美女からブスに整形? 整形して美しくなったのに…「美」に取り憑かれた2人の女『整形美女』

健康・美容

2018/9/17

『整形美女』(光文社)

 顔も体も取り替えて、あの子みたいになりたい。美しい人・かわいい人を見るたびにそんな願望を抱くことがある。人は見た目だ。だからこそ、人は美容整形に魅せられる。

 だが、私たちが目指してやまない「美しい見た目」とはどういう容姿のことなのだろう。人を美人だとか、ブスだとか、判断する基準はどこにあるのか。姫野カオルコ氏著『整形美女』(光文社)は、整形をした2人の女性を描いた物語。この本を読んでいると、本当の美しさとは何なのか、本当の幸せとは何なのかということを考えさせられてしまう。

 主人公は、繭村甲斐子、20歳。彼女は、名医・大曾根に懇願し、全身整形を希望する。だが、大曾根には甲斐子が整形したい理由が理解できない。なぜなら、大曾根にとって、甲斐子は整形の必要がない完璧な美女に見えるからだ。大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ甲斐子。彼女は、手術によって、「まめつぶのような目、わずかに上向き気味の低い鼻、小さな口にボテッとしたほっぺた」というブス顔に整形する。

 一方、同郷の望月阿倍子も、社会人となった新生活を機に整形することに。彼女は恋人からすれば、「堀辰雄の小説に出てくるようなすごい美人」らしいが、大曾根からすれば、思わず「これはブスだ…」と思ってしまう容姿だった。整形した阿倍子の姿は元の甲斐子の顔そっくりになる。自らの「計画」に従って変身してゆく甲斐子と、整形の魔力にとらわれて変貌してゆく阿倍子。「美女からブスへ」、「ブスから美女へ」。正反対の考えのもと、整形をした2人の、整形後の運命は……。

 美女からブスへと整形する甲斐子は、決して血迷っていたわけではない。それは、周囲の反応を見れば明らか。整形によってブスになったはずの甲斐子はなぜかモテ始めるのだ。そして、ブスだった阿倍子は整形によって途端にモテなくなる。一体、私たちは何を美しく感じ、何を醜いと思うのだろう。私たちは人を、印象や雰囲気だけで見ているのではないか。「顔がきれいに整っている」ことと、「美人だと思われる」こととはちがうのではないか。2人の姿を見ていると、そんなことを痛感せずにはいられない。

 美しく整形した阿倍子の姿を見た甲斐子は、こんなことを思う。

なんであんなブスに整形したのかしら。美人というのはライトのことではなくて、ライトに照らしてもらう人なのに。

 甲斐子は「こうすれば男にモテる」という持論で溢れていて面白い。そして、それは、どれも間違っていない気がするのだ。「美人はモテない」「整形は隠したら不倫」「色気とはうっすらとした不潔感」…。男からの視線に振り回され続けるのが女の宿命なのか。甲斐子は自身の変身計画を経て、どのような人生を歩むのだろうか。

 この本は、本当の美しさが何なのかを教えてくれる。整形が決して珍しいことではなくなった今の時代だからこそ、ぜひこの本を手にとってほしい。整形は善なのか、悪なのか。この本を読んだ後、あなたはどう感じるのだろうか。

文=アサトーミナミ