美女は周りが思っているほど幸せではない? 有名写真家が見た“美女の正体”

健康・美容

2018/10/13

『美女の正体』(下村一喜/集英社)

 口にこそしないが、心の中で「女性は美人であるほうが幸せである」という考えを抱いている人は多い。美人であれば、恋愛や就職、結婚、人付き合いなど、ありとあらゆる場面で恵まれた扱いを受け、幸せな人生を送れるように思えてしまう。しかし、世間で美女と呼ばれている人たちは本当に幸せなのだろうか。

 そう思えてしまうほど、美女に対する考え方を変えてくれるのが『美女の正体』(下村一喜/集英社)だ。著者である下村一喜氏は写真家として、これまでに被写体となるたくさんの美女を見てきた。こうした経験を経て下村氏が感じたのは、美女にヒエラルキーは存在せず、美しさと幸せは無関係であるという事実だった。そこで下村氏は美女をグラデーション分けしながら、その正体について考えてみることにした。

「世界中の女性は美女と、美女の可能性を秘めている人しか存在しません」と思っている下村氏によって明かされる美女の真実と闇とは、一体どんなものなのだろうか。

■まわりが思っているほど美女は幸せではない

 テレビやメディアで美しい女性芸能人を目にし「こんな顔だったら、人生も変わっていたのかもしれない」と思ってしまった経験は誰にでもあるはず。それは、美女であれば幸せになれるという考えが無意識のうちに心の中にあるからだ。しかし、実は美女と呼ばれている人たちは、まわりが思うほど幸せではないのかもしれない。そんな気づきをくれるのが本書内で明かされている後藤久美子さんのエピソードだ。

 10歳でCMデビューした後藤さんは国民的美少女という言葉を根付かせた絶世の美女。10代ですでに完成された美貌を持っていた彼女はNHKの大河ドラマにも出演するほど大人気を得たが、21歳で芸能界を去り、南フランスに移住。芸能界という華やかな表舞台からも姿を消した。

 誰もが羨むほどの経歴を捨てた後藤さんは現在、3人の母親。彼女は、まわりから賞賛を得ていた10代の頃よりも、普通に暮らしている現在のほうが幸せなのだ。実は後藤さんは自ら望んで芸能人として生きていきたいと思っていたわけではなかった。

「私は子どもを産んで母親になったから、私が思うような女になれたのよ、なりたかったの!私の夢は母親になること。いましっかりと子どもの反抗期を満喫してるわよ!」

 下村氏にそう語った後藤さんにとっては、もしかしたら美女であることが自身の思い描いていた幸せを遠ざける理由になってしまっていたのかもしれない。

 美女は美しいからこそ「いいじゃない、あなたはきれいなんだから」のひとことで何もかも片づけられてしまうジレンマや孤独感を抱えていることも少なくない。美女は美女であるがゆえに、幸せになれないことだってあるのだ。

■アンバランスでもいびつでも美女

 近年では「SNOW」などの顔補正機能付きのカメラアプリで盛れている写真を撮る人も多い。自動でデカ目や美肌、小顔に修正してくれるカメラはコンプレックスも忘れさせてくれる。

 だが、本人が隠したいと思っている欠点によって、自身の美しさが引き立てられることだってあるということを思い出してほしい。

多少アンバランスでもいびつでも、それはその人の個性なんです。そして個性があるほうが、美女に一歩でも近づくのではないかと僕は思います

 そう話す下村氏は、以前ミス・コリアの選考会に出場する30人の美女たちの顔写真を見たとき、全員同じ顔をしていることをとても残念に思ったのだそう。なぜなら、美はワンパターンではなく、肌の色や髪の色、目の大きさ、鼻の高さなどといった様々な要素が絡み合ってこそ生まれるからだ。

 日本人女性はデカ目や二重、白肌、小顔といった条件がそろっていることこそが美の条件であると考え、それに近づけようとすることも多い。美しくなるために努力をすることはもちろん素晴らしいことだが、自分の個性を押し殺しながら美しくあろうとするのは、なんだか虚しいようにも感じる。

 顔や体形はひとりひとり違って当たり前。美女の条件には正解などないからこそ、カメラアプリで顔をごまかしたり、美容整形に走ったりする前に、個性を活かせる見せ方やアピール法がないかを考えてみてほしい。

 本書を通し、下村氏の美女論を知りながら美女の本質に触れると、美に対しての価値観がガラリと変わるはず。「真の美女とは何か」の答えを知れた時、きっとあなたはもっと魅力的な女性になれているだろう。

文=古川諭香