「大空直美」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ部

2017/9/1

大空直美

 編集部が注目する声優に、仕事に向き合う気持ちからプライベートまでをじっくり伺い、撮り下ろしのミニグラビアを交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第172回となる今回は、「つぐもも」ヒロインの桐葉役、「ガヴリールドロップアウト」のサターニャ役、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の緒方智絵里役などを演じる大空直美さんです。

――大空さんは2012年に声優としてデビュー。たくさん出演されている作品の中で、思い入れが強いのは?

大空:2014年の「いなり、こんこん、恋いろは。」は、オーディションを受けて初めて主人公を演じさせていただいたこともあって、思い出深く、大好きな作品です。伏見いなりちゃんの性格が他人事とは思えなくて…。ドジッ子で、人のことを思いやれる人なんですけど、空回りしてしまうことがあるんです。

――大空さん、よく空回りするんですか?

大空:良かれと思ってしたことが、結果、ごめんなさい…ってなることが多くて。アフレコで、友だちの肩に髪の毛がびょ〜ってついていたので、それをとってあげたんですよ。「ありがとう」って言ってくれたんですけど、その髪の毛をどうしたらいいのか分からなくて。その子に渡すのもおかしいし、その場でポイッて捨てるのも、その子の一部だったものだから傷つくかなと思って。「あ、じゃ、これ後で捨てとくから!」ってポケットに入れたら、「え?」ってびっくりされて。違った、ちゃんと捨てたほうが良かったかな…とか。あ、いなりちゃんはそういうことはないと思うんですけど(笑)。

――一瞬のうちに、いろんなことを考えてるんですね。

大空:グルグルグルグル、考えが1周2周…3周くらいしちゃうんですよ。気を使いすぎて、変に思われちゃう。他にも、2人いるのに席が1つしかなくて、「どうぞどうぞ」って言ったら相手の子が気を使うかなと思って、自分がまず座って、2、3駅進んだら交代したりとか。でも、それってたぶん違うんですよね。でも最近は、あんまり考えすぎず、思うままに行動してます。そのほうが、良い結果になることが多いって気づいたので。まず自分が楽しもう!と思えるようになりました。

――最近の作品では、「つぐもも」でヒロインの桐葉役を演じられています。

大空:私、エッチでバトルがかっこいい作品がそもそも好きで、「つぐもも」の原作の漫画も大好きで。桐葉のことを演じたくて、アニメ化が発表される前から、桐葉のボイスサンプルを作ってマネージャーさんに渡してたんですよ。こういう役がきたらオーディション受けたいですってお願いして。

――そんなことがあるんですか!? 桐葉役に決まったときは、喜びもひとしおだったでしょうね。

大空:そうですね。たとえ自分が好きな作品でも、オーディションを受けられるかどうかは、マネージャーさんが役者の適正を見極めて決めていることなので。そこで、桐葉役を受けさせてもらえたことが本当に良かったなと思います。

――「ガヴリールドロップアウト」で演じられたサターニャも、人気のキャラクターになりました。

大空:私も大好きです! アホな子ほど可愛いという言葉があるように(笑)。サターニャって、すごくまっすぐで、むずかしいことを考えなくて。大悪魔を目指していて悪いことをしようとするんですけど、イタズラ程度にしかできなくて。先生に怒られて廊下に立たされて泣いちゃったりとか、大悪魔を気取ってるけど、普通の女の子っぽいところが可愛いんじゃないかなって。

――演技していても楽しかったですか?

大空:楽しかったです。大悪魔を気取っているときと、高校生らしい素な感じのときと、どっちも大切にしながら演じてました。そのバランスが楽しくて。よくボケて、よくツッコんで、よく笑ってよく泣いて、よく動いて。マイク前で、全身を使ってサターニャを演じてたなって思います。たくさんカロリーを消費しました(笑)。

――マイク前で、声だけでなく体も動くんですか?

大空:私、すごく動くみたいですね〜。キャラクターと同じ顔をしたりします。青二塾大阪校の出身で、そこで学んだ「優れた声優は優れた俳優でもある」っていう理念を大切にしています。授業では、シェイクスピアの戯曲や時代劇に取り組んだりしたんですよ。

――そこで学んだことが役立っていると。

大空:臨場感を持って演じることを大事にしていて。キャラクターとして、その場にいたいんです。たとえば、そのアニメの中で感じた空気を声のお芝居で表現できたら素敵だなと思うので、そのためにも全身でそのアニメの空気感を感じていたいんです。だから、台本を読むときは、ト書きの部分までじっくり読みます。誰がどこにいるか、どれぐらいの距離感か、それをまず把握して。

――じゃあ、新しく演じる作品の台本を読むときは、特に楽しいでしょうね。

大空:楽しいです! 台本はいつも、頭のト書きの部分から声を出して読んでるんですよ。「風が吹いて、崖の上に立っている主人公。『◯◯、よく来たな』…」っていう感じで、他の方のセリフもぜ〜んぶ。それで、情景をすべて頭の中に入れてから、自分のセリフをチェックするんですけど、すごく時間がかかる(笑)。でも、お芝居はもちろん、そこでどう演じるのか、プランを練っている時間がすごく好きで。

――まさに天職という感じですね。そして、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の緒方智絵里も、長く演じられているキャラクター。どんな思い入れがありますか?

大空:歌を披露する経験はあったのですが、シンデレラガールズで、何千、何万人の前で歌うということを初めて経験しました。最初は、自分がそんな場所に立っていることが信じられなくて、ちょっと夢心地でした。感覚としては、大空が立っているというより、智絵里ちゃんとして立っている感じ。
最初は楽しいというより、責任感を感じましたね。たくさんのプロデューサーさんが楽しみにしてくれているので、もし私が歌やダンスを間違えたら、智絵里が間違えたことになるじゃないですか。笑顔でステージに立てるように、ものすごく練習しました。鏡を見ながら、智絵里だったらこう動くかなって想像を膨らませて、イメージの中の智絵里と自分を比べながら。全部、智絵里でありたいから、指先の伸ばし方とか細かいところまで、ちょっとずつ作っていきました。

――ステージでは楽しめるようになってきましたか?

大空:そうですね。シンデレラの先輩が「プロデューサーさんが見たいのは笑顔でステージに立っているあなた自身だと思うよ!」っておっしゃっていたのを聞いて、ほんとにそうだなって。シンデレラってメンバーがたくさんいるから、そこから受ける刺激も多いんです。だからこそ自分も活動していく中でどんどんアップデートされて、ダンスも得意になってきました。最近は智絵里と一緒にステージに立っているような感覚になってきたことがうれしくて。

――ステージに立っている姿は、大空さんだけが表現できる智絵里なんですね。その一方で、ラジオ「めっちゃすきやねん」では、大空さんご自身のパーソナルでおしゃべりされています。

大空:じつは、そもそも声優という仕事に自分の言葉でしゃべる仕事があるってことを知らなかったんですよ。最初は台本をそのまま読んでました。番組が始まる前に、パーソナリティの中島唯ちゃん、松田颯水ちゃんとカラオケボックスで練習したんですけど、2人ともびっくりしてたと思います(笑)。

――途中から、フリートークでいいということに気付いた?

大空:そうです。だから最初は怖かったですね〜。お芝居をしてるのが私なのに、自分を出すってどういうことなんだろうって。おしゃべりは好きですけど。ネットで「自分らしさとは」とか調べて、ノートに「私らしさ」とはっていうのを書き出してみたんですけど、全然ペンが進まなくて。でも、ラジオで話して、ハッシュタグを追っていくと「そらそらって、こういうところが面白いよね」みたいなリスナーさんの反応があったりして、私ってこういう人間なんだ、と。この番組があるから、今の私があるっていう感じです。
でも、いろんな顔があるのも私かなって。周りの方にも「私ってどんな人?」って聞いたんです。でも、私はアニメでもニコ生でも、その作品や番組のこと、視聴者さんのことを第一に考えたくて、そのたびに自分の出し方、アプローチの仕方が自然に変わるみたいで、「すごく真面目だよね」っていう人がいれば、「おっちょこちょいだね」っていう人もいて。人にはいろんな要素があるっていうことは、お芝居でも感じていて。だから、あんまり考えすぎないで、思うがままに生きていこうと。

――考えて考えた末にたどり着いたことなんですね。大空さんは本が好きだそうですが、普段どんな本を読んでいるんですか?

大空:ちょっと前に出た「コンビニ人間」は、主人公が独特の感性を持っていて面白かったですね。主人公が独特の作品って勉強にもなるので、そういう本を選ぶことは多いです。エッセイも好きで、先日、佐藤愛子さんのエッセイを読み終えました。激動の人生を生きてきた方の文章って重みがあって、私が人生の中で考えている疑問みたいなものにヒントを与えてくれるんです。あと、心理学の本も好きです。

――一時期、アドラー心理学がブームになりました。

大空:私、けっこう影響されやすいので、「嫌われる勇気」を読んで、思ったことをバッと言ってみたことがあって。そしたらすごく後悔したので、向いてないなって思いました(笑)。

――漫画も好きですか?

大空:好きです。いちばん好きなのは「ドラゴンボール」。ベジータが初恋の人です。私、泣いたことがあるんですよ、「どうして私はベジータと同じ次元にいないんだろう」って。もう悲しくて悲しくて。

――すごい思い入れですね(笑)。ベジータのどんなところが好きなんですか?

大空:かわいいところ。すごくストイックなところも。ベジータって、カカロットを倒すために、ずっとトレーニングをしていて、がんばってるところがかっこいいし、いちばん好きなのは、情にほだされて心がゆるんで仲良くなってしまうところ。どんどん丸くなっていく、その過程がかわいくてしょうがない(笑)。私、ストイックな人も好きなんです。仕事をがんばる人も、趣味をがんばる人も。なかなかできないことだから尊敬します。

――大空さんもストイックだなと感じますよ。

大空:いつもイエーイってはっちゃけてるから(笑)。でも根はすごく真面目で。こうして自分のことを話していると、けっこう真面目な部分があるんだなって自分でも思いました。じつは私、芸人さんにも憧れるんですよ。人を楽しませたいっていう一心で、カメラの前やステージでは笑顔でいるけど、裏ではすごくいろんなことを考えてるし、努力している。でも、それを表に出すことはなくて。その心意気がかっこいいです! 私がこうありたいって思っている理想の姿かもしれないです。

――まさにその道に突き進んでいるように思います。では、最近プライベートで気になっているコトを教えてください!

大空:「僕たちがやりました」の漫画は、とても刺激的でしたね。面白かった〜! 登場人物の心の動き方にリアリティがあって、クズ人間だ!って嫌悪感を抱くようなところもあって。ドラマ化するって聞いたときは、やっぱりなって思いました。嬉しくなりました。
それと、出演させていただいたゲームですけど、「オルタナティブガールズ」。ゲームにはまることってそこまでないんですけど、これははまってます。頭を使って戦略を立てることで、どんどん、永遠に強くなれるんですよ。カードのレベルを上げるだけではなくて、サポートメンバーをつけたり、属性を揃えることで強くなったりして、それに敵との相性もあって。

――なるほど。

大空:絵を描くことも好きです。小学校のとき、平和っていうお題で、めちゃくちゃ平和について考えて書いた絵が、5年のときに会長賞、6年生で金賞をいただいたりして。芸術の道に進んでみたいと思ったこともありました。表現することが好きなので。絵は特技です!

――今でもよく書くんですか?

大空:友だちと電話してるときに書いたりします(笑)。メッセージ性のある絵は白いノートと向き合って書きますけど、頭の中にあるイメージをポイッて出して、無意識になにげなく書いた絵ってけっこう面白くて。変な形状の木に猫がぶらさがってて…とか。話してる内容とは関係なく。

――これから声優として、新たに挑戦したいことを教えてください。

大空:やりたいこと、3つあります!1つは、レギュラーで赤ちゃんの役を演じること。一度、緑川光さんから褒めていただいたときに、自信がつきました。ちょこちょこは演じてるんですけど、すごく研究したんですよ。実際の赤ちゃんって横隔膜をどう動かしているのかとか、腹筋がそんなにないのに大きな声が出るよな〜とか。
2つ目は、レギュラーでマスコットキャラを演じること!人外ですね。これも、名前は出ないけどちょこちょこやらせていただいていて、楽しいんですよね。
3つ目。いつになるか分からないけど、国民的アニメの主人公を演じたいです。これは、声優を始めたときからの目標。私、一生声のお仕事していたいんですよ。ずっとアニメが好きで、アニメの中の住人になりたいと思ってたから。50年、60年、同じ役を演じるのってかっこいいなって思うし、憧れます。

【声優図鑑】大空直美さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

大空直美

大空直美(おおぞら なおみ) 青二プロダクション所属

大空直美(おおぞら なおみ)Twitter

◆撮影協力
BC WORLD STUDIO

取材・文=吉田有希、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト