おもしろすぎるとネットを騒がせた! 爆笑育児コミックエッセイ10選

マンガ

更新日:2018/9/11

 次々と新たな育児コミックが発売され、コミックエッセイのベストセラーランキングの上位に育児ものが入ることも珍しくない。本稿ではその中から「笑える」10作品を厳選した。妊娠、出産を経て子供を育てることは大変なことである。そこでコミックエッセイは、育児中で余裕がないママたちパパたちを笑いで優しく癒してくれるだろう。

■漫画家夫婦の笑えて泣ける高齢出産&育児

 伊藤理佐氏の『おかあさんの扉』(オレンジページ)は出産からの子育てをおもしろおかしく描いた作品。40歳からの出産と育児は、同様の高齢出産をした人ならずとも楽しめること間違いなしだ。最新巻ではもう小学生になっている娘ちゃん。生まれてから日々成長してきた記録にもなっている本作は、読み続けてきた私たち読者を親目線にさせ、笑えるのはもちろん非常に感慨深くなる。

『女のはしょり道』(講談社)『おんなの窓』(文藝春秋)などの笑えるコミックエッセイをほぼ同時に描き続けている伊藤氏。どれだけ日常に描くことがあるのか…と感心してしまう。また夫である吉田戦車氏のコミックエッセイ『まんが親』(小学館)と両方読むと、ひとつの子育てをママとパパ2つの視点から楽しめる。

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■男の子! 女の子! パワフルな2人で横山さんちは大騒ぎ!

 お父さんにぜひ読んでもらいたいのが横山了一氏の作品。『息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。』(リイド社)でも描かれた、息子ゆうちゃんとの愉快なやりとりは、しばしばTwitterなどで拡散されており、既にご存じの人も多いだろう。

 その作者の最新刊が『破天荒息子としたたか娘の取扱説明書』(竹書房)である。本作はゆうちゃんに加えて妹のあいちゃんも大活躍。男の子と女の子で違う、遊び方・甘え方・拗ね方・機嫌のとり方…これらの対比は男女のきょうだいをもつ親ならきっとクスリとしてしまうことだろう。元々ストーリー漫画も描いていた横山氏だが、家族を題材にしたコミックエッセイを数多く出しており、既にエッセイ漫画家の代表格だ。

■育児の山の頂上はまだまだ…? 人気育児ブロガー新作!

 月間150万PVを記録し、ライブドアブログの子育て1位になった超人気ブロガー、ナナイロペリカン氏。彼女の4冊目の単行本が『いろはにちへど おかわり 限界かあちゃん いつまで育児の山登る』(講談社)である。

 本書の主役は次女のキミ子。イヤイヤ期、トイレトレーニング、寝かしつけ、習い事、姉妹ゲンカ…多くのママたちの共感を得ている子育てトピックを、赤裸々に描写している。さらに本書は描き下ろし16ページに加え、ママタレントのくわばたりえさん、絵本作家ののぶみさんなど各界の著名人への取材漫画を収録した豪華な1冊になっている。未読の方は『たまご絵日記』(マイナビ)からこの最新作までを読むことをおすすめしたい。

■ボケたおす子供にツッコミ! 親馬鹿ママのコントな日常

 最近話題なのが、写真を投稿するSNS、Instagram(インスタグラム)発のWEB漫画である。『育児ってこんなに笑えるんや!』(ぴあ)は、芸能人並みのインスタフォロワー13万人を誇るモチコ氏の育児コミックエッセイだ。かわいすぎる、おもしろすぎるとネットを騒がす長女イチコちゃん。そして抱っこ星人な長男二太郎くん。ママが2人へツッコミながら過ごす日々を、ほのぼのとした絵柄でつづっている。

 書籍化にあたり、イチコちゃんの話を中心に描き下ろし70ページを追加。インスタで人気があった作品に加え、「出産」「ネントレ」「卒乳」といった、赤ちゃん時代の特別マンガも読める充実の1冊となっている。

■ダメママで悪いか! これが“のだめ”作者の子育て日記

 二ノ宮知子氏といえば大ヒット作『のだめカンタービレ』(講談社)だが、コアなファンには“よっぱらい”漫画家としてのイメージが強いかもしれない。『おにぎり通信~ダメママ日記~』(集英社)はそのよっぱらったようなおもしろノリが炸裂している。

 本作はオーバーフォーティー(40歳以上)の二ノ宮氏が、締め切りを抱えつつ育児に「たまに参加する」一風変わった子育て漫画である。というのも夫のPON氏が育児を担当。二ノ宮氏自身は、一昔前の非イクメン旦那のような存在なのだ。(注:とはいえ料理もするし裁縫もする、たまに)

 軽めの育児放棄をギャグにしている二ノ宮氏だが、読んでいてまったく嫌な気分にならないから不思議だ。なお子供たちもその状況を受け入れており、一般的な「パパ拒否&ママべったり」と逆に、ママじゃなくパパがいい!などと泣く始末。スーパー主夫で愛されパパのPON氏は凄すぎるのだが、自虐的に「ダメママ日記」という副題になっており、嫌味がなく笑えるファミリーエッセイに仕上がっている。自分ががんばれていないのでは…と悩むママやパパにぜひ読んでほしい。

■育児ナメてた…人気漫画家が息子に動揺しまくり!

 ギャグ育児漫画の金字塔といえば『ママはテンパリスト』(東村アキコ/集英社)が筆頭に挙がるだろう。『東京タラレバ娘』(講談社)『かくかくしかじか』(集英社)『海月姫』(講談社)など、大ヒット作品を何本も抱えていた東村氏。

 彼女が、いたずら好きな息子・ごっちゃんの行動にテンパりまくり続けるのが本作だ。ごっちゃんのデンジャーな魅力に、多くのママパパ、そして育児をしたことのない人たちもやみつきに。正直、数多くの育児コミックエッセイの中でも激しめの内容で、思わず子供に激しい言葉を浴びせてしまうような状況も赤裸々に描いている。だがそれも東村氏の芸風というか作風で、見事に笑える作品になっている。ごっちゃんに笑わせてもらって救われたママ、特に息子をもつママは多いようである。

■ツレがうつだったから…子供の全てを見守れる

 うつになった夫を支える日々を描き、大ベストセラーとなった『ツレがうつになりまして。』の作者、細川貂々氏の子育てコミックエッセイが『息子とワタシ、ときどきツレ』(新日本出版社)である。闘病生活を送る夫と仕事に本気を出す妻のもとに生まれたちーと君。息子が小学生になり、成長していく中でハラハラさせられることもあるけれど、苦しみを乗り越えてきた細川氏とツレはあくまであたたかく見守る。

 大笑いはしないかもしれないけれど、『ツレうつ』と同様にほのぼのとした絵柄のおかげか、大変な状況も楽しくおかしく読むことができる。小学校で起きる子供のさまざまな問題に悩むママパパに、ぜひおすすめしたい。

■強制ワンオペ育児でママ友ゼロ…でも前向きに楽しく!

 見知らぬ土地に引っ越し、母は遠方住み、夫の帰宅は遅い、そしてママ友はゼロ! こんな「ぼっちでワンオペ育児(ひとりで行うワンオペレーションの育児)」を強制させられる状況に悩むママ。そんな辛い話は笑えない? いえいえ、『ぼっち育児楽しんでます』(鳥頭ゆば/メディアファクトリー)を読めば、きっと前向きに楽しくなれるはず。

 お絵かき大好きな主婦の鳥頭氏は、育児情報のネット検索やキラキラママが気になる現代のママだ。月間PV数200万超のブログ「巣ごもりゆばさん」を運営し、この初単行本で鮮烈なデビューを飾った。ほぼほぼ描き下ろしなので、長年のブログファンにもおすすめできる1冊だ。

■ヒゲ母ちゃんと赤ちゃんって? ギャップにハマれ!

「ふんわりジャンプ」で連載していたのが『ヒゲ母ちゃんと娘さん』(ヤマモト喜怒/集英社)だ。「パワフルな娘さんの成長を綴った抱腹絶倒コミックエッセイ!!」とあるが、どう考えてもパワフルなのはそのキャラクター。なぜかヒゲをたくわえたマッチョな大男がママで、パパもモヒカンマッチョという設定なのだ。それこそ往年の少年ジャンプのバトルものか!とツッコミたくなるが、内容はあくまでかわいい(?)娘さんのほのぼの子育て。

 ヒゲの母ちゃんがポジティブに育児を楽しみ、娘さんと猫のゴメスとモヒカン父ちゃんと、みんなでおもしろおかしく暮らす日々が何気なく描かれている。絵柄と内容とのギャップにやられてハマる人が多数。また育児にかんしての辛い部分がほとんど描かれていないのもポイントで、終始理屈抜きで爆笑できるコミックエッセイである。

■子供は暴れ回る恐竜…元気をもらえる育児エッセイの名作!

『ママはぽよぽよザウルスがお好き』(青沼貴子/メディアファクトリー)は懐かしい人が多いかもしれない。恐ろしい恐竜のような(笑える)2人の子供、リュウとアンの生態を、漫画家である母の視点から描いたその内容に、今と同様、育児にがんばっていた当時のママたちが共感しまくり。なんと累計130万部を販売し、TVアニメ化もされ大ヒットとなった。インターネットで育児情報も得られない時代(育児コミックも今より少なかった)に、気軽に読めて育児の参考にできる貴重なエッセイだったと想像もできる。

 昔読んでいた元ママはワンパクな「ちっちゃな怪獣」に再会することで、幼かった子供の姿を思い出すかもしれない。そして今まさに子育て中の人は、青沼ママのダイナミックな子育てに元気をもらえそうだ。子供のかわいさ、憎たらしさ。そしてママの愛情も本音もたっぷりつまった『ママぽよ』を、ぜひチェックしてみてほしい。

 いずれの作品も「あるある!」と声をあげて笑いたくなるエピソードに加え、出産や育児のコツや秘訣も盛りだくさん。また笑えるコミックエッセイでも、読んでいるうちに育児が大変なのは私だけじゃない!と前向きな気持ちにさせてくれることも。妊娠からの子育て期間は、ママはもちろん家族みんなが余裕をなくしがち。そこで笑える育児コミックエッセイで、不安や悩みや考えることが多すぎる頭の中を、少しだけラクにしてみてはいかがだろうか。

文=古林恭