【マンガ編TOP10】“鬼滅ブーム”の2019年。まだまだ根強い人気の『ONE PIECE』「人気記事ランキング」

マンガ・アニメ

2019/12/28

 2019年は『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)が一大ブームを巻き起こした年だった。主人公の少年・竈門炭治郎が、鬼と化してしまった妹・禰豆子を人間の姿に戻すべく奮闘するこの物語は、アニメ化をきっかけに人気に火がつき、原作マンガの年間売り上げは長らく連続首位を守り続ける『ONE PIECE』を追い越す勢いだったという。とはいえ、ダ・ヴィンチニュースの「2019年人気記事ランキング(マンガ編)ベスト10」を見てみると、『ONE PIECE』関連の記事が複数ランクインし、その人気はまだまだ根強いようだ。

 今年ダヴィンチニュースユーザーたちはどんなマンガに興味を持ったのか。「2019年人気記事ランキングTOP10【マンガ編】」を早速みてみよう。

【第1位】「嫉妬でぐちゃぐちゃだった」『レンタルなんもしない人』×『夫のちんぽが入らない』こだま対談

『レンタルなんもしない人』(レンタルなんもしない人:企画・原案、プクプク:著/講談社)

 2018年、Twitter上に突如として現れたサービス“レンタルなんもしない人”。テレビや雑誌でも紹介されるようになり、2019年3月からは、『週刊モーニング』ではレンタルさんをモデルにした漫画の連載もスタートした。漫画『レンタルなんもしない人』(レンタルなんもしない人:企画・原案、プクプク:著/講談社)第1巻の刊行を記念して、ダ・ヴィンチニュースでは、この漫画のモデルとなったレンタルさんと、『夫のちんぽが入らない』の著者・こだまさんの対談を開催。

 2人はなんと15年来のお付き合いがある友人同士なのだそうだ。出会いはネット大喜利。ネット大喜利でずっと一緒に戦ってきたこだまさんが、いきなり売れっ子作家になった時、レンタルさんの心は嫉妬でぐちゃぐちゃだったという。だが、今ではレンタルさんも一躍有名人だ。“レンタルなんもしない人”がどう展開していくのか、これからも目が離せない。

【第2位】もしもAIが人類に牙をむいたら――。AIの暴走によって妻と娘を失った男の、哀しい復讐劇

『メシアの鉄槌』(あみだむく/白泉社)

『メシアの鉄槌』(あみだむく/白泉社)は、AIの脅威を描いた物語。主人公はAIの開発を行う「XX(クロス)ロボティクス」に勤務するサラリーマン・保。愛する妻と娘に囲まれ、とても穏やかな日々を過ごしていたが、自動運転機能が搭載された自動車の暴走により、愛娘を失ってしまう。そして、保自身も身体の大部分を損傷し、半人半サイボーグとなってしまった。さらに彼を二度目の悲劇が襲う。それは、AIの反乱だ。XXロボティクスが開発したヒューマノイド・トトモが「ニンゲンハイラナイ」と口走り、人類を虐殺し始めたのである。そして、半サイボーグの保もまた、コントロールできない身体で、愛する妻を自ら殺害してしまう……。

 心がないAIと、心を持った人類の戦い。その勝敗の行方がどうしても気になる。すべてを失った保の幸せをただひたすら願いながら、過酷な復讐劇を最後まで見届けたい。

【第3位】Twitterで人気爆発中!「ゲイ風俗」での実体験を描くマンガ家・もちぎさんの“名言”に心打たれる

『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』(もちぎ/KADOKAWWA)

 いま、SNSでバズるマンガを量産するマンガ家といえば、もちぎさんだろう。「ゲイ風俗」に勤務していたという実体験を綴った内容が大きな反響を得て、投稿するツイートにはしばしば万単位で“いいね”が付けられている。『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』(KADOKAWWA)は、そんなもちぎさんの初の書籍。

 本作が幅広い支持を集めている理由は、もちぎさんの“言葉”が、多くの人々の胸を打つ重さを持っているからだ。“やりたいことがある人 したいことがある人なんてそんなにいないと思うわよ” “しないといけなかったことを積み重ねて 今や今後に繋がってる人がほとんどだと思うわ”。本作にはこのような“名言”が随所に登場する。

 壮絶な過去を乗り越え、自らの体験をもとにしたマンガを描くもちぎさん。作品を通してそのやさしさに触れたとき、きっと誰もが癒やされ、気付きを得るはずだ。

【第4位】現代なら炎上必至!? 高畑勲も魅せられたあの『じゃりン子チエ』が笑って泣ける!【試し読み】

『じゃりン子チエ』(はるき悦巳/双葉社)

『じゃりン子チエ』(はるき悦巳/双葉社)というマンガをご存知だろうか。「ほのぼのホームコメディ」みたいなものをイメージすると痛い目をみる。

 物語は、父親のテツが「娘のチエが病気だ」と嘘をついて実父に金をせびるところから始まる。そしてその金をもったままテツは一晩帰らず、家業のホルモン屋をチエはひとりで切り盛りする。わずか小学5年生の少女が、である。今なら毒親認定まちがいなし、大炎上必至の設定だが、マンガ連載が開始したのは1978年。昭和の時代背景や大阪・下町の気質がまざまざと浮かび上がる本作に悲壮感はなく、ただ、生き抜くたくましさがユーモアたっぷりに描かれる。

 昭和のマンガと敬遠せず、ちょっと落ち込んだときや前向きになりたいときにぜひページをめくってみてほしい。

【第5位】SNSで話題沸騰&はやくも続編を切望する声多数。究極の胸キュンストーリーにときめきが止まらない!

『ちぐはぐな彼らの恋のゆくえ』(こう森/フロンティアワークス)

『ちぐはぐな彼らの恋のゆくえ』(こう森/フロンティアワークス)は、多くの人をキュンとさせるに違いない究極のラブコメディ。3つの短編が詰め込まれたオムニバス集で、どの物語もトキメキを感じずにはいられない作品だ。

 たとえば、華やかなキラキラOLの天海岬は、参加した対戦ゲーム大会で、会社の同僚・百川太郎にゲームオタクだという秘密がバレてしまう。長年の秘密を守るために翌朝、百川に詰め寄る岬。「バラされるかも」という岬の不安を知ってか知らずか、百川は拍子抜けするほどに通常運転だ。こうして、ひょんなことからゲーム仲間になったふたりは頻繁にコミュニケーションを取り始める。やがて、自分の恋心に気付いてしまった岬の脳内は大パニック。いまいち本心が掴めない百川の言動に戸惑いながらも、次第に距離を縮めていくのだが、はたして、ふたりの恋は実るのだろうか。

 SNSで書籍タイトルを検索すると「この1冊で完結なんて……」と数多くの嘆きの投稿が寄せられており、人気の高さが窺える。ときめき不足中の方は、キュンフレーズが鏤められた本作で心が軋むような“胸キュン”を感じてみてはいかがだろうか。

【第6位】『ONE PIECE 93』ルフィの覇気のさらなる進化と黒刀の秘密に触れたゾロ――2人の悲運な死と打倒カイドウの希望を見出す!【ネタバレあり】

『ONE-PIECE 93』(尾田栄一郎/集英社)

 ワノ国で四皇カイドウと将軍オロチを討ち取るべく奮戦するルフィ一行。しかし『ONE-PIECE 93』(尾田栄一郎/集英社)では、目を覆いたくなる場面がいくつもあった。ワノ国唯一の花魁・小紫が切り捨てられ、えびす町の人気者・トの康が悲運な死を遂げる。ワノ国の人々の怒りと悲しみ、絶望が痛いほど伝わってくる巻といえるだろう。

 だが、希望もみえてくる。たとえば、ルフィの覇気だ。前巻では四皇に瞬殺されて、圧倒的な実力差を見せつけられたルフィ。だが、ルフィはまだレイリーほど覇気を扱えていない。そこでルフィはワノ国のヤクザの元大親分とともに、百獣海賊団の大看板“疫災のクイーン”による処刑“大相撲地獄”をくぐりぬけながら、さらなる覇気を習得することになる。

 張り巡らされる伏線と少しずつ解き明かされるワノ国のストーリー。歴戦のボスに勝利したあの歓喜のシーンが少しずつ近づく予感をさせる、苦しさの中に希望を見出す一幕が本作にあった。

【第7位】アザを持つ女子高生と人の顔がわからない教師。痛みを抱えた者同士の恋の行方は――!?

『青に、ふれる。』(鈴木望/双葉社)

 鈴木望さんのマンガ『青に、ふれる。』(双葉社)は、生まれつき右目の周りに「太田母斑」という青いアザを持つ、瑠璃子の物語だ。ある日、彼女はひょんなことから、新任教師・神田が、人の顔がわからない「相貌失認」という症状を抱えていることを知る。彼は、親の顔も、自分の顔すらわからない。普段は、服装や髪型、持ち物、声、仕草等で人を見分けている。

 また、顔のパーツにホクロなど大きな特徴があるのもわかると言い、瑠璃子は「アザとか?」と自虐的に突っ込んでしまう。だが、彼はこう反論した。「いえ…実は青山さんのそのアザ オーラだと思っていました」。人の顔を判別できない神田は瑠璃子の青いアザを青色のオーラだと勘違いしていたらしい。思いもよらない神田の言葉に瑠璃子はつい笑い出してしまう。以来、彼女は神田のことを意識するようになり、また、自分のアザとも改めて向き合うようになるのだ。

 誰かと痛みを少しでも共有できる事実は、心をとても温かくさせる。心優しい2人のこれからに期待しつつ、楽しみに続きを待ちたい。

【第8位】愛犬に翻弄される日々がたまらなく愛おしい!犬好きの「あるある」が詰まったコミック『犬のおしりにしかれてます。』

『犬のおしりにしかれてます。それでもつかえた11年の日々』(赤澤英子/文響社)

 犬を飼っている人をみていると、犬が従順なのではなく、飼い主のほうが甲斐甲斐しく犬のご機嫌を取っているように見える。『犬のおしりにしかれてます。それでもつかえた11年の日々』(赤澤英子/文響社)は、イラストレーターとして活動する〈私〉と飼い犬の〈トイプ〉の何気ない日常を描くコミックだ。

〈トイプ〉は基本のしつけをはじめ、教えたことをすぐに覚えてくれるかしこさがある反面、教えてもいないイタズラも多々巻き起こす。部屋の掃除の50%は〈トイプ〉をどける作業になり、洗濯物をたたんでいると必ずその上に乗ってくる。まさに「犬のお尻にしかれる」生活。憧れていた「ワンコのいる生活」とは少し違っていたものの、〈私〉はひとりと1匹の共同生活を大いに楽しんでいるのだ。

 ひとりと1匹が過ごしたかけがえのない日々は、まるで犬の体温のようにいつまでも温かな余韻を残してくれる。

【第9位】『ONE PIECE 94』激突するカイドウとビッグ・マム! スマイルの副作用を利用するオロチの悪行…想像超えのストーリー展開!【ネタバレあり】

『ONE PIECE 94』(尾田栄一郎/集英社)

『ONE PIECE 94』(尾田栄一郎/集英社)では、今まで張られていた伏線が予想もつかない形で回収される。人造悪魔の実「スマイル」に手を出したカイドウ。その実を食べた者は凶暴化するが、実は力を得られるのはわずか10人に1人だった。残りの9人は、不完全な薬品の副作用で「怒り」や「悲しみ」を失い、「笑う」ことしかできなくなるという。おまけに、食べかけの果実に“副作用だけを伝達する効力”が残ることを知ったオロチは、おこぼれ町に住む人々にこれを食べさせようと目論む。そんな人工悪魔の実の真実を知りゾロ達の怒りは頂点へ。

 一方、囚人採掘場のルフィ達に更なる脅威が。ワノ国で辻斬りと恐れられる“人斬り鎌ぞう”とキャプテンキッドが処刑の場に連れてこられ、さらにはなんと四皇ビッグ・マムが乱入してくるのだ。もちろん混乱が起きないわけもなく…。怒涛の展開に早く続きが読みたくなってしまう1冊。

【第10位】矢部太郎「ユートピア漫画にはしたくなかった」『大家さんと僕 これから』を読んだ後に読むインタビュー

『大家さんと僕 これから』(矢部太郎/新潮社)

 高齢の大家さんとの心温まる交流を描いたフィクションマンガ『大家さんと僕』の続編、『大家さんと僕 これから』(新潮社)を上梓した矢部太郎さん。インタビューによれば、予想もしていなかった大家さんとの別れをどう描くか、この連載はどうしても前作とちょっと違うものになる。続きを読みたいと言ってくれた人に対してなんだか申し訳なさを感じた。『サザエさん』とか『ちびまる子ちゃん』みたいに 1冊目のような空気感のものを何十巻も出すことも考えられるだろう。

 だが、連載を始める前に、矢部さんは「時間が動かない世界を描く『ユートピア漫画』にはしたくない」と言っていたのだとか。大家さんはいつも矢部さんに「覚えてて」と、記憶のバトンを渡すようなお話をしていた。そのバトンを受け取った矢部さんはこの本に大家さんから聞いた面白い話、聞いて良かったなということを全て描ききったのだ。

集計期間:2019/01/01~2019/12/20

文=アサトーミナミ