シリアスなホラー小説も、ねこさえいればハッピーエンドに。インスマスを覆うねこってなに?【書評】
公開日:2026/6/11

ねこがいれば、みんなが幸せに。
『よっ!ねこむかしばなし』(ぱんだにあ/KADOKAWA)は、名作や昔話にねこを掛け合わせた、ゆるくて癒やされる4コマ漫画。シリアスなお話も悲しいお話も、ねこさえ登場すれば「全て良し」になってしまう。
『インスマスを覆う影』という物語をご存じだろうか? 20世紀前半にアメリカのホラー作家が書いた小説である。あらましはこうだ。
主人公は若い旅行者の男性で、インスマスという陰気な漁村を訪れる。町は荒廃しており、住民たちは不気味な魚めいた顔立ちをしているではないか。
気味わるく感じていた主人公は、地元の老人からこんな話を聞く。「この村は海底に住む異形の存在『深き者』と契約し、繁栄の代わりに交配を行ってきた」と。
恐れ慄いた主人公はホテルに戻るも、住民から襲われ命からがら逃げる。無事に助かってから数年が経ち、主人公が鏡で自分の顔を見たところ「深き者」と同じ顔つきになっており…。
さぁ、こんなシリアスな物語の中に、ねこがインスマスの住人として登場する。元となった作品では「不気味な顔」のわけだが、本編ではねこちゃんの愛らしいお顔だ。
他、『走れメロス』を元にした「セリヌンティウスがねこだったら」というお話もある。(セリヌンティウスはメロスの親友の名前)。
どちらも硬派でシリアスな物語だが、ねこがいればハッピーエンドに。そんな魔法みたいな「ねこ漫画」を、ぜひご一読あれ。
文=雨野裾
