「けが人を1人で運ぶには」「助けを呼ぶときは裏声で」自然災害時に必ず役立つ! 防災マニュアルまとめ

暮らし

更新日:2020/9/1

 台風や地震、豪雨などの自然災害は突然私たちを襲い、平穏な日常をガラリと変えてしまう。災害に見舞われたとき、私たちはどんな方法で命を守っていけばいいのだろう。そんな自然災害時に役立つ災害マニュアル本をご紹介していきたい。

■災害救助の自衛隊が教える防災BOOK

 自分や家族の命を守るためのテクニックを写真つきで分かりやすく教えてくれるのが『自衛隊防災BOOK』(マガジンハウス)だ。本書には危機管理のプロフェッショナルである自衛隊が実践している防災法が多数収録されている。中でも、ぜひチェックしてみてほしいのが「けが人の運び方」だ。

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 一般的なおんぶを駆使すれば、ひとりでもけが人を運ぶことができる。これはパニック状態になっている災害時には忘れてしまいがちな重要ポイントだ。災害時は、他人が危険にさらされている場に遭遇することも多くなる。自分の命を守ることはもちろん大前提であるが、困っている人や苦しんでいる人を助けられるような知識を持つことも大切なのではないだろうか。

■ポリ袋調理でOK!日常でも食べられる即食レシピ集

 災害時に一番悩むのが、食事の問題である。いざというときにために缶詰やレトルト食品、乾物といった非常食を用意していても、同じ食事を何日も続けていると食べる楽しみがなくなってしまう。そんなとき参考にしてみてほしいのが『かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん』(今泉マユ子/清流出版)。

 本書では乾物、レトルト食品などのアレンジ法や、ポリ袋を使った調理法などが紹介されている。災害時は水を使えないことも多く、肉体的・精神的にも疲労が溜まるので、手間や洗い物が不要なポリ袋調理法は大活躍してくれるはず。なお、今泉氏が教えてくれる即席レシピは普段の献立にも取り入れられる。いざというときのためにも備えておきたい1冊だ。

■非常時でも快眠できる「車内泊マニュアル」とは?

 地震などに見舞われ、避難を余儀なくされると、車中で眠らなければいけないこともある。しかし、長時間足を動かさず、同じ姿勢を取り続けなければいけない車内泊はエコノミークラス症候群を引き起こしてしまう恐れがある。では、健康に害を与えず、快適に車内で眠るには一体どうしたらいいのだろう。それをまとめたのが『カーネル特選!安全・快適車中泊マニュアル―完全保存版』(地球丸)だ。

 本書によれば、車の中で安心・安全・快適に眠るにはベッドメイキングで寝床をフラットにすること重要なのだそう。タオルや毛布、衣類で隙間を埋めることが安眠への第一歩となる。緊急時にこそ生きる車内泊のノウハウはぜひ、災害発生前に学んでおこう。

■もしものときに役立つ!自分と他人を守れる8つのサバイバル術

 大人は様々な書籍やネットの情報を読み、災害への対処法を学ぶことができるが、子どもが自力で災害マニュアルを覚えるのはなかなか難しいものだ。しかし、『もしときサバイバル術Jr.』(片山誠/高橋未来/太郎次郎社エディタス)で得た知識があれば、両親がいないときに災害に見舞われても、生き抜くことができるかもしれない。

 災害発生後は72時間が生存率の分かれ道になるといわれているが、本書には、その72時間にできることが詳しく記されているのだ。たとえば片山氏いわく、孤立してしまい助けを呼びたいときは高音を出すために裏声を使うほうが聞こえやすくなるのだそう。大人も参考にできそうな本書は日頃から子どもと一緒に読んでおきたいノウハウ本である。

■読み物としても楽しめる!アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル

 世界最強と称される特殊部隊直伝のサバイバルマニュアルを収録した『アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル 災害・アウトドア編』(クリント・エマーソン/竹花秀春(訳)/三笠書房)は様々な災害に対応できるノウハウ本。

 ユニークなサバイバルノウハウも詰め込まれているが、日常で起こり得る災害への対処法も丁寧に記されている。例えば、災害時に孤立してしまった時は、スマートフォンが救難信号代わりになる。日中はディスプレイを日光に反射させ、夜はバックライトを点灯させることで、救助活動中のヘリコプターへ助けを求めることができるのだ。危機的な状況に陥ったときは周りの手が借りられないことも多いので、自分の身を守れる知識を詰め込んでおこう。

■愛犬と安全に災害を乗り切るには?

 被災時にどうペットの身を守っていけばよいのか悩んでしまう愛犬家は多いはず。災害時はどうしても人命救助が第一となるため、ペットの命を守れるのかは飼い主の手にかかっている。そんなときにぜひ活用してほしいのが『どんな災害でもイヌといっしょ』(徳田竜之介/小学館)だ。

 本書には、災害前に飼い主がしておくべきことや発生時の行動パターンが状況別に詳しく記されており、被災後に起こりやすい犬の症状や対処法も学べる。動物後進国である日本は避難所でペットが肩身の狭い思いをしてしまうことも多いからこそ、事前に自分とペットの命を守れる災害マニュアルを身に付け、いざというときに心身をケアしてあげられるような飼い主になってほしい。

 本稿執筆時は北海道で震度7の地震が起き、深刻な被害がもたらされている。また、2011年に起きた東日本大震災や2016年の熊本地震による爪痕に、今もなお苦しんでいる方も多い。「もし自分が被災者になったら、どんな対応をしていけるのか」そう考えたときに不安が頭をよぎる方は様々な災害マニュアル本を読み、命を守れるようなノウハウを得てほしい。

文=古川諭香