溶け合うように幸せなセックスがしたい。宮台真司×二村ヒトシの「幸せに愛しあうための叡智」

暮らし

2018/7/21

『どうすれば愛しあえるの 幸せな性愛のヒント』(宮台真司・二村ヒトシ/ベストセラーズ)

 平成ももうすぐ終わる、そんなご時世。一時代前と比べると、性のフラット化はかなり進み、ネットの浸透でポルノの入手も容易になった。それに従い、セックスに関する悩みを抱える若い人も増えたような印象だ。

 相手がいなくてセックスできない。相手はいるが、セックスが楽しくなくて苦痛。セックスや恋愛にトラウマがある。一応セックスはしていて、それなりに楽しんでいるが、なぜかときおり虚しくなったり、寂しさや嫉妬で苦しくなったりしてしまう…。こうした悩みや苦手意識によって、恋愛やセックスに積極的になれない若者は少なくない。

 でも、もしも“我を忘れるほど、ものすごく楽しいセックス”とか“愛しあえていると実感できるセックス”とか“した後で幸せな気持ちになれるセックス”というものがこの世に本当にあって、それが自分にもできる可能性があるのなら、したい。少しでもそう思う人に向けて、「誰かと愛しあうこと」を教えてくれる書籍がある。

『どうすれば愛しあえるの 幸せな性愛のヒント』(宮台真司・二村ヒトシ/ベストセラーズ)は、ナンパにも精通する社会学者宮台真司氏と、“ふたなり”などで有名なAV監督二村ヒトシ氏が、「ほんとうの性愛」について語り合う対談本だ。現代社会の中でひとりの人間として幸せに愛し愛され生きていくためのヒントが本書には詰め込まれている。

■「自分探し」より「自分なくし」! ~なぜ男は素直にヨガれないのか~

 セックスの技術を気にして、マニュアルのように性交を行う男は実際かなり多いという。男は女を「コントロール」することにこだわると、女に委ねて「快楽に声を上げる」ことができなくなる。この状態は果たして幸せだと言えるのだろうか?

二村・コントロールすることにこだわる男ほど、自分がコントロールされることに必要以上に怯えます。(中略)そこに、おそらく宮台さんがたびたびおっしゃる「変性意識」というキーワードが出てくると思うんです。変性意識状態というのは、スポーツでも仕事でも、過度の集中、たとえば文章を書いていて「筆が乗ってきた」とか、いわゆる〈ゾーンに入る〉という状態でもあると思うのですが。さらに“セックスでの変性意識”とは、相手と溶け合う、つまり「自我によるコントロールが利かなくなる」ということですよね。

宮台・はい。ちょっとしたトランス状態ですが、自分をコントロールできないので「委ね」の状態になります。洗脳されやすくなるので、女を変性意識状態に持ち込め、と教えるナンパ指南もありますが、僕が教えてきたのは、男が変性意識状態に入って「委ね」ることです。

 コントロールへの執着は人を通常意識状態に縛り付ける。コントロールを手放した「委ね」の志向こそが人を変性意識状態、つまりセックス・恋愛によって得られるほんとうの快感や幸福へと導くのだ。「自分探し」に実りはなく、未知を求める「世界探し」による「自分なくし」が大切だというのが両氏に共通する認識だ。

 人間の言動の動機には、多くの場合「幸せになりたい」という感情が含まれているはずだ。だからといってそのまま行動に移しても、必ず幸せな結果が待っているわけではない。それはセックスや恋愛も同じだ。不安、嫉妬、打算…。幸せな恋愛関係を脅かす要因は数えればきりがない。そしてこんな時代。自由はあるものの、確かなつながりがなかなか築けない。そんな私たちの幸福を妨げる感情や思考、外的要因にどう立ち向かい、異性とどう接していくべきなのか。幸福で満たされた性愛を享受したい人には、ぜひ本書を手に取ってもらいたい。

文=K(稲)