2020年は飛躍の年に! 背中を押してくれるマンガ10選

マンガ・アニメ

2020/1/1

 2020年の目標、皆さんもう考えましたか? 「新しい年は、心機一転頑張りたい!」と思っている人もきっといるはず。であれば、漫画からそのパワーをもらおうじゃありませんか! 頑張りたいと思っている人の背中を押してくれる漫画、10作品をご紹介します。

●『BLUE GIANT』(石塚真一)全10巻

『BLUE GIANT』(石塚真一)

 主人公の宮本勝は、仙台に住む高校生。ごく普通のバスケットボール少年でしたが、ジャズに出会ったことで、彼の人生は一変します。世界一のサックスプレーヤーになるため、その日から猛練習を始めるのです。

 兄からプレゼントされたサックスを手に、雨の日も風の日も雪の日も休むことなく、毎日、河原でサックスを吹き続けます。最初は楽譜だって読めなかった大は、徐々に音を出せるようになっていきます。

 ある日、大は楽器店の店主からライブに誘われます。人生初のステージに気合十分の大でしたが、その結果は惨憺たるものでした。店の常連客から「素人の演奏を聴きに来たのではない」とボロクソに言われてしまうのです。大は無言で店を立ち去り、一人夜の公園に足を運びます。そして、そこで言うのです。「へでもねぇっちゃ!」

 どんな大きな失敗をしても、絶対にへこたれず夢を追い続ける大。その心の強さに尊敬しかありません。

 現在は、続編『BLUE GIANT SUPREME』がビッグコミックで連載中です。

●『ブルーピリオド』(山口つばさ)既刊6巻

『ブルーピリオド』(山口つばさ)

 世渡り上手なリア充高校生の矢口八虎(やぐちやとら)が、日本で唯一の国立美大、東京藝術大学を目指して奮闘する受験物語。

 ある日、美術室で見た一枚の絵に心を奪われた八虎は、美術の世界に身を投じることを決意します。とはいえ、八虎は絵をどうやって勉強するかも知らないド素人。特段、絵がうまかったわけでもありませんでした。

 しかし、持ち前の真面目さと根性で、周りの人もびっくりの急成長を遂げます。

 絵を描くことは、自らをさらけ出す行為。八虎は、絵を描くことを通じてはじめて、情けない自分と向き合い、人に否定されることを知ります。それらは、それまでの八虎の人生にはなかったことでした。上っ面の言葉しか発しなかった八虎が、大事な仲間や家族と本音で語り合えるようになっていく姿も感動します。

 八虎だけでなく、同じく藝大を目指すライバルたちの挫折や葛藤もこの作品の見どころの一つ。きっと誰かに共感するはずです。

 辛く厳しい受験に立ち向かう八虎たちを見ると、自分ももっと頑張ろうと思えてきます。

●『7人のシェイクスピア』(ハロルド作石)全6巻

『7人のシェイクスピア』(ハロルド作石)

 天才と呼ばれる歴史的人物にも、きっといろんな苦労があったはず。この作品は、史上最高の劇作家といわれているウィリアム・シェイクスピアは、本当は7人のチームだった…という物語です。

 主人公のウィリアム・シェイクスピアは、芝居に対し熱い情熱を持っているものの、書く作品はどれもイマイチ。しかし、彼のもとに集まった仲間たちが、それぞれの才能を持ち寄ることで、素晴らしい作品になっていきます。

 ベースとなる台本を描くウィリアム・シェイクスピア、作品に欠かせない美しい詩を紡ぎ出すリー、聖書や神話の知識を提供するミル、歴史に詳しいトマス・ソープ、芝居の構成を考えるケイン、芝居に使う音楽の作曲をするアン、演出や大道具のアイデアを提案するロバートの7人の手によって、“ウィリアム・シェイクスピア”の芝居が生まれたのです。

 一人で頑張ってもどうにもならないときはあります。そんなときは、仲間の力を借りてみませんか? 頑張り方にもいろいろな方法があるんだなと思える一冊です。現在は続編の『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』が連載中です。

●『3月のライオン』(羽海野チカ)既刊14巻

『3月のライオン』(羽海野チカ)

 アニメ化、映画化もされた、大人気将棋漫画。高校生にしてプロ棋士の桐山零が、棋士として人として成長していくストーリーです。

 家族と離れて暮らす零は、ひたすら孤独でした。ところが、ひょんなことがきっかけで、川を隔てた場所に住む川本三姉妹と出会い、彼の人生に変化が訪れます。人と関わることを諦めていた零は、川本家に出入りするようになって、徐々に少年らしい心を取り戻していくのです。

 零に大きな影響を与えたのは、川本三姉妹だけではありません。ライバル棋士たちもそうです。

 特に印象深いのが、零の終生のライバルを自称する二海堂晴信。幼い頃から体が弱い彼にはいつも執事がついています。しかし、試合になれば泣き言は一切言わず、常に全身全霊の将棋を指します。その姿は、零だけでなくほかの棋士たちの胸も打つのです。

 二階堂のほかにも、魅力的なライバル棋士たちが続々登場します。タイトルを勝ち取るため、負けられない試合に臨む男たちからきっとパワーをもらえるはず。

●『いつかティファニーで朝食を』(マキヒロチ)全14巻

『いつかティファニーで朝食を』(マキヒロチ)

 主人公の佐藤麻里子とその友人たちが、恋に仕事に奮闘する姿を描いた物語。

 仕事が忙しく、同棲している恋人ともうまくいっていない麻里子は、美味しい朝食を食べたことをきっかけに、新しい人生を踏み出すことを決意するところから物語ははじまります。今どきの女性が持つ悩みが、リアルに描かれていて、ときに胸が苦しくなることもあるのですが、麻里子は自分なりの答えを見つけて再び歩き出します。

 2019年の10月、7年間の連載に幕を閉じ、連載当初は28歳だった麻里子も、最終的には30代半ばになりました。その間に、恋人と別れたり、体を壊したり、人を傷つけてしまったり、うまくいかないこともたくさんあった麻里子。もしかしたら、最終回は望んだハッピーエンドではなかったと思う人もいるかもしれません。

 でも、だからこそいいんです。うまくいかないときにどうやって軌道修正するかのほうが大事で、そのヒントがこの作品の随所にちりばめられています。美味しい朝ごはんを食べて、元気を出したくなる作品です。

●『ばらかもん』(ヨシノサツキ)全18巻

『ばらかもん』(ヨシノサツキ)

 頑張り方がわからなくなった人におすすめなのが、『ばらかもん』。

 書道界の重鎮を殴った罰として、都会から五島列島に送られた若き書道家・半田清舟。慣れない田舎暮らしに四苦八苦しながらも、人として成長していく…という物語です。

 島に来た当初は、尖りまくりだった半田ですが、自由奔放な島民たちと触れ合う中で、徐々に素直な心を取り戻していきます。

 作中、心に沁みる名言がたくさん飛び出すのですが、そのなかでも半田がヤスバに相談するシーンが素敵です。

 餅まきイベントの際に、なかなか餅が拾えない半田が「頑張っても餅を取れなかったらどうすればいい?」と尋ねます。

 それに対しヤスバは「どうぞお先に」と思えばいいと諭すのです。

 人に取られたものを欲しがる必要はない、かといって諦める必要もない。譲ってあげてもっと大きな餅を狙え。譲ることと拾うことをやめなければ、気づいたときにはたくさんのものを得られるはず。……人生すべてに言える名言ですよね。

 思い通りにいかずイライラしたときは、この言葉を思い出すようにしています。

●『金瓶梅』(竹崎真実)既刊43巻

『金瓶梅』(竹崎真実)

 背中を押してくれる漫画は、レディコミにもあります。それが『金瓶梅』です。

 蒸し餅屋の醜い夫との結婚生活に嫌気がさしていた潘金蓮(はんきんれん)はある日、薬店を営む名士、西門慶(せいもんけい)と恋に落ちます。西門と添い遂げたい金蓮は、醜い夫を毒殺し、西門家に輿入れすることに成功するのですが、なんとそこには、すでに4人の美しい妻が。さらに、金蓮のあとにもう一人加わり、総勢6人の妻たちが西門の寵愛をめぐって激しいバトルを繰り広げることになるのです。

 金蓮は美貌の女性ですが、気性が荒く、嫌いな者には容赦なく攻撃します。そのくせ頭が回るので、狡猾に立ち回ることも得意という、悪女です。でも、面倒見が良かったり、結構苦労していたりと、憎めない魅力を持っています。また、自分の得にならないことは、死んでもやりません。ひざの上に乗りなさいと誘ってきた西門慶の父親に対して、「ひざになんか乗ったら何をされるか目に見えてるわ 好奇心で身を滅ぼすほど私はバカじゃないわよ」と一蹴します。

 悪女だけど、この気の強さだけはちょっと見習いたいですね。

●『賭ケグルイ』(河本ほむら:原作、尚村透:作画)既刊12巻

『賭ケグルイ』(河本ほむら:原作、尚村透:作画)

 ドラマ版での浜辺美波の熱演が話題になった作品。

 私立百花王学園は、上流階級・政財界の子女が数多く通う名門校。この学校はギャンブルの強い者ほど階級が上がるという特殊なルールに支配されています。そこに転入してきたのが、主人公の蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)です。一見大人しそうな夢子ですが、その実態は狂ったギャンブル中毒者。

 天才的な頭脳と運の良さで、イカサマギャンブラーたちを次々倒していく夢子。どんなに分の悪い勝負でも、大きく賭けに出る豪胆です。

 そんな夢子ですが、ただ勝負に勝ちたいだけのギャンブラーではないのです。夢子がどういう人間かがよくわかるのが、生徒副会長である五十嵐清華との戦いでの一幕。命がかかる大事な場面で、夢子はあえてお手つきをします。そのときに言った一言がこちら。

「何も分からないまま生き永らえるくらいなら すべてを知って死んでしまいたいではありませんか♡」

 ときには勝負に勝つことよりも、自分の好奇心を優先させます。恐ろしい女です。リスクを恐れない夢子を見習って、自分ももっと勝負に出ていかないといけないなという気持ちにさせられます。

●『最遊記』(峰倉かずや)全9巻

『最遊記』(峰倉かずや)

 1997年に連載開始したファンタジー長編。シリーズ最終章となる『最遊記RELOAD BLAST』に物語は引き継がれています(現在休載中)。

 中国の物語『西遊記』をモチーフにした作品で、小学生の頃、熱烈にハマったというアラサー女性も多いのでは。美麗な男たちがハードボイルドに戦って旅する漫画なのですが、胸を熱くさせるシーンや、名言が多いことでも有名です。

「俺は生まれて死ぬまで俺だけの味方なんだよ」
「俺の為に生きて俺の為だけに死ぬ、それが俺の誇り」
「本当の自由とは、帰るべきところのあることなのかもしれませんね」
「お前が死んでも何も変わらない だが、お前が生きて変わるものもある」
「人生なんざ元々、死ぬまでの悪あがきだろ」

 紹介しだしたらキリがないのでこのへんにしておきますが、とにかく心を奮い立たせてくれる言葉が作中たくさん出てきます。また、キャラクターは皆、心に大きな傷を抱えていますが、己の力でそれらを克服していきます。連載スタートから20年以上経った今も、色あせない力強さを持つ作品です。

●『ショート・ピース』(小林有吾)既刊1巻

『ショート・ピース』(小林有吾)

 高校の映像研究部で監督・脚本をつとめる恩田キヨハルは、自他ともに認める映画バカ。見るからに変人で、気分が乗らないとすぐに撮影を撤収させてしまうという超マイペース人間ですが、映像のセンスは天才的。史上最年少で、著名な賞を受賞した人物でもあります。そんな彼のもとに、インディーズバンドが、PVを撮ってほしいとやってきます。ボーカルの月子は、たかが高校生とバカにしていましたが、キヨハルの映像に対する情熱に心を動かされていきます。そして、出来上がった映像には、月子たちが本当に伝えたかったものが映っていたのでした。

 またあるときは、子役時代に名を馳せた女優・足立ひかりが転入してきたことで、学校中が騒然とします。たまたまキヨハルの映画脚本を読んだひかりは、その面白さに役者魂が揺さぶられますが、キヨハルは一言「必要ない」。ひかりの演技をバッサリ切り捨てたのです。しかしそれには理由があって…。自分勝手な言動が目立つキヨハルですが、その根底には、関わる人への深い愛情があったのです。周りの目を一切気にせず、自分の力を信じて突き進むキヨハルに憧れます。

 大きな壁にぶつかってめげそうになったら、これらの漫画を読んでパワーをもらってはいかがでしょう。2020年、あなたにとって飛躍の年になりますように!

 文=中村未来(清談社)