好みの表紙から本を選ぶ! “ジャケ買い”のススメーー赤い表紙編

文芸・カルチャー

2019/11/3

 本との出会いは一期一会。何の気なしに本屋さんやネットで本を探していて、ふと出会ってしまう素敵な表紙の書籍。心をグッとつかまれたならそれは「買い」で間違いなし! 本稿では、ダ・ヴィンチニュース編集部がオススメする、“ジャケ買い”してハズレなしの作品のうち、赤い表紙の作品をご紹介。

顔中に豹柄の刺青。特異な容貌で犯罪を重ねる男の秘めた“死命”とは――

『ラストナイト』(薬丸岳/KADOKAWA)

 薬丸岳さんといえば、2018年に映画化された『友罪』でも脚光を浴びた作家。薬丸さんが手がける強烈な印象の作品には、人生の光と影が描かれている。本作『ラストナイト』(KADOKAWA)もそうだ。読者である私たちは彼の作品を通じて人生の歩み方や尊さを学ぶのだ。

 主人公・片桐達夫は59歳の初老の男。びっしりと顔に彫られているのは、豹柄模様の入れ墨。周囲に、威圧感と恐怖を与える。これまでに4度の服役を繰り返し、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた片桐は、5年の服役を終え、シャバに出た。

無名のまま死んだ陶芸家の父は、偉大なるリーチ先生の弟子だった――日本とイギリスの懸け橋となった若者たちの物語

『リーチ先生』(原田マハ/集英社文庫)

 “売れる”ことは正義か否か、という論争がいつの世もある。たとえば、本。おもしろければ売れるはずだ。たくさんの人に支持されてこそ、その価値は裏づけられる。そう主張する人も、間違いではないと思う。けれど、たとえば宮沢賢治やゴッホはどうだろうか。どちらも生前は無名だった。評価されるようになったのは、無名のうちから、彼らの作品を根強く「好い」と主張する人たちがいたからだ。実在したイギリス人陶芸家バーナード・リーチを軸に描かれる小説『リーチ先生』(原田マハ/集英社文庫)は、そんな、己の「好い」を信じて貫き続けた人たちの物語である。

 1954年の春、バーナード・リーチは古い友人である柳宗悦の強い勧めで、大分県・小鹿田(おんた)の窯を見るべくやってきた。

最後の一文を読めば、必ず恐怖する……。死んだ元カノの「日記」を巡る、サスペンス・スリラー

『かげろう日記』(吉村達也/双葉社)

 日記というものは、しばしば、激しい感情を吐露する場になりうる。「誰の目にも触れない」という前提があるからこそ、なおのこと、本質的な想いが綴られる。しかし、そこに書かれてある恐ろしい感情を第三者が目にしてしまったら――。

『かげろう日記』(吉村達也/双葉社)は、そんな日記をモチーフにした、サスペンス・スリラーだ。著者である吉村達也さんは刑事を主人公にしたミステリーシリーズや、ホラー作品などを数多く手がける作家として知られている。2012年に死去されたものの、その著作に対するファンの支持はいまだ厚い。この『かげろう日記』は2003年に発表された作品だが、ファンからの声、そして編集者の熱望により新装版として復刊した。

ストリッパーを辞め、札幌で店を営む。泥臭さとかっこよさが全編に流れる大人の小説『裸の華』

『裸の華』(桜木紫乃/集英社)

 ついさっきまでオーダーを取ってお酒を運んでいた女性が、ショータイムになった途端、ステージで踊り出す。そして汗を拭って、何食わぬ顔で戻ってくる。私はそういうお店に行くのが大好きだ。きっと、踊りたくてここで働いているのだろう。この体に手足が付いていることがうれしくてたまらない! そんな気持ちが伝わって、こちらの手足までムズムズしてくるのだ。

 もっと、ずっと、踊っていたいのだろう。それでも、与えられた仕事をきっちりとこなす。踊ることを人生の中心とするストイックさは、何をしていたってにじみ出る。

こっくりさん、花子さんから異界駅まで……一家に一冊ほしい、現代怪異の大事典

『日本現代怪異事典』(朝里樹/笠間書院)

 ページを開いた瞬間、感激で目頭を押さえた。喜びのにやにや笑いが止まらない方もいるだろう。『日本現代怪異事典』(朝里樹/笠間書院)は、戦後日本で語り継がれる怪異じつに1000種類以上を網羅した大事典なのだ。

 公務員として働くかたわら怪異の収集・研究をおこなう著者(怪異ファンとしては、柳田國男翁を彷彿とさせるこの経歴にも反応せざるを得まい)がまとめあげた500ページにわたる事典には、わたしたちの日常と隣り合わせにあった、さまざまな怪異が紹介されている。

 いかがだっただろうか。どの書籍の内容も、ダ・ヴィンチニュース編集部のお墨付き! 今日は赤の気分、と思ったら、この中で気になった書籍を手にとってみてほしい。