモ、熊田さんが世界のゲイスポット(ハッテン場)を巡り、様々な国の「ゲイとの触れ合い」体験記を綴った本作。最近は外国に100円均一のグッズを持って行ったり、海外に住んでいる日本人を尋ねたりするテレビ番組があるが、そこでは決して観ることのできない「秘密の海外事情」が読めるのは、閉ざされた空間である「本」という媒体だからこそ。そう考えると、とても貴重な感じがしてくる。

 アメリカでの巨大ゲイクラブイベントでは、レザーをカッコよく着こなした男性たちがメインフロアで踊っているのに対し、バックルームでは「初詣くらいの人口密度で全員セックスしてた」という「秘密の空間」が。そこで著者は、初めてアフリカ系の男性と、その場限りの親密な関係になったり。

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 イタリアのゲイクラブで開催された「ミスターち◯こコンテスト」なるイベントにも「何これ、バカバカしい絶対行こう!!」と参加。だがそれは、映画『スクリーム』のお面をかぶった5人の男たちが、性器を見せびらかすだけのショボい催しだったとか。

 メキシコの「バーニョ(公衆浴場)」はゲイのハッテン場だという情報を得て、早速突入。ドライサウナはストーブがふさがれて暑くも寒くもない部屋になっており、「サウナの段差をいかしてあらゆる体位での乱交が実践されていた」というセックス部屋に。

 ぬるいスチームがけむる場所では、「ナマイキなカップルがいい気になってヨガとかやってる」とのこと(すごく個人の意見が混じってる気がします 笑)。シャワーは扉もカーテンもなく、見られ放題になっている……などなど、男性(ノンケ)と女性は決して入ることのないヒミツのハッテン場の全容も明らかに。

 その他、「韓国はタチ激戦区」だとか「痔の薬は麻酔成分が入っているので、自分がウケ(女役)の場合は事前に塗っておくと楽」など、知っておけば、きっといつか役に立つ日が来るであろう、耳寄りなゲイ情報も。

 ……すでにお気づきだと思うが、本作はとても読む人を選ぶ内容となっている。しかしエロいことばかりではなく、海外の旅先で食べた料理のことも描かれおり、ちょっとした海外旅行気分も味わえたりするのだ。

 イタリアで食べたカルボナーラが美味しくなかったことや、メキシコの市場で飲んだスイカの生ジュースのこと、アボカドや牛ひき肉など、好きな具を入れて焼いてもらう屋台のブリトーが美味しかったことなど、「性」だけではなく「食」のことにも触れられている。

 ゲイ事情のターンは「おもしろえげつない」内容だったりもするのだが、こういった「食」や泊まったホテルのことなど、旅の様子が分かるのも、ちょっと変わったガイドブックを読んでいるようで楽しい。

 やや本屋のレジに持って行きづらいタイトルだとは思うが、興味のある方はネットで買って読んでみてはいかがだろう。置き場所にも困るかもしれないけれど(笑)

文=雨野裾