これが5,788作品の頂点!Web小説コンテストの大賞作品がついに発表!
公開日:2016/6/23
今年2月末の応募受付から約4ヶ月、第1回Web小説コンテストの大賞作品が遂に発表された。
このコンテストは、Web小説サイト「カクヨム」が正式オープンと同時に開催したもので、”ファンタジー”、”SF”、”ホラー”、”現代ドラマ”、”現代アクション”、”恋愛・ラブコメ”、”ミステリー”の7ジャンルを対象とし、それぞれの大賞を選出。大賞作品には賞金100万円と、KADOKAWA内のレーベルからの書籍化が確約されている。

そして、今回の応募総数はなんと5,788作品!その中から選ばれし大賞7作品を、カクヨムユーザーが投稿したレビューとともに紹介しよう。
ファンタジー部門
『誰にでもできる影から助ける魔王討伐』 / 槻影
魔王クラノスが人類に宣戦布告して十年。強大極まりないクラノスの軍に劣勢に立たされ、退っ引きならない状態に陥った王国は教会の持つ禁断の秘奥、英雄召喚の実施を決定した。召喚された聖勇者、藤堂直継の栄えあるパーティメンバーにプリースト(ヒーラー)として選ばれた俺は、残りのパーティメンバーとして選ばれた二人、魔導師と剣士が原石であり、まだ第一線で戦える実力にない事に気づく。果たして俺は魔王からの尖兵をしのぎ切り、勇者とその仲間達をレベルアップさせることはできるのか!?
▼ユーザーからのレビュー
縁の下の力持ち的な主人公が陰ながら嫌々頑張る奮闘記
主人公のストレスゲージと読み手のストレスゲージがシンクロする瞬間、もうすでにこの物語の虜になってしまったのでしょうね。作者さんの小説は某投稿サイトで読ませてもらっていましたがやはり読ませる力に感嘆します。現状まだ序章なところもあり、展開がまだ膨らまないと言いますか、少し淡々と進んでいる感じがします。ここからどういった爆発力を見せてくれるのか期待してます。主人公、神聖術があるから胃薬いらずだね。
濱太郎
SF部門
『横浜駅SF』 / イスカリオテの湯葉
絶え間ない改築の続く横浜駅がついに自己増殖の能力を獲得し、膨張を開始して数百年後の日本。本州の99%は横浜駅で覆われ、SUICA を所有する人間が住み自動改札による徹底した監視下にあるエキナカの社会と、それ以外の僅かな土地に追いやられた人間の社会に分けられていた。青函トンネルでは、増殖を続ける横浜駅とJR北海道との終わりの見えない防衛戦が続いていた。非 SUICA 住民達の住む岬で暮らしていた三島ヒロトは、古代地層から発掘された「18きっぷ」を手に、五日間限定での横浜駅への侵入を果たすが…
▼ユーザーからのレビュー
中身は真面目です
横浜駅が日本を覆うってとこまで見てすげーくだらない話なんじゃないかと思って読みましたが、全然くだらなくなかったです。本格SFでした。やってることが荒唐無稽でバカらしいのは確かですが、そのバカらしい世界でいろんな人が真剣に生きています。高い筆力とはっちゃけた世界観が絶妙なバランスでどんどん先を読みたくなる良作。最初の一話を読めばわかると思います。この人プロなんじゃねーかな。とりあえず読んでみて下さい。
田中誰公
ホラー部門
『僕の妹はバケモノです』 / 鹿角フェフ
何の変哲もない高校生、梔無 暁人(くちなし あきと)。ある日の朝、彼は懐かしいことに誰かに起こされる感覚を覚える。だが彼は気づいてしまう。微睡みの中、嬉しそうに微笑むのは死んだはずの彼の妹だということを。まるで妹に誘われるかのように、その日より暁人は信じがたい恐怖に巻き込まれていく。これは無力な人間たちが『悪夢』と呼ばれるバケモノが密かに存在する世界で、ただ絶望に飲まれ続けていく話。
▼ユーザーからのレビュー
日常の違和感が狂気を彩る
失ってしまったはずの妹との再会から始まる、新しい日常。周囲との認識のズレ、覚えのない連続殺人鬼、そしてその上で存在する『変わらない』妹が、より一層怖気を引き立てます。ホラーでした。とてもホラーです。人間の本能、『理解不能』を恐れる部分をそっと撫でてくるような、じわじわとした狂気が伝わってきます。謎に包まれた悪夢、殺人鬼、妹の目的など、まだまだこれから明らかになっていく部分が多いので、それを推理しながら読んでいくのが楽しみな作品です。
磯見 五十六
現代ドラマ部門
『ヒーローは眠らない』 / 伊丹央
大手映像制作会社・東光の女性プロデューサーで主に映画やVシネマを手掛けていた宮地真由香は、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのチーフプロデューサーに任命される。やがて作品制作が進む中、真由香に悪意を持つ正体不明の何者かがネットの巨大掲示板を使い中傷を開始する。果たしてその人物はいったい誰なのか、その目的とは?そして真由香がプロデュースする特撮テレビドラマ「飛翔戦軍スカイフォース」は商業的成功を収めることができるのか?
▼ユーザーからのレビュー
無料で読んでもいいのかと心配になった
私もよく特撮番組を視聴している人間なのでタイトルに吸い込まれ、あっという間に読み終えていました。自分の触れているモノが、多くの人間達の手で産み出されている。という当たり前な事を改めて再認識出来ました。
@mobukenn
現代アクション部門
『勇者のクズ』 / ロケット商会
魔王化手術の横行によって、お金持ちのヤクザが「魔王」と化し、彼らを殺す商売が「勇者」として合法化した現代社会。ビールとピザと、友達とのカードゲームを愛するチンピラ勇者・ヤシロは、三人の勇者志願の女子高生と出会う。目先の金に目がくらみ、彼女らの家庭教師を引き受けたことから、ろくでもない危険な事件に巻き込まれる。
▼ユーザーからのレビュー
真なる勇者の物語
たとえクズであろうと、クズ以下にはなりたくない。正しいものを、善なるものをまっすぐに見据える、間違いなくここに描かれているのは現代における本当の勇者像である。
monae
恋愛・ラブコメ部門
『平安時代にタイムスリップしたら紫式部になってしまったようです』 / 中臣悠月
京都に修学旅行中、平安時代にタイムスリップしてしまった妄想力だけが取り柄のオタク女子、香子。助けてくれた恩人は、なんと紫式部? それに、紫式部がイケメン男子?恩人の頼みを聞いているうちに、いつの間にか香子自身が『源氏物語』の作者になってしまって、後宮で逆ハー状態に。乙女ゲーの世界でしか体験したことのない逆ハー状態に、とまどい気味の毎日。
▼ユーザーからのレビュー
イケメンと平安文化を学びませう
乙女ゲーム風の外殻に、小学校の図書館に並べてある「まんがでわかる〇〇」に近いわかりやすさ。気軽に読めて、平安時代という一般人にとってはとっつきにくい分野に詳しくなれる、一石二鳥な学門習得系小説。今なら博識のイケメン付き!お安いうちにどうぞ!!
ちいく
ミステリー部門
『うさぎ強盗には死んでもらう』 / 唐間ネロ
悪党たちの暴れまわるミステリー群像劇へようこそ!忍び込んだ先でダラダラ遊ぶ泥棒カップルは、部屋主の不穏な事情を推理で導き出してしまい、奇妙な事件に巻き込まれてしまう。恋人を人身売買組織に殺された青年は、その組織に潜入するが、上司に殺人を強要されてしまう。上海最強の殺し屋は、標的を追跡中、大切な相棒を殺されてしまう。彼らををめぐる物語で暗躍する謎の賭博師「うさぎ強盗」。彼が3つのエピソードをつなぐとき、予想だにしないどんでん返しが巻き起こる!
▼ユーザーからのレビュー
必ず二度、読むことになる。
現在と過去が入り乱れる、ミステリー&アクション!息をつかせぬ展開に、一度目は興奮のままに一気読み。そしてあなたは、必ずもう一度読むことになります。何度も読まないと分からないくらい難解だから? いいえ。新しい発見と感動があるからです。二回読んでも新鮮! 傑作です!
鯉川春松
今回、選考を行なった編集部から「大賞以外の作品も書籍化したい」という要望が多くよせられた為、特別賞を用意し、そちらに19作品が選出されたとのことだ。そちらは是非「カクヨム」にて確認してほしい。