読んだら眠れなくなる!? 少年が見た「あさみちゃん」とは――精神的に“くる”、日本的ホラー

アニメ・マンガ

2018/10/29

『恐之本』シリーズ(少年画報社)

 決して派手ではないものの、生理的な恐怖感、おぞましいほどの嫌悪感を描かせたら右に出る者がいないのではないか。高港基資さんは、まさにそんなマンガ家だ。

 彼がその本領を発揮しているのが、『恐之本』シリーズである(少年画報社)。

 本作に収録されているのは、一話完結のホラーストーリー。たとえば、ニューモデルの車を激安で購入した男を襲う少女の霊、中古の家に先に住んでいた者、証明写真に写り込む怪しい女性……。どれも日常生活の一コマで描かれる、恐怖だ。

 本シリーズは、全10巻が発表されている。そのなかでも、個人的に最も恐ろしいと思ったエピソードが、第6巻に収録されている「あさみちゃん」という話だ。

 主人公となるのは、小学校の男性教師。臨時で受け持ったクラスにいた男の子・高村怜也くんが、「狭いところに潜り込む」という奇癖を持っていたため、母親と面談をすることになるのだが――。

 怜也くんが語りだす「あさみちゃん」の正体、そして主人公の前に姿を現す「あさみちゃん」の描写。そのどれもが目を背けたくなるような筆致で描かれており、読んでいる最中から何度も後ろを振り返ってしまった……。

 高港さんの絵は線が細く、トーンも多用されないため、至極シンプル。しかしながら、それが逆に作品世界を禍々しいものにしている。奇妙に歪み、薄ら笑いを浮かべた幽霊を一度見てしまったら、それが目に焼き付いてしまい、2、3日は眠れなくなるだろう。極めて「おぞましい」の一言である。

 言うなれば、実に「日本的なホラー」である本作。精神的に侵食してくるようなホラー体験がしたいのならば、ぜひ一度読んでみることをオススメしたい。

文=五十嵐 大